インスタントテレビのポンパ(改題):05C_技術 回顧と展望 テレビの時代は終わったのか?090220&171221。
2009/2/20
2009年2月20日 (金):元判
2017年12月21日(木):改版
インスタントテレビのポンパ(改題):05C_技術 回顧と展望 テレビの時代は終わったのか?
人間は待たされるのが大嫌いらしい。しかし、待つことを覚えることが本当の成長に不可欠でもあるとも言われる。昭和40年代の前半、カラーテレビが技術革新を迎えた。スイッチをポンと入れると画面がパッと出るポンパというカラーテレビが発売された。
当時のテレビはほとんど真空管が使われていた。真空管を働かせるためには、フィラメントに電気を通して熱電子が放出されるまで加熱する必要がある。電気コンロが暖まるまで時間がかかるようにテレビもスイッチを入れてから画像が出るまでいくらか時間がかかる。これが、イライラの原因であった。
追記(2017/12/20):最近、真空管の規格を見たら、動作まで10秒近く時間がかかるとあった。
そこに、真空管の代用品となるトランジスタが登場する。トランジスタにはフィラメント(ヒーター)が無い。スイッチを入れれば直ぐに働き出す。当然フィラメントにあらかじめ電流を流して置いて予熱しておけば直ぐに画像は出せる。しかし、アイドリングで使っていないときに電力を消費するので、追加の金をかけてイライラを解消する事は実用的でなかった。
真空管からトランジスタへの移行は電子機器の省エネルギー化をもたらした画期的技術革新であった。どんなトランジスタがポンパに使えるか。駆け出しの技術者として差し替えという泥臭い仕事からテレビ回路の学習を始めた。
カラーテレビは電子技術の集大成でもあり、その中でもアナログ技術が占める比重が高かった。画像を出すブラウン管は最後の最後まで残った真空管であったが、これも風前の灯火である。
環境の時代となって省エネと創エネが価値を生むようになった。しかし、まだまだ待機の為にかなりのエネルギーが使われている。機械に待たせるより人間が待ったらどうなるか。ちょっと待つゆとりも捨てたものではないと思う。
真空管とトランジスタが動作する原理は異なるが、機能や使い方は、共通している点が多く、真空管で発展した技術は、トランジスタにも使えた。
追記(2017/12/21):記事整形、過去BLOG再読、印象・コメント等:
たまたま、WEB検索でポンパを検索すると日立評論の「美しい映像を求めて 日立テレビ半世紀の歩み(http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/2009/03/2009_03_00_pioneers.pdf)」(このサイトへのリンク)という記事に遭遇した。丁度、自分が就職をして、差し替えという単調な仕事に従事していた頃を思い出す。その記事にポンパの写真が掲載されていたので以下に引用する。このテレビに使われているトランジスタを調べ、自社のトランジスタに挿し替えて、支障なく使えるか検討したのだ。使えそうだと分かると、自社や他社のテレビ部門へサンプル持参で訪問して、拡販した。表向きは、セールスエンジニアと呼ばれていたが、泥臭い・地味な仕事から我が技術屋人生が始まったのだ。
原ファイル名=「IOB_2017_PONPA_HITACH_HYOURON日立評論のポンパ関連記事.jpg」
IOB=IMAGES ON Beloved Ones
2017年東芝はテレビ事業を中国のハイセンスに売却すると発表した。液晶テレビに会社の運命を託したシャープは経営不振で、ついに台湾企業鴻海の軍門に降り、東証二部へ降格したが、今年ようやく一部へ復帰した。パナソニックの経営不振を招いたのも、時代遅れとなったプラズマテレビへ加重投資という経営判断誤りが原因と言われている。下記の日立評論記事によると、プラズマテレビは当時の最先端技術であったのだが...。ソニーもトリニトロンブラウン管で業界の優位を保ったのも昔の語りぐさになり、その後続技術が生まれず、テレビ部門は赤字に悩まされてきた。最近は収支改善が進んだようだが、先行きは楽観できるのか。
思うに、人類に共通する商品は、必然的に国際商品となり、そこに巨大な資本や技術が投入されて、苛烈な競争が起こる。絹製品、綿製品、穀物・農産物、石油、自動車、カラーテレビ等々国際商品を列挙すると多数あった。特に、生産革命により、生産能力は飛躍的に高まり、短期間に供給過剰、価格競争、利益低減に追い込まれるのが最近の傾向だろう。従って、国際商品のメーカーや産出国は時代と共に変わってきた・変わらざるを得ないのが実情であろう。日本の絹製品もかつては、国際商品として輸出され、外貨獲得に寄与したが、現在では過去の産業遺産に位置づけされているのが実情であろう。
