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2011年4月30日

2011年4月30日 (土)

技術 回顧と展望:東日本大震災の復興に際し、湾口防波堤はもっと強固にならないか

2011/4/30
昨日は衆議院予算委員会の審議のもようをラジオ中継で聞きながら仕事。東日本大震災被災地出身の議員の質問には迫力があったが、政府側答弁には覇気が感じられなかった。

「ドナルド・キーン名誉教授:米コロンビア大で最終講義」という毎日新聞の記事(url=http://mainichi.jp/select/world/news/m20110427k0000e030023000c.html;毎日新聞 2011年4月27日 10時19分(最終更新 4月27日 14時20分))を読んだ。

それによると、「 【ニューヨーク山科武司】米国における日本文学研究の第一人者で、今年秋までに日本に移住し国籍を取得する考えを明らかにしている米コロンビア大名誉教授のドナルド・キーンさん(88)が26日、ニューヨーク市内の同大で最終講義を行った。」また、「授業後、キーンさんは記者団に対し、日本滞在中の今年1月、東京都内で入院していたことを明かし「今後どう過ごすかを考え、好きな日本への感謝の気持ちを形にするのは日本人になることだと考えた」と国籍取得を考えた経緯を説明。東日本大震災でその思いが強まったという。キーンさんの決意が被災者ら日本人の感動を呼んだことに「少しでも(日本人に)勇気を与えることができたら何よりもうれしい」と語った。キーンさんは日本文学の研究で08年、文化勲章を受章している。」との事だ。

ドナルド・キーンさんは日本の文学の研究者だけではなく、その研究の成果を広く世界に紹介してくれた人であろう。ドナルド・キーンさんの日本文学の英語訳をテキストとして読んだような記憶がある。ドナルド・キーンさんの日本文学の英語訳を通して日本に親しむようになった外国人が多いのではないかと思う。日本文化を世界に紹介する事は日本人が最も苦手な事ではないか。語学という第一の関門で日本の学者のほとんどが文化の外部発信まで至らない。せいぜい、学術論文で専門家を相手に発表するのが精一杯。文学はまず、物に感じてその意味を読みとる能力を要求される。そのためには、関心のあるあらゆるものに共鳴できなければならない。外国文学を日本に紹介してくれる日本の研究者は多いが、その文学の発祥地に骨をうめようとする研究者の話を聞いたことがないだけに、ドナルド・キーンさんの決意には計り知れないものを感じる。インドでは、人生の四住期といい、人生を、学生期、家住期、林住期、遊行期と四つに区分する思想があるのと事だ。自分はもう林住期かなと思ったりする。ATOKで変換すると臨終と変換されるが、林住期を登録した。ともかく、長い人生を圧縮して見ると、林住期も臨終期とみなしてもさしつかえない。自分の行く末を考えながら生きて行く期間が林住期ではないか。遊行期はまさに、死を覚悟した林住期の仕上げの期間であろう。ところが、本当の遊行の境地に達する事は凡人には非常に困難なようなのだ。一度、山・森林に入り修業し、最後にそこからふたたび社会に出てくる。名誉も物欲も更には命すら捨てて、遊行に徹する。遊行とは社会の木鐸としてひたすら生きる事のようだ。ドナルド・キーンさんのニュースを読むとそんな修業僧の姿を思い浮かべる。日本にそのような人がどれほどいるのだろか。

昨日の天気

TAVE= 13.8
TMAX= 19.3
TMIN= 8.4
DIFF= 10.9
WMAX= 6.6
SUNS= 7.9
RAIN= 0

技術 回顧と展望:東日本大震災の復興に際し、湾口防波堤はもっと強固にならないか

東日本大震災の津波被害の大きさには呆然とする。東日本大震災も復興の段階に入ってきた。港湾は漁業、工業、商業等に不可欠のインフラだ。港湾に面した都市は平地で山間地より断然便利だが、津波の被害の危険がつきまとう。しかし、津波のために港湾都市を放棄するのは不可能だ。そのためにはより強固な湾口防波堤が必要であるという現実は動かせないであろう。調べて見ると湾口防波堤の整備には数十年をかけている。釜石湾では津波対策として湾口防波堤工事が行われて、2008年3月に完工したようだ。巨費と長年月をかけて作られた釜石湾口防波堤も一定の効果はあったとされるが、顕著な費用対効果もなく東日本大震災で損壊してしまったように思われた。無念と言う以外にない。

