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2011年9月23日 (金)

読みかじりの記:マッド・アマノの「謝罪」の品格 マッド・アマノ 著 (2008年 株式会社 平凡社)

2011/9/23
昨日は晴れ後曇り。午前から昼過ぎは用事で外出。朝は台風一過の雲一つない爽やかな晴天であった。14時頃、西の空が暗くなり、急激に視界が悪くなる程の大雨となった。短時間の雨であったが気象の激変を車の運転中で体験した。

2011/9/22の天気

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読みかじりの記:マッド・アマノの「謝罪」の品格 マッド・アマノ 著 (2008年 株式会社 平凡社)

マッド・アマノと言えばパロディを連想する。そもそも「謝罪」に品格があるのか。謝罪に品格という着物を着せてみたところがパロディのようにも見える。英英辞書では「PARODY=a humorous or satirical imitation of a serious piece of literature or writing: his hilarious parody of Hamlet's soliloquy. 」とある。純文学作品を踏み台にしてそれと別な表現をする事を意味する。茶化したり、皮肉ったりがその例だろう。そう言う点ではパロディには、批判精神やユトリ、寛容性も必要になる。マッド・アマノのパロディ事件はパロディが意外な方向に発展してしまった裁判のようだ。

本書にざっと目を通して、そういえばそんな事があったと思い出される場面が多い。今日頻繁に行われる謝罪会見も不思議な現象だ。やはり、テレビ、新聞、週刊誌等のマスメディアの巨大化と無関係でもないだろう。その謝罪の常套句が「ご迷惑をおかけしました」、「ご心配をお掛けしました」云々。それに、もう少し、状況に応じて味付けをしたりで、料理のメニューのように謝罪が形骸化しているのも事実。こんな白々しい言葉で何も責任もとらずに幕引きされる事自体が異常に見える。

多分、謝罪会見もコンサル会社のアドバイス等が当たり前になっているのかも知れない。著者のように謝罪会見の事例を多数集めれば、謝罪会見マニュアルもそう無理なくできそうだ。謝罪の原因も様々だろう。ともかく、利害の衝突があり、それが争いになり、その終末部に謝罪があるのだろうが、謝罪で全てが解決する事もないだろう。見方によれば、謝罪も仕組まれた事件の幕引きに過ぎないのだろう。強いて品格の基準を定めるなら、完全敗戦なのか算盤勘定の偽装敗戦という辺に着目点があるのか。著者は謝罪する必要もなかろうという例も述べているのだから、著者の目から見て「謝罪」にも品格がありそうでもある。謝罪の裏に何かがあり、謝罪がない裏にも何かがあるとは著者の慧眼と言えるだろう。当事者の行為の正邪が万人に明らかになれば謝罪の適否も一目瞭然だ。テレビ、新聞、週刊誌等のマスメディアが劇場裁判所の司祭のようになってしまっている現実をもっと痛烈にパロディ化してもらいたいところだが、著者もすでに古稀を過ぎているようだ。長い物には巻かれろとは一面の真理であるが、批判精神は必要だ。

マスメディアを通した謝罪がその受け手に向けられているのも確かだろう。謝罪が希薄化してしまうのも早い。本書の事例もほとんど過去のことになってしまっている。にもかかわらず、今後も謝罪事件が続々起こるだろう。謝罪という言葉自体が比較的新しい。日本語の古語で謝罪に当たる語は何だろうか。詫びると言う語ともちょっとニュアンスが違うようだ。行為に故意と過失があり、それにより損害が生じたとき、その損害を補償する行為が謝罪なのか。謝罪が金銭でも物でもなく、行為に過ぎないが、名誉と引き替えであるという点で当事者にとっては謝罪のマイナス価値は大きい。逆に謝罪される側にとってはその謝罪のプラスの価値は大きい。とは言え心理的な面が大きい。また謝罪かと大衆はその謝罪に飽き飽きしているのが現実である。逆に謝罪する側はそれに増長してしまう。何か変な世の中になってしまったようだ。謝罪の価値が暴落したのが現代だ。

毎日新聞は、「JR北海道社長自殺:惜しむ声 「まじめな人」「頭の中が真っ白」 /北海道;url=http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110919ddlk01040094000c.html(2011年9月19日 地方版)」というタイトルで、「◇人柄知る人、惜しむ声 「安全最優先」を旗印に、会社再生の陣頭指揮を執るはずだったJR北海道の中島尚俊社長(64)が18日、小樽市沖合で変わり果てた姿で見つかった。状況から自殺とみられる。書き置きを残して姿を消してから6日。無事を祈り続けた関係者の願いは届かなかった。JR幹部らは「事故やトラブルで疲れていたのは事実。社長を支えきれなかった」と表情をゆがめた。」と報じた。

