読みかじりの記:安保徹著『病気は自分で治す』
2010/12/2
読みかじりの記:安保徹著『病気は自分で治す』(新潮文庫)
釈迦は生老病死という四つの苦しみから解放される道を求めて出家したようだ。以来この四苦から逃れられた人はいないようだ。あるとき、癌にかんする事が知りたくて何冊も本を買い求めた。その中に癌関係の医師の本もあったが、後で調べてみると著者の癌医が癌で亡くなられているのを知って愕然とした事があった。
人間の心身のバランスは内からと外から無限と言えるほど多くの要因をうまく制御することにより安定が保たれている。このような作用をホメオスタシスというらしいが、これを理論に乗せることは大変難しそうだ。システムの全体も要素に分解して、それを再構成すれば少し見通しが良くなる。工学はこの手の手法がうまく適用できる。現代は医学も、また全ての学問もかくて細分化に向かってしまう。かつてはストレス学説が流行った事もあったと思う。今日ではこのストレスを単純に悪とみなす傾向が強いが、ストレスも定義次第では悪にも善にも転化するのであろう。
最近、「病気は自分で治す」という魅力的なタイトルを付けた文庫本を書店で見つけたので読んでみた。確かに、ホメオスタシスで心身が安定に保たれている時に、水面下で進んでいる病気を予知して対策する事は大変だ。病状が出てから対処療法に従った方が実際的かも知れない。免疫や自律神経も正常に働いているとその有り難さに気付かない。その見えない部分を解説してくれるのが本書かもしれない。
本書の中で低体温に付いて述べていて興味を覚えた。昨年の冬は、布団に入っても足が冷えて寝付けず電気あんかを使用した。今年は、仕事でよく歩いた夜は足がぽかぽか暖かいのに気付いた。運動と血流の関係と思うが、普段気づかない事に気付いて何か新しいことをやって見るのも意義がありそうだ。そんな訳で、体温について調べてみて、テルモ体温研究所というホームページを見つけた。テルモは体温計等医療機器のメーカーでこのようなサイトを設けて情報発信しているのは有り難い。ダミーリンク:クリック後アクセスが失敗するので、wwwwをwwwとwを一つ削除(自分で入力)してアクセス:http://wwww.terumo-taion.jp/
追記:低体温が気になって、ほぼ一日、間隔はランダムだが自分の体温を測ってみた。やはり、加齢でエンジンの回転が遅くなっているのか少し低めに感じた。所が、前記のサイトを読むと体温は時刻や測定部位により異なると解説されていた。脇の下は身体の深部に近いので、そこで測る理由にも納得した。しかし、それでは仕事にならないので舌下に体温計をくわえて時間は適当に決めた。測定する時間もデータの再現性に影響するようだ。そういえば、現役時代は恒温槽で集積回路の特性を測定した事を思い出した。測定物の周辺の温度が一定になるよう空気を攪拌して温度を自動制御していた。ともかく生体も何も形のある物は温度は一定ではなく偏りがあるのだ。そこで、更に思い出すのが地球の気温。温暖化、温暖化と騒いでいるがこの地球全体の気温を誰がどのようにして測定して決定しているかを正確に知っている人はほとんどいないのではと思うこの頃ではある。病気でもない爺さんが自分の基礎体温を測って話が変なところに飛んでしまった。