津波は波と言うより大きな移動物体ととらえた方が理解しやすい。そうして、ドミノ倒しを連想した。ドミノ倒しの号砲が地震の発生、プレートの移動だろう。そのエネルギーがドミノ倒しのように伝わる。釜石湾口防波堤の断面図をWEBで見たが、概略は海底の基礎の上にブロックの塀を立てたような構造であった。波消し機能と外洋と湾内の海水の流出を容易にするため塀には隙間を設けていたようだ。逆にこのような構造のため、そこに流れる強力な津波水流で基礎部が削られて損壊に至ったと報道されている(「世界最深・釜石の防波堤、津波浸水6分遅らせる」:YOMIURI ONLINE;(2011年4月2日22時31分  読売新聞):url=http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110402-OYT1T00753.htm)。釜石湾口防波堤が津波対策を主眼に建設されただけに残念である。素人考えだが、津波の方向に直立する塀は津波(自動車にたとえる)と正面衝突する。津波の持つエネルギーをまともに受ける。塀はそれに耐える強度が必要だろう。

それに対して、塀を津波の進行方向に斜めに即ち、三角形の斜面で津波を受けるようにすれば、力が分散するのではないかと思った(斜面にボールが当たるような、ボールをはじくイメージ)。この三角形の斜面は遡上する津波(海水)の一時貯蔵スペースでかなりの面積を必要とする(このスペースを太陽光発電等に使って欠点を補う)欠点があるが、単位面積の応力を分散させるので強度は強くなると思う。津波の力は斜面に垂直の成分と斜面に並行の成分に別れる。この斜面の長さは必要強度、勾配と津波が運ぶ水量で決まる。防波堤の高さ(設計上の基本パラメータ)を超えた海水は湾側に流れる。頂上を越えない海水は運動エネルギーが位置エネルギーに変換され、斜面を海側に落下する。この落下海水は外洋に向かって流れるので、津波の津波の余波をうち消すように働くのではないか。

壊れない、壊れにくい基礎構造の上に、壊れても良い二次的な構造物で津波のエネルギーを吸収させる等色々なアイデアが湧くと思う。構造が複雑で、長期的なメンテナンスが必要な防波堤は子孫に大きな負担を残すのではないか。そんな事を考えつつ津波対策堤防のアイデアを描いてみた。防波堤頂部の防波林は樹木に波消し機能を持たせようとするもの。防波堤に帯状に防波林を設けて、ここで津波のエネルギー(高所で位置エネルギーが大きくなり、運動エネルギーの割合は小さくなる)を吸収する。
Bouhatei

気になったのが、色々な防波堤も直線形が多い。凹面の奥に港があるような場合、波が集まって津波が強まるのではないか(パラボラアンテナ効果)。堤防の強度を増すためには堤防を外洋に向けて凸面状の構造にすると向かってくる津波のエネルギーが分散して強度が増すのではと思うがどうなのだろうか。

運動エネルギーと位置エネルギーの変換、海水の流れを阻害するエネルギー吸収成分etcを考えると電気回路の直列共振回路の動きを類推した。要するに電気工学的モデルではエネルギー蓄積素子であるコンデンサやコイルを壊さないで大きな電気エネルギーを減衰させる事ができればその手段は問わなくても良い。これを土木工学的類推で表せば、津波のもつ運動エネルギーを位置エネルギーに変換する過程でその運動エネルギーを減衰させれば良いことになる。当然そのための構造物を壊さない事が条件になる。WEBを調べていたら、特開平7-113216:「浅海域において、津波のエネルギーを有効に減衰させる。(清水建設株式会社)」というのがあった。津波と堤防関係の特許も30件以上出ていた。

電気では波を逆位相で加えると消滅するという性質があり、ノイズキャンセラー等でこの原理を使用していた。津波は、相手の津波以上の津波を発生できれば押し返す事ができるのか。ソリトンの性質は波が干渉しないということでこれは不可能かもしれない。津波対策に決定打はなさそうだ。最終的にはハードとソフトの多様な対策を積み重ねる以外になさそうだ。湾口防波堤は津波を波高を低めて湾内の海流を弱める働きをするが万全ではない。津波が陸地に進入するのを防止するためには、湾岸を高い防波堤で囲み、河川への遡上を防止するためには水門が必要になる。これも時間稼ぎに過ぎないかもしれない。更に、どこからでも短時間に避難が出来る強固で高度のある避難所を分散設置する必要もあろう。最終的には津波防災という観点で生活自体を変える必要もあろう。よくよく考えると、万一東京湾に津波が押し寄せればその被害は計り知れない。海抜が低い地帯の地下鉄、地下街等は特に問題だろう。同じような状況は沿岸部の大都市に共通するだろう。東日本大震災は人ごとではないと痛感する。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:命をあらふ

歌題=命をあらふ

■風を受け 唯唯諾諾と 首を振る サビタの花を いとしと思ふ 78 野上 悦代

サビタの花を調べると地味な紫陽花のような花。その姿は自分とおなじようでいとしくなる。

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    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
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  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
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