戦時中の国防訓練
2009/7/28
戦時中の国防訓練
戦争も終末に近づき敵軍が日本本土に上陸する事が現実問題になってきた頃の話である。
当時の軍隊に入る前の高校生達は、毎日海岸に上陸する戦車をめがけて爆弾を抱えて突
入する訓練をしたとの事である。こういう訓練をさせられた本人から聞いた話なので実感が
漂っていた。ともかく、何事もなく生きながらえたから話せた話に違いはない。特攻隊、人間
魚雷、肉弾兵士等々何か日本人の精神構造の中には玉砕という物事の解決法が潜んでい
るようだ。死者に口は無い。死んだ人を攻めるのは潔しとしない。このような人間の弱みを逆
用する輩もいるようだ。自殺を禁止するという宗教観、生命観も日本と西洋と日本の精神構
造の相違の一つかもしれない。インパール作戦で無駄死にするのが明白であった自分の部
下を軍命に背いて進軍させなかった佐藤幸徳中将の心中にはどのような考えが巡っていた
のかつい考えてしまう。佐藤中将がノモンハン事件に従軍していた少将の頃の揮毫に「日月
照明」というのがある。単純な自然の理を以て人倫の基本を述べているのではないかと思
う。軍隊という位階が絶対的な世界の上にも日月という天体(人倫の基本)が明るく照らし正
邪を見通している。別な揮毫に「明大義正名分」というのがある。こちらは同中将の行動原理
のように思える。この戦争の大義は何か、自分は皇軍の司令官として何を為すべきか為さざ
るべきか。もし、佐藤中将が抗命せずにインパール作戦に突入して多数の兵や戦場の市民
を無駄死にさせたならば戦後の日本の、天皇の地位はどうなっていたのか。