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2011年7月11日 (月)

読みかじりの記:句集 山河沸々 伊藤俊二 著 (2002年 北溟社)

2011/7/11
昨日は晴れ。猛暑日。AMEDAS最高気温(℃) = 37.7  (13:51)。木陰でポット除草。夕方近くに雷鳴。落雷を心配してパソコンとMODEM・ルーターの電源ラインを切り離した。パソコンの電源系統は節電のため一括SWに変更してあったのでAC電源をOFFにするだけ。一括SWで常時通電のHUB(5W程度)、プリンター(?W)、パソコン(?W)等の節電が可能になった筈。雷雨は期待に反して極少なく、雷は去ってしまった。

本日で平成23年3月11日東北地方太平洋沖地震発生から4ヶ月となった。警察庁発表の7/10現在の東北関東大震災の死者:15547人、行方不明者:5344人、負傷者:5688となっていた。残念ながら、福島原発事故に関する直接・間接的死傷者の数は公表されていないようだ。避難に伴い高齢者の死亡が報じられていたのだが。

昨日の天気

TAVE= 28.4
TMAX= 36.7
TMIN= 24
DIFF= 12.7
WMAX= 4.2
SUNS= 9.7
RAIN= 16.5

日テレニュースは、「東日本大震災の被害額16兆9000億円に;url=http://news24.jp/articles/2011/06/24/07185158.html(2011年6月24日 22:17)」というタイトルで、「内閣府は、24日現在の東日本大震災による建物や道路などの被害額を約16兆9000億円とする試算をまとめた。阪神・淡路大震災の1.8倍となっている。」と報じた。

毎日新聞は、「「原発賠償は数兆円」経産相が見通し 原賠支援法案が審議入り;url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110708/plc11070822100021-n1.htm(2011.7.8 22:03 )」というタイトルで、「東京電力福島第1原発事故の賠償を円滑に進めるため、政府が提出した原子力損害賠償支援機構法案が8日、審議入りした。衆院本会議で行われた趣旨説明と質疑で、海江田万里経済産業相は賠償総額について「総額数兆円に及ぶ可能性がある」との見通しを初めて示した。」と報じた。

地震・津波は自然災害だからそれから生じた損害を自然に要求することができない。しかし、東京電力福島原発事故事故は人災であり、その責任はその災害を惹起した人にある。損害賠償は責任は当然その災害を惹起した人にかかるのが原則だ。その責任を明確にせずに、損害賠償処理が独走を始めようとしている。日本は敗戦処理においても、戦争責任を明確に出来ず、後世に禍根を残した。東京電力福島原発事故の責任は事故当時の社長が辞任して報酬の一部をカットするだけで済む性格のものでないのは明らかだ。もう一度、その巨額の損害額と社会に与えた大きな混乱と不安を想起すべきである。自発的に経営責任を全うできないならば当局は法に基づき経営責任を追及すべきではないか。

日弁連の視点は東京電力福島原発事故の損害賠償処理に関して、経営責任に関する事項は見られないが、株式会社という形態に対する一つの見識を示しているだろう。
日本弁護士連合会は、「福島第一原子力発電所事故による損害賠償の枠組みについての意見書;url=http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/110617_2.html(2011年6月17日)」というタイトルで、「

1 福島第一原子力発電所事故による損害賠償の枠組みについては、以下の3つの原則が確立されるべきである。

(1) 東京電力の現有資産による賠償がまずなされること。

(2) 不足する部分については国が上限を定めず援助する法律上の義務があること。

(3) 原子力発電所災害を完全に防止するため、損害賠償についての枠組みは、持続可能なエネルギー供給・需要体制の構築と調和するものでなければならないこと。

2 上記原則に基づき、東京電力による賠償を実施するための国の援助策は、以下のようにすべきである。

(1) 東京電力による損害賠償に対する援助としては、現在計画されているような「資本注入・資金援助」ではなく、国が東京電力の送配電事業(関連知的財産権を含む。)の譲渡を受け、その対価として被災者への損害賠償債務を引き受けることによって行う。
また、東京電力が有する保養所等その他の資産を民間等に売却し、それによって生じた資金も損害賠償の原資とする。

(2) プルサーマル計画を中止し、再処理等積立金を損害賠償原資として活用する。

(3) 損害賠償額が(1)(2)を超えるときは、東京電力が継続して営む原子力発電以外のその他発電事業の収益及び国が買い取った「送配電事業」の収益をもって損害賠償の原資とする。

