06BD_男井戸川調整(調節)池と利活用
06BD_男井戸川調整(調節)池と利活用
1.男井戸川調整(調節)池と利活用
夏場の大雨時に一級河川男井戸川では、両毛線下流域で氾濫被害が多発していた。その対策として、県の事業として男井戸川調整池の設置が決まり、現在工事が進んでいる。この事業に着手するにあたり、県と地域住民等が男井戸川調整池利活用検討委員会(H20.11~H21.3)を発足させ、工事前に多様な利活用の可能性、要望等を検討して、その結果が事業計画に盛り込まれた(検討案確定:H21.6)。このような方式は事前に行政と地域住民の整合を図る試みとして注目される。
付記:群馬県の資料によると「男井戸川調節池」となっていた。(2011/8/1)
2.大道西遺跡
男井戸川調整池設置予定地の西方に三軒屋遺跡がり、工事に先立ち遺跡調査が行われ、古代道路や古代水田遺跡が検出された。三軒屋遺跡の近隣には、古代の国分寺と想定される上植木廃寺遺跡もあり、周辺遺跡との関連が注目を集めている。このため、この古代道路も保存されることに決定された。
3.多目的利活用
男井戸川調整池が本来の貯水機能(主目的)を発揮するのは夏の多雨期が中心である。それ以外の季節は、冠水しないので、貯水スペースが他の用途(従目的)に利用可能になる。増水と共に、水難事故の発生可能性が高まるので、警報装置の設置等は強く要望されていた。調整地は緩傾斜地とその中を流れる男井戸川で形成され、以下の区画に分けられる事が確定した。
(1)遺跡ゾーン
(2)利活用ゾーン①:広場等(年5~10回冠水)
(3)利活用ゾーン②:広場等(年2~4回冠水)
(4)旧河川復元ゾーン:昔の河川の跡を生かした池内水路
(5)動植物保存ゾーン:ビオトープ等
男井戸川は北から南へ流下するので、上記コンセプトに合わせて、従来水田として使われていた区域が、南北に傾斜のある沼地に造成された。男井戸川は沼地の中を流れ、沼地全体は堤防で包囲されている。
5.最近の男井戸川調整池工事進捗の様子(DSC:2011/7/5)
男井戸川調整池の入り口付近の様子。
男井戸川調整池の出口付近の様子。出口の下部の開口面積で流出量が制限され、大雨の時は調整池が増水し、水位が上昇する。白いコンクリート防水堤の最高部が満水レベルを決めているようだ。満水時は相当深い水深になるので、事故防止は不可欠だ。また、満水貯留量以上の入水があると、余水は防水堤の最高部より排出されるので、下流域は増水すると思われる。
遺跡ゾーン:石積みがある。右手奥が男井戸川調整池の出口。
古代の男井戸川の復元:男井戸川調整池出口付近。