スイカズラ(忍冬):いとしきもの
2010/6/3
昨日は民主党の臨時両院議員総会のTV中継に見入っていた。鳩山首相は予想外に首相
辞任を表明した。今朝の毎日新聞のNETNEWSは次期総選挙へ出馬せずを伝えていた。
相変わらず日本人の頭脳は玉砕の美学に支配されているのか。テレビを去って、畑に出ると
どこからとなく忍冬の薫りが漂ってきた。人間誰しも志を忘れず厳しい冬を乗り切る覚悟が必
要だと語っているようでもある。このスイカズラも何度か退治されようとしたがついに残った。
愛しき雑草:スイカズラ(忍冬)
■スイカズラ(忍冬)
このつる草を見て名前を言える人は少ない。しかし、その花の薫りと幼いときに、その花を取
って花弁の下の方にある蜜を吸った記憶のある人は多い。やはり、なつかしさを懐かせる雑
草ではある。小さい頃は蔓草と思うが、大きな樹木に登り始めると蔓も太くなり木質化する。
この頃になりようやく花を咲かせるようだ。最近はこのスイカズラの花を見かける事も少なくな
った。葉は常緑で、落葉樹が葉を落としてもスイカズラの葉はそのまま残る。そんな、蔓草の
生態を反映したのか、忍冬と呼ばれているようだ。忍冬と呼んだ方が文学的な感じを受け
る。年々、手入れを怠った金木犀にスイカズラがはい上がって、遂に頂上を制覇してしまっ
た。その結果、スイカズラの薫りは周辺に良く漂っている。厳しい冬を、葉を枯らさずに耐え
て、春に白い小さな花を咲かせ、心地よい薫りを漂わせる。金大中元韓国大統領がこの忍
冬が好きであったというような事をふと思い出した。調べてみると、金大中元韓国大統領はニ
ックネームとして忍冬草という異名を賜っていたようだ。それは韓国国民から見ても、韓国の
歴史、金大中元韓国大統領の立場や思い、その他諸々の情感を象徴するのに忍冬草が最
適であった事を示しているようにも感じる。今年の五月末、我が家の金木犀の樹上の忍冬は
まだ白い花を咲かせている。その花には黄色味を帯びるのもある。花期が終わろうとしてい
るのであろうか。これだけ大きくなると、この忍冬を処分するのもいとおしくなる。忍冬がはい
上がった金木犀は、父が植えた花木で、本来これを大切に管理すべきであるという意識も働
く。しかし、金木犀はそれなりにポピュラーだ。それよりも、あまり知られずに咲きつつも、自
己の存在をそれとなく告げている忍冬も良い物だと思う。とりあえず残そう。将来のことは成
り行きに任せる以外になさそうだ。