(4) 以上の過程を通じて、東京電力による資産散逸・資産の浪費を防ぎ、資産譲渡によって得られた原資を損害賠償債務の弁済に充てることを確保するため、東京電力の法的整理を検討するべきである。

(5) 送配電事業は、その公共性に配慮し、リスクに強い、分散型の、スマート・グリッドを整備すべきである。送配電事業については、損害賠償が終了するまで

」と報じた。

なお、上記の引用は概要であり、全文は上記urlに掲載されている。上記urlでは「本意見書について:当連合会は、2011年6月20日、「福島第一原子力発電所事故による損害賠償の枠組みについての意見書」を内閣総理大臣及び経済産業大臣に対し提出しました。」と述べており、その社会的な責任を強く認識してなされたものと推測される。その原点には東京電力福島原発事故に直接的に何の関係もない一般国民に、電気料金を通して、福島第一原子力発電所事故による損害賠償責任を転嫁するのは法の精神からも理不尽であるという判断があるものと思う。やはり、その職業に対する信頼性は社会にどんな貢献をするかによって測られるのではないか。

以下は聞き流した梅雨明け情報の記録である。url=http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/103_04_662_20110709020338.html

「梅雨の時期に関する関東甲信地方気象情報 第2号

平成23年7月9日11時05分 気象庁発表

(見出し)
 関東甲信地方は梅雨明けしたと見られます。

(本文)
 関東甲信地方は、向こう一週間、一時雨や雷雨となるところもありますが
、高気圧に覆われ概ね晴れる見込みです。このため、関東甲信地方は、7月
9日ごろに梅雨明けしたと見られます。

(参考事項)
 平年の梅雨明け 7月21日ごろ
 昨年の梅雨明け 7月17日ごろ

 梅雨期間降水量(5月27日から7月8日まで)(速報値)
           降水量(ミリ)平年値(ミリ)
前橋          163.5  216.6」
このデータから今年の梅雨期の降水量は平年値より低いことが裏付けられた。

読みかじりの記:句集 山河沸々 伊藤俊二 著 (2002年 北溟社)

出版社名は「ほくめいしゃ」か。著者は東北の人で、教職に従事、既に退職しているようだ。山河沸々という書名と東北に惹かれて手にした句集である。自分が自分なりにイメージができた句を以下に引用して観賞したい。

梅三分:平成7~8年
■父の日の横座に父のごとく座し
■日曜の午後より鬱となる余寒
■春霞眼鏡新調してみても
■言霊に縛られてをり蛇苺
■掌中の蛍迷ひしのち放つ
これらの句には共感を覚えた。年齢も近い、共通体験もある。父の日の句は連綿と続く家族の生活誌の一面を教えてくれる。日曜のの句で、「日曜の午後より鬱となる」とは明日から又学校かという教職者の心裏の一面を詠んだものと推測した。春霞の句は不思議にも春霞をうまく詠んでいる。眼鏡や自分の行為を越えた自然の中に春霞がある。字面に捕らわれてしまうのが人間の弱いところ。毒蝮○○○と言っても親しさを感じるのも言霊のおかげかもしれない。掌中の句の心を体験した人は多いと思う。しかし、大方はそれを句にすることもなく時間は過ぎてしまう。

青葉風:平成9年
■疎まれてなほすくと佇つ春の杉
■縄文の穴覗き込むサングラス
目前の樹木に身をなぞるのも精神のゆとりを保つのに良いことと思う。なぜなら、我ながら疎む樹木はたくさんある。でも、それらが元気を与えてくれる時も少なからずあるので。後の句のサングラスが不思議な表現だが、縄文時代まで空想を広げるならその手段は問わない方が良さそうだ。この句を読んでさらに空想が広がるところが面白い。

遍路道:平成10年
■甘き血の春立つ頃や肥後守
■アカシアの午後を鎮まる魚市場
■汗が目に一期一会の数珠を揉む
■炭火爆ぜ魚臭親しき朝の市
甘き血の句は不思議な想像を呼び起こす。肥後守は折り畳みナイフの事ではないか。子供の頃はこれで色々遊んだ。アカシアの句は午前活気がある魚市場が自然に思い出された。汗が目にの句は遍路の時の句と思う。遍路の修業という側面を切り取って絵にしたような句だ。遍路は我が夢だが、未だ実現しそうがない。炭火爆ぜの句も魚市場の句と思うが何となく人を引きつける生活感が漂ってくる。魚市場の風景は海無し県の人間としてはうらやましい限り。

