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2011年8月24日

2011年8月24日 (水)

読みかじりの記:生涯最高の失敗 田中耕一 著 (2003年 朝日新聞社)

2011/8/24
昨日は曇り後午後から少し晴れ間。午前中は挿し木準備。挿し木の適期ではないが実験。午後はポット苗の手入れ。灌水不足で枯らした苗がかなりある。自業自得。厚手の長袖シャツで作業したので多少発汗した。草むらの陰には蚊が群がっている。虫除けネットをかぶり、蚊取り線香を焚いて作業。今朝、XP機のSWを入れてWIN起動しない時のFDの5,12V電圧をチェック。電圧は出ていた。その後、再度SWを入れると反応無し。SWの接点不良か。ME機に戻って作業。鉄砲ユリが咲いている。由来は不明。背が高く、5~6個の花がうつむいて咲いている。

2011/8/23の天気

TAVE= 24.3
TMAX= 27.4
TMIN= 21.6
DIFF= 5.8
WMAX= 1.8
SUNS= 1
RAIN= 0


ざっそう句:処暑
■冷蔵庫スイカが欠伸処暑の雨
■プヨプヨと苛ちて刺せよ秋近し
■物騒な鉄砲ユリ咲くカダフィ邸
■一輪の朝顔許す抜き残り
■雨休み蝉鳴き出せば汗も出る
■男心涙の辞任秋の空
■はばかりが近くになりて秋迫る

読みかじりの記:生涯最高の失敗 田中耕一 著 (2003年 朝日新聞社)

著者のノーベル化学賞受賞が決定したのが2002年10月。本書が発行されたのが2003年9月25日。丁度1年後であり、ノーベル賞受賞前後の様子を改めて振り返った。著者が現役の技術者としてノーベル賞の受賞までの歩みを率直に語っている事に好感を覚えた。著者が就職した島津製作所はそのホームページによれば、明治8(1875)年3月の創業である。島津製作所 創業記念資料館(url=http://www.shimadzu.co.jp/visionary/memorial-hall/display/)を覗くとその事業の中心が理化学機器だとわかる。島津製作所への就職の契機も本書により知ることが出来た。著者の受賞の対象になった質量分析機も何となくイメージしていたのだがその原理も本書で概要が分かった。

終戦後の計測器の進歩はめざましい物があった。電気の分野ではオシロスコープが色々高度に発展した。その実例が周波数分析機で、通称でスペアナと言われている。テレビのVIFアンプの周波数特性やモジュレータの発信周波数特性を調べるために喉から手が出るほど欲しい測定器であった。スペアナが技術の現場に導入される程度の価格になった頃、自分の仕事は変わったが測定器が技術の精緻化に大きく寄与することは実感していた。

質量分析機でいざ、資料を分析するとなると大変な事が本書でよく分かった。分析の相手が化学物質となるとその前処理が分析の可否や精度を決めてしまうようだ。著者が「生涯最高の失敗」と本書のタイトルにしたのも、化学物質をレーザ光で破壊せずに測定できる条件を発見した部分にある。しかし、本書を読むと、闇雲に実験を行っているだけではなく、こういう条件だったらどのような結果になるかという一種の作業仮説的な手法を思い浮かべながら入念な観察の中で実験をしていた事が分かる。自分がドジッた一つの失敗を別の自分が冷静に見ているという複眼的な見方が成功への道としてあったようだ。

いわば凡ミスは大抵直ぐに気付くのだが、待てよともうひとつ突っ込むところに成功への糸口があるのかもしれない。本書に紹介されているグリセリンが乾く前後のスペクトルの差も、執念を持って注意してその差異の理由を追及しないと見逃してしまいそうである。21世紀はバイオテクノロジーの時代でもある。どのような物質がどのような部分でどのように働くのか。質量分析機の用途は多いかもしれない。生体高分子も観念的には理解できるが、質量分析機はそれを具体的に振り分けて見せてくれるわけだ。その進歩に期待するが、あまり進歩しすぎると未来の人類が挑戦するテーマが無くなってしまわないか心配でもある。

何事も人間の為す事には雑音の中から信号を取り出すような作業が必要になる。その指標がSINAL TO NOISE RATIO S/N比であろう。測定を何回も繰り返してそのデータを平均するとノイズは打ち消しあって小さくなり、逆に信号は重なり合って大きくなる。そんなデータ処理の例も本書には書かれている。そういう視点を更に拡大すると、一つ一つの実験で見れば失敗であっても、実験全体の中では失敗が意味を持ってくるのが分かる。

自分の技術者人生を振り返ると著者に重なる部分が幾つかある。出発点では電気工学を学んだこと。自分の失敗等は「アナログいろはカルタ」にまとめた事がある。

初期のテレビゲーム:http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2009/02/post-c6ec.html
開発した集積回路が全く売れずに廃止された事もある。この時、3ピンしかなかったTO-220というパッケージからTO-220-5Hという5ピンのパッケージも開発したが、これが後続の機種開発に大変役だった。

チャンスという名の女神:http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2009/05/post-d632.html
回路が動くのもその背後に自然現象がある。色々なアイデアを出してもうまく行かないことは多い。そんなとき、まだ自然の女神は自分に微笑んでくれない、もう少し頑張らねばと思うこともあった。上司や同僚から見たらどうでも良いことでも自分にとっては新しい発見である事もある。そんな事を思い出しつつ本書を読んだ。

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  • 沼田 真   : 植物たちの生( 1972年 岩波新書(青版 833))
    「ご要望にお応えしてアンコール復刊(1988年岩波新書50年記念復刊) 地球生態系の中で自然を見直す」(腰巻きのフレーズ)。植物の知恵と戦略に人類は勝てるのか。
  • 出町 誠: 14_NHK趣味の園芸:よく分かる栽培12ヶ月  カキ(NHK出版2007年)
    初心者向け柿栽培参考書(新版)。旧版と比較すると楽しい。
  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
  • 沼田 真(編): 07_雑草の科学(研成社1979)
    雑草を多面的に解説し防除の基礎も述べる

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