« ツルよ 飛んでおくれ(愛しき古里):ああ、あの吾妻渓谷もダム底に消えてしまうのか? | メイン | 日々農天気(環境雑録;輪廻のトンネル):畑で子カマキリに会う »

2013年6月25日 (火)

読みかじりの記(ツルよ 飛んでおくれ):青空文庫で萩原朔太郎「氷島」を読む

2013年6月25日(火)
昨日は曇り時々晴れ。最高気温(℃) 28.9 15:12。ざっそう句:青葉には 青い衣の 子カマキリ。ミカン苗区画除草。自働蒔きダイコン区画の除草。買い置きのポーチュラカを改植。昨年、自家採種したダイコンの莢から種子を抽出。夕方頃にわか雨がパラパラと降る。自家採種ダイコンの種を播いて終了。

2013624日の天気(AMEDAS

TAVE= 23.4 NO DATA
TMAX= 28.5 最高気温(℃) 28.9 15:12
TMIN= 20 最低気温(℃) 19.6 01:37
DIFF= 8.5  
WMAX= 3.4 最大瞬間風速(m/s)(風向(16方位)) 7.6(東南東) 14:47
SUNS= 4 NO DATA
RAIN= 0 NO DATA


読みかじりの記(ツルよ 飛んでおくれ):青空文庫で萩原朔太郎「氷島」を読む

萩原朔太郎は昭和九年二月と記された自序の末尾に、「因に、集中の「郷土望景詩」五篇は、中「監獄裏の林」の一篇を除く外、すべて既刊の集に發表した舊作である。此所にそれを再録したのは、詩のスタイルを同一にし、且つ内容に於ても、本書の詩篇と一脈の通ずる精神があるからである。換言すればこの詩集は、或る意味に於て「郷土望景詩」の續篇であるかも知れない。著者は東京に住んで居ながら、故郷上州の平野の空を、いつも心の上に感じ、烈しく詩情を敍べるのである。それ故にこそ、すべての詩篇は「朗吟」であり、朗吟の情感で歌はれて居る。讀者は聲に出して讀むべきであり、決して默讀すべきではない。これは「歌ふための詩(うた)」なのである。」と述べている。

そうして、自序の冒頭には、「近代の抒情詩、概ね皆感覺に偏重し、イマヂズムに走り、或は理智の意匠的構成に耽つて、詩的情熱の單一な原質的表現を忘れて居る。却つてこの種の詩は、今日の批判で素朴的なものに考へられ、詩の原始形態の部に範疇づけられて居る。しかしながら思ふに、多彩の極致は單色であり、複雜の極致は素朴であり、そしてあらゆる進化した技巧の極致は、無技巧の自然的單一に歸するのである。藝術としての詩が、すべての歴史的發展の最後に於て、究極するところのイデアは、所詮ポエヂイの最も單純なる原質的實體、即ち詩的情熱の素朴純粹なる詠嘆に存するのである。(この意味に於て、著者は日本の和歌や俳句を、近代詩のイデアする未來的形態だと考へて居る。)
 かうした理窟はとにかく、この詩集に收めた少數の詩は、すくなくとも著者にとつては、純粹にパッショネートな詠嘆詩であり、詩的情熱の最も純一の興奮だけを、素朴直截に表出した。換言すれば著者は、すべての藝術的意圖と藝術的野心を廢棄し、單に「心のまま」に、自然の感動に任せて書いたのである。したがつて著者は、決して自ら、この詩集の價値を世に問はうと思つて居ない。この詩集の正しい批判は、おそらく藝術品であるよりも、著者の實生活の記録であり、切實に書かれた心の日記であるのだらう。」と記している。

さらに、「讀者よろしく、卷尾の小解と參照して讀まれたい。」とも述べている。いわば、文学という技巧をかなぐり捨てて、自分の素直な心情記録・日記として「氷島」を出したのだと宣言している。そうして、読んでみたいと思って検索したキーワードは「忠治」だった。「國定忠治の墓」の墓がヒットした。Googleの検索式:<「忠治」 site:http://www.aozora.gr.jp/cards/000067/>で二件ヒットした。

「國定忠治の墓」こそ、自分が探した目標だったので、やった!という感じだ。なぜ忠治なのか。先日書いた、「残照雑記:「国定忠治終世の地大戸見学日程」の思い出」(

残照雑記:「国定忠治終世の地大戸見学日程」の思い出(1)=大久保一家の墓地

)とも通じるが、「国定忠治」も、すでに、原像が放つ白色光は消失し、それを見たり・読んだり・感じたりした結果として、スペクトルに分解された光しか見ることができないのだ。

萩原朔太郎は本書で、「しかしながら思ふに、多彩の極致は單色であり、複雜の極致は素朴であり、そしてあらゆる進化した技巧の極致は、無技巧の自然的單一に歸するのである。」と述べている。この「國定忠治の墓」の背景には、萩原朔太郎の世界が見えるのではないか。

