「の」を「も」と読み始め
2008/11/18
「の」を「も」と読み始め
文字は教えられて覚えるのか。自発的に覚えるのか。チンパンジーも文字を理解できるとの
ことである。今日ではテレビ等映像機器が発達し幼児が文字に接して文字を小さいときから
読めるようになるのではないかと思う。自分が文字を文字として読んだと記憶しているのは
幼少時に屋外の便所に入って、尻拭き用の新聞紙をじっと見ていて「の」という文字を「も」と
解読した時であった。新聞には「の」という文字が多く現れ、これも、これもという意味で「も」
と読み始めたのが文字を文字として自覚的に認識した最初の時である。結局、自分勝手の
対応付けであったので間違いであった。しかし、不思議と「の」を「も」と読み始めたのが、自
分の文字の読み始めであることを忘れずに覚えている。なぜ覚えているのだろうかと考え直
してみると、新聞上の活字を自分の知っている発音に結びつけるという一種の暗号解読のよ
うな作業をして対応付けに成功したと思ったからなのではないか。世間の正字法という対応
付けでは間違いなのであるが、ある意味の分からない記号の「の」を「も」という発音に結び
付けたということは新しい発見であり、その発見という事実が自分の成功体験として頭に残っ
たのではないか。この成功体験という意味づけは数十年前の自分の失敗を前向きに考え直
して中期高齢者になって初めて考えついた新しい発見であった。ともかく、失敗の中にも別の
意味づけによれば成功体験が含まれている。楽しく有意義な失敗をして新しい発見をしたい
ものだ。これはと思いついたことはやって見るに如かずである。結果は後からついてくる。