芋焼酎:平成11年
■変身の苦しみ愉悦黒揚羽
■錆釘を踏み抜きし日や敗戦忌
■括る本残したき本冬支度
変身のの句は黒揚羽の変態を自分の感覚に翻訳した。人間もある意味で変身する。そんな面と重ねて観賞できるかもしれない。錆釘をの句は自分の身の上と重ねたようにも思える。「敗戦忌」という捉え方も、敗戦時に丁度幼年期だったとすると納得できる。終戦ときれい事のように詠んではずきずきとする痛さは表現できなかったと思われる。「錆釘を踏み抜きし」という痛さは格別ではないか。生理的痛さではなく心理的痛さかもしれないが。括る本の句は冬支度で本の分別整理なので先生らしいと感じた一句。

十夜寺:平成12年
■見にゆかむ職を退く日の春の海
■相部屋の寝息の深き遍路かな
■ねつ造の笑ふほかにはない寒さ
見にゆかむの句は退職の日というこれから必然的に訪れる日に、何をしようかという漠然とした気持を詠んでいるとおもう。そういう人々を春の海がしっかりと迎えてくれるという安心感も読みとれる。ねつ造のの句は、毎日新聞のスクープで一時代を画した「発掘捏造」事件の事ではないかと思った。東北地方がその激震の震央であった。寒さとは気候の寒さではない、その事件の裏側を透かしてみた寒さだったようにみえる。「旧石器捏造事件;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A7%E7%9F%B3%E5%99%A8%E6%8D%8F%E9%80%A0%E4%BA%8B%E4%BB%B6;(最終更新 2011年4月19日 (火) 04:06)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。の記事に「日本の考古学界最大のスキャンダルとされ、2000年11月5日の毎日新聞朝刊で報じられたスクープによって発覚した。」とあるので、冬の寒さは一致していた。それにしても、「笑ふほかにはない」も多様な解釈が可能だ。大方には「うっそ、ほんと!」というような衝撃だったと思う。その後、歴史教科書は続々と訂正された。

雪解川:平成13年
■肩書きのなき身を軽く冬紅葉
■波止場には幟立つなり朝の市
■深追ひはよさう無月の海なれば
肩書きの句の実感は、重い肩書きを背負った人ほど大きいのかもしれない。その落差の大きさもその日を迎える準備形態により変わるだろう。作者は無事軟着陸を果たしたようだ。波止場にの句は、幟立つと平凡のようだが、幟が立つと何となく人気が出てきそうな風景になる。深追ひはの句で無月とは:「空が曇って月が見えないこと。特に、陰暦八月一五日の月についていう。[季]秋。」とある(三省堂 大辞林)。「月見;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E8%A6%8B;(最終更新 2011年5月21日 (土) 06:21)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。の記事に「十五夜の月は「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」とも呼ばれる[3]。加えて、中秋の夜に雲などで月が隠れて見えないことを「無月(むげつ)」、中秋の晩に雨が降ることを「雨月(うげつ)」と呼び、月が見えないながらもなんとなくほの明るい風情を賞するものとされる。また、俳諧では葉月十四日、十六日のことを特に「待宵(まつよい)」「十六夜(いざよい)」と称して、名月の前後の月を愛でるが、日本の関東以西では、この時期、晴天に恵まれる確率は低い。」とある。この句は、海に昇る、中秋の名月を堪能しようとしたが、雲が晴れずに、もうそろそろ諦めようという時の気持を詠んでいるようだ。無月を「ムツキ」と読んで辞書を引くと「睦月」等が出てきた。WEB辞書で引くと「ムゲツ」が正しいと分かった。「ムツキ」では重箱読みだと後から分かった。ともかく、作者と海と港の関係は深いようだ。うらやましい限りだ。

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    「ご要望にお応えしてアンコール復刊(1988年岩波新書50年記念復刊) 地球生態系の中で自然を見直す」(腰巻きのフレーズ)。植物の知恵と戦略に人類は勝てるのか。
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    初心者向け柿栽培参考書(新版)。旧版と比較すると楽しい。
  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
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    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
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