ドイツ語学の権威 関口存男(せきぐち つぎお)の本。081201。
2008/12/1
ドイツ語学の権威 関口存男の本
大学では一般教養で外国語の単位を取る必要がある。英語は中学校、高校でうんざりして
いたので、それ以外の語学を学ぶ事にした。ドイツ語、フランス語、ロシア語に初めて手をつ
けた。もう、ほとんど忘れてしまった。ドイツ語だけは教科書以外にポケットマネーを叩いて
参考書を買った。その著者が関口存男であった。やや厚手の三刊巻本であったと思う。
唯一覚えている(うろ覚えかも知れない)のは、「Der Mann ist was er ißt.」という単文である。
ドイツ語と言うより「ひとはたべるところのもの」と「Mann ist was er ißt」という音のつながりが
記憶に残っているだけである。しかし、最近になって明らかになった習慣病の発症原因を考
えると「ひとはたべるところのもの」という単文が妙に真実に迫ってくる。「Der Mann ist was
er ißt.」という語句はいつしか自分の生活哲学になっていたようだ。
「関口存男のファウスト翻訳」(柴田 明子氏)という著作に「ドイツ語学の権威であり、外国語
教育者であり、新劇活動の実践者でもあった、関口存男(せきぐち つぎお 1894―1958〔明
治 27年-昭和 33年〕)というひとりの天才による翻訳である。」として関口存男の絶妙な翻
訳が紹介されていた。
「Der Mann ist was er ißt.」という文はドイツ語の単なる文法例文だけではなく、警句の意味
も含まれ、更に韻を踏んでいてなかなかしゃれた単文ではある。俳句や川柳にも通じる気も
する。著者名も「関口存男ありお」とか生半可に覚えていたにすぎない。関口存男がドイツ語
の巨人であったと知って、今更あの本は単なる参考書では無かったんだと思った次第であ
る。自分も普通の参考書からはみ出していた所を読んでいたようだ。これも本を通した出会
だったのかもしれない。
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