テレビは一家に一台(据え置き型)という時代が、花形だったのかも知れない。茶の間の一家に一台というテレビは今後も消滅する事はないだろうが、一家に一台が一人に一台の日用品になって、その発展型がスマホ(移動型万能機器)なのであろう。
テレビは視聴覚に訴える機器であるが、まだ視聴覚情報の発信はそれほど普及していない。ただ、これからの若者は、動画の受信・発信は当たり前に扱えるようになるだろう。そうなると、テレビはそのシステム全体が見直しされる必要があるだろう。
NHKのテレビ受信料に対する初めての最高裁判決が出た。現在、NHKのラジオ放送の受信料は無料である。NHKのテレビ受信料のあり方も、当然見直しが必要であろう。
最高裁判例(最高裁判所大法廷):受信契約締結承諾等請求事件(裁判年月日:平成29年12月6日)(http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87281)(このサイトへのリンク)
「判示事項
1 放送法64条1項は,受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり,日本放送協会からの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には,その者に対して承諾の意思表示を命ずる判決の確定によって受信契約が成立する
2 放送法64条1項は,同法に定められた日本放送協会の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして,憲法13条,21条,29条に違反しない
3 受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する
4 受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権の消滅時効は,受信契約成立時から進行する」
テレビの時代は終わったのか?と言う問いに対して、テレビ単独でその機能を果たす時代は曲がり角に来ている言えると時代になってきたのは疑いない事実だろう。だが、人間の基本的感覚である視聴覚に根ざすテレビに関係して蓄積された膨大なハード・ソフトや知識・情報は人類発展の基礎として守るべき人類的財産である筈だ。そう考えると、上記最高裁判決も、時代の流れの一断面を切り取った物に過ぎず、テレビは、総合的なICT技術に即して国民の国民のための情報通信システムとして、今後も発展させなければならないのだろう。その改革をお上に任せてたら、またも暗黒時代が来るだろう。
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2009/2/20
インスタントテレビのポンパ
人間は待たされるのが大嫌いらしい。しかし、待つことを覚えることが本当の成長に不可欠
でもあるとも言われる。昭和40年代の前半、カラーテレビが技術革新を迎えた。スイッチを
ポンと入れると画面がパッと出るポンパというカラーテレビが発売された。当時のテレビはほ
とんど真空管が使われていた。真空管を働かせるためには、フィラメントに電気を通して熱電
子が放出されるまで加熱する必要がある。電気コンロが暖まるまで時間がかかるようにテレ
ビもスイッチを入れてから画像が出るまでいくらか時間がかかる。これが、イライラの原因で
あった。そこに、真空管の代用品となるトランジスタが登場する。トランジスタにはフィラメント
(ヒーター)が無い。スイッチを入れれば直ぐに働き出す。当然フィラメントにあらかじめ電流を
流して置いて予熱しておけば直ぐに画像は出せる。しかし、アイドリングで使っていないときに
電力を消費するので、追加の金をかけてイライラを解消する事は実用的でなかった。真空管
からトランジスタへの移行は電子機器の省エネルギー化をもたらした画期的技術革新であっ
た。どんなトランジスタがポンパに使えるか。駆け出しの技術者として差し替えという泥臭い仕
事からテレビ回路の学習を始めた。カラーテレビは電子技術の集大成でもあり、その中でも
アナログ技術が占める比重が高かった。画像を出すブラウン管は最後の最後まで残った真
空管であったが、これも風前の灯火である。環境の時代となって省エネと創エネが価値を生
むようになった。しかし、まだまだ待機の為にかなりのエネルギーが使われている。機械に待
たせるより人間が待ったらどうなるか。ちょっと待つゆとりも捨てたものではないと思う。