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2011年4月7日

2011年4月 7日 (木)

技術断想:福島原発破局回避のシナリオ(原発谷側に巨大な貯水池を作れ)

2011/4/7
昨日はスギ花粉が良く飛びそうな天気であった。花粉症は眼の痒みと軽い鼻水が出るが何とか我慢できるレベルで推移している。憂鬱さが増しているのは福島第一原子力発電所の事故の行方。事態は刻々と悪い方向に進んでいるようだが、桜の開花のニュースが流れたりしてどこかうきうきした雰囲気も出ている。一方、茨城県沿岸の漁は海の放射能汚染で中止され、漁民の怒りは頂点に達している。東京電力の会長はマニュアル通りに頭を下げているだけに見えて、漁民の怒りは沈痛に変わっているかのようだ。東京電力社長の動きは何一つ見えない。この、重要な事態に人的組織が機能しないのだから、社長は自ら退く決断をすべき時ではないか。経営幹部全体の見識が疑われる事態でもある。

昨日の天気

TAVE= 12.7
TMAX= 21.5
TMIN= 3.5
DIFF= 18
WMAX= 4.1
SUNS= 12
RAIN= 0

技術断想:福島原発破局回避のシナリオ(原発谷側に巨大な貯水池を作れ)

本当の恐怖が見えない。後ろから恐怖という巨人が駆け足で迫ってくるようでもはや逃げようとしても足がすくんで、逃げ切れないのではという気持になってしまいそうな毎日である。震災・津波・原発の被害のない地域でも滅入りそうな日々だ。被災地の更に厳しい状況が思いやられる。原子力安全保安院が第21回原子力安全委員会の第1号資料(平成23年4月4日)に福島第一原子力発電所1号機の炉圧(紫色の線)が上昇しているグラフがあった。それを以下に示す。
1f1_roatsu

「東京電力は6日、福島第一原子力発電所1号機の格納容器で水素爆発が起きるのを防ぐため、格納容器内への窒素ガス注入を同日中に始めると発表した。
(YOMIURI ONLINE:2011年4月6日22時02分  読売新聞:url=http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110406-OYT1T00986.htm)」この時点ではまだ東京電力のホームページには、この情報は掲載されていない。窒素ガス注入に関しては、既に4月1日に情報が流れている。数日にしろ、数時間にしろ、数分にしろ、情報を発信した時刻が発信側の意識を示すのではないか。東京電力は情報発信を報道機関に丸投げしているのであろうか。原子炉内では、強い放射線により、水(多分高温の水蒸気になっているのだろが)が分解して水素が発生する。原子力安全保安院が示した炉圧はそれを示しているのではないか。原子炉格納容器は強力な放射線物質の外部環境への拡散を防止する最後の砦である。ここまで、危機が及んできたのが現実ではないか。

既に炉心は損傷を受けている。炉心の抜本的な冷却は遅々として進んでいない。更に原子炉に海水を注入したのでその塩分の悪影響を懸念する海外情報もある。塩分が炉内に沈着して悪影響の原因になる可能性もあるようだ。最終的には塩分を除去することはもはや不可能な事態になるかも知れない。強レベルの放射能汚染水はいずれ溢れるだけしか保管容量はない。今こそ、次善の策としての発想転換が必要なのではないか。

福島第一原子力発電所の抜本的な危機突破策を考えてみた。福島第一原子力発電所の立地する地形を色々調べてみると(福島第一原子力発電所:「出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(最終更新 2011年4月6日 (水) 06:20 )」)、原発は海抜30m程度の高台にあるようだ。要は与えられた条件を最大限に使えないかという点。その結論は、日本中の重機を集め、原発のある緩斜面の土砂を掘り、残土で低地側に高台と同じ高さの堤防を築けば、巨大な貯水池兼冷却装置となる。ここに、貯水池が出来次第次々に放射能汚染水を貯水して時間稼ぎをしながら、原発の冷却をする。最終的には、貯水分を巡回式にして精製再利用して、放射能汚染水の総量を削減する。現存の原発プラント能力だけでは破局のシナリオしか見えない。

新しい、原発暴走阻止兼放射能汚染防止プラントを日本の産業界の総力で作らなければ日本の最大危機突破のシナリオは見えないであろう。当然貯水池は放射能漏れの対策を施す。時間との戦いであるが、これは壮大なコンカレントエンジニアリングの実験にもなる。ちなみに、コンカレントエンジニアリングは半導体集積回路の開発などでも行いつつあった。目的と司令塔と役割分担を明確にしてプロジェクトを管理すれば不可能な事ではない。

波志江沼環ふれあい公園の沼の貯水量を推定してみた事があったが、数万トンから十数万トンと思われる(06A_波志江沼環境ふれあい公園:http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/HASHIE_NUMA.html)。水深が深くとれれば貯水池は小さくできる。要は貯水池の面積と深さである。素人の発想で、バカを承知で考えてみた。

二宮尊徳が、家を川に流して堰を作ったという逸話を思いだした(「二宮尊徳」(岩波新書:奈良本辰也著))。また、読みかじりの記:二宮尊徳の仕法と仕分(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2010/11/post-37c9.html)で仕法と仕分けについて書いたが、制御理論的に考えると仕分けはフィードバック系、仕法はフィードフォワード系になるのではないか。フィードバック系はシステムのアウトプットをインプットにして制御するので制御に遅れが生じる欠点がある。その適例が乱調や発振現象である。なにか今日の事態に似ている気もする。フィードフォワード系は先を見越して制御をかける。フィードバック系では能力が決定的に欠ける場面でいくら努力しても結果は見えている。うまく行くのは偶然の天恵や奇跡を待つ以外にない。フィードフォワード系ではその能力の限界を見越して制御をかけるという事になる。最大の課題は破局か破局の回避かだ。目的は破局の回避しかない。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:赤きまたたき

歌題=赤きまたたき:

■真夜の海に 語りゐるがに 原発の 赤きまたたき 闇に浮きをり 34 木村 あい子

原子炉の中を直接覗く事は出来ないが、それを想像で見てしまう迫力。

追記:この、「赤きまたたき」の項は以前の書きためで、上記の技術断想の項とは別に書いたが、偶然に「原発」という主題が一致した。原発が放射能を出さずにエネルギーだけを生んでくれる金の卵なら文芸と科学と技術は共存できたように思われるが、放射能とエネルギーは表裏一体でもある。福島第一原子力発電所の炉心が溶解して一瞬でも赤きまたたきを放たないよう願うばかりだ。

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  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
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