日経新聞は、「JR北海道社長、遺体で発見 社員に残した文書公表;url=http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E3EAE2E3EB8DE3EAE2EBE0E2E3E39191E3E2E2E2(2011/9/18 20:58 (2011/9/18 22:41更新))」というタイトルで、「JR北海道は18日夜、中島社長の書き置きは全部で10通程度あり、幹部向けが4通、社員全体に宛てたものが1通だったと公表した。ほかは家族や知人宛てだった。」と報じた。

「JR福知山線脱線事故;http://ja.wikipedia.org/wiki/JR%E7%A6%8F%E7%9F%A5%E5%B1%B1%E7%B7%9A%E8%84%B1%E7%B7%9A%E4%BA%8B%E6%95%85#.E5.88.91.E4.BA.8B.E8.A3.81.E5.88.A4;(最終更新 2011年7月31日 (日) 16:12)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。の記事に「JR福知山線脱線事故(ジェイアールふくちやませんだっせんじこ)は、2005年(平成17年)4月25日に西日本旅客鉄道(JR西日本)の福知山線(JR宝塚線)塚口駅 - 尼崎駅間で発生した列車脱線事故である。運転士と乗客を合わせて、107名が死亡した。」とある。

本書では、この事故が「罪の重さと自覚の軽さ」というタイトルの中で扱われている。旅客鉄道は安全が第一のサービスであるべきだ。その常識を完全に覆したのがJR西日本福知山線の脱線事故。しかし、会社側の形式的な謝罪は行われたが、その責任を明らかにする刑事裁判は紆余曲折して、まだその途上にある。

JR北海道は、「36 協定違反(労働基準法違反)について;url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2011/110907-1.pdf(平成23 年9月7日)」というタイトルで、「先般、札幌中央労働基準監督署による調査が実施され、平成23 年4月及び5月の本社計画部門の時間外労働に対し、36 協定違反(労働基準法違反)の是正勧告を受けました。この是正勧告を受けて社内で調査をしたところ、過去3年にわたり36 協定違反(労働基準法違反)となる時間外労働の実態があったことが判明しましたのでお知らせします。」、「36 協定の特別条項で定める協議を行わずに、1ヶ月45 時間の上限を超えて時間外労働をさせているという違反に対して今回是正勧告を受けましたが、その後の社内調査の結果、今年度を含む過去3年間で延べ約450 名の違反が発生していました。」と報じた。

謝罪と責任は別物である。謝罪すれば責任を逃れたり、責任が軽くなるという意識が日本人にはないだろうか。WEB情報によると、JR北海道には、「JR石勝線で5月に起きた特急脱線炎上事故」を筆頭に10件程の不祥事があるとの事だ。

毎日新聞は、「JR北海道:トンネル事故受け事業改善報告提出 「企業風土に欠陥」と反省;url=http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110917hog00m040003000c.html(毎日新聞 2011年9月17日 1時57分)」というタイトルで、「JR北海道は16日、石勝線トンネル内で5月に起きた特急脱線炎上事故などを受けた事業改善報告書を、国土交通省に提出した。事故で問題化した緊急時や乗客避難のマニュアルについて、運転士や車掌など職種別にあったものを統一して現場判断を重視する内容に改めたほか、車両整備の厳格化などを盛り込んだ。さらに背景として「安全への意識不足など企業風土の欠陥があった」と認め、安全性向上のための行動計画を示した。」と報じた。

JR北海道の事故は、JR西日本の事故と無縁と感じたが、何か類似した構造があるのかと思われてきた。かつては労使紛争・対立が多発していた時代があた。使用者に対して労働者は存在感があった。現代はどうか。使用者が圧倒的に強い。その力を無意識に行使するとそれを制止する力が働かなくなる。ブレーキとアクセルは全く別の働きをするがその両方が正常に機能して初めてシステムは健全な機能を発揮する。JR北海道社長が「社員の皆様へ」題して書きのこした(朝日新聞記事url=http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001109200016)事をどう受け止めるべきなのか。この書き置きには社員に対するお詫びと、経営者として責任を果たせなかったお詫びが読みとれる。経営幹部に宛てられた書き置きの内容はどうなのか気になる。言葉は余りにも軽すぎる。いくら言葉を並べても真意は伝わらない。そんな思いから自死につながったのか。JR北海道の事故では死者は出なかったようだ。しかし、大惨事と紙一重の事故でもある。死を以て労使共に覚醒せよと訴えたのか。関係者も国民も生命の尊さをよくよく考えなければならない。

謝罪大国は無責任大国の裏返しだ。謝罪を追求しても空しい結果が残るだけだ。それにしても著者は日本人の盲点をついたのではないか。

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    初心者向け柿栽培参考書(新版)。旧版と比較すると楽しい。
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    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
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