この詩の小解を先ず引用する。
「 國定忠治の墓  昭和五年の冬、父の病を看護して故郷にあり。人事みな落魄して、心烈しき飢餓に耐へず。ひそかに家を脱して自轉車に乘り、烈風の砂礫を突いて國定村に至る。忠治の墓は、荒寥たる寒村の路傍にあり。一塊の土塚、暗き竹藪の影にふるへて、冬の日の天日暗く、無頼の悲しき生涯を忍ぶに耐へたり。我れ此所を低徊して、始めて更らに上州の蕭殺たる自然を知れり。路傍に倨して詩を作る。」

この数行を読むと、「國定忠治の墓」ができた背景が真に迫ってくる。WIKIPEDIA「萩原朔太郎。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%A9%E5%8E%9F%E6%9C%94%E5%A4%AA%E9%83%8E)」によれば、「萩原 朔太郎(はぎわら さくたろう、1886年(明治19年)11月1日 - 1942年(昭和17年)5月11日)は、日本の詩人。大正時代に近代詩の新しい地平を拓き「日本近代詩の父」と称される。1942年5月11日(満55歳没)」。この詩を作った時、41才になろうか。上記検索式でKW=「父」をGoogle検索すると「約 126 件」と出た。この件数は青空文庫の萩原朔太郎の項では上位に属する。父の存在が萩原朔太郎に与えている影響を反映していると考えられる。

ともかく、人間関係も、季節も、生活も厳しく絶望の淵にある時の作品だ。国定忠治の墓が、こんな萩原朔太郎を招いたのだろうか。ともかく、この作品を作ることにより、萩原朔太郎は危機を脱したかに感じたのである。

國定忠治の墓

わがこの村に來りし時
上州の蠶すでに終りて
農家みな冬の閾(しきみ)を閉したり。

「いき【×閾】:刺激の強さを連続的に変化させたときの、生体に反応をひき起こすか起こさないかの限界。生理学・心理学の用語。」「閾(しきみ)」:門戸の境界とする横木。
「蠶」:かいこ

太陽は埃(ほこり)に暗く
悽而(せいじ)たる竹藪の影
人生の貧しき慘苦を感ずるなり。

COM:
埃:ほこり
国定村は畑作地帯:空っ風で砂埃が飛び太陽がかすんだ?

見よ 此處に無用の石
路傍の笹の風に吹かれて
無頼(ぶらい)の眠りたる墓は立てり。

COM:
無用の石=無頼(ぶらい)の眠りたる墓?

ああ我れ故郷に低徊して
此所に思へることは寂しきかな。

久遠に輪廻*を斷絶するも
ああかの荒寥たる平野の中
日月我れを投げうつて去り
意志するものを亡び盡せり。

COM:
「久遠に輪廻*を斷絶するも」:意味難解。
「久遠に輪を斷絶するも」⇒「意志するものを亡び盡せり」と続く?
輪廻*≒本文では「廻」の旧字?使用。

?自分を含め、忠治も生きとし生けるモノだが、
永久にグルグルと転生極まりない運命を断ち切って
意志する人間と生まれてきても、日月(自然の摂理)は
自分を投げ捨てて去り、
自分(も忠治も生きとし生けるモノ)を
全て滅ぼしてしまう。?

いかんぞ殘生を新たにするも
冬の蕭條たる墓石の下に
汝はその認識をも無用とせむ。

「汝はその認識をも無用とせむ」:難解。
「殘生を新たにする」:輪廻転生で生まれ変わる?
「汝」=「国定忠治」?
「汝」と「我」という対比で、萩原朔太郎は国定忠治と
対話をしているようだ。
既に、国定忠治の墓は上州の荒寥たる自然の中に
投げ出されている路傍の石に過ぎないが。

――上州國定村にて――

上州國定村はその後、合併で佐波郡東村となり、佐波郡東村は平成の大合併で更に伊勢崎市となっている。青空文庫では「国」の旧字体「國」を使っている。萩原朔太郎は国定忠治の墓を訪問し、自分の人生と国定忠治の人生を重ねてみて、自分を相対化しているようだ。国定忠治の人生は、その生き様を通して、色々なメッセージを発信しているようだ。それを、うまく受信できない人もいるだろう。見方によれば、萩原朔太郎は国定忠治の墓を訪問し、生きる意欲を取り戻しているのではないか。

**********************************
萩原朔太郎に従って音読してみよう。

國定忠治の墓

わがこの村に來りし時
上州の蠶すでに終りて
農家みな冬の閾(しきみ)を閉したり。
太陽は埃に暗く
悽而(せいじ)たる竹藪の影
人生の貧しき慘苦を感ずるなり。
見よ 此處に無用の石
路傍の笹の風に吹かれて
無頼(ぶらい)の眠りたる墓は立てり。
ああ我れ故郷に低徊して
此所に思へることは寂しきかな。
久遠に輪廻*を斷絶するも
ああかの荒寥たる平野の中
日月我れを投げうつて去り
意志するものを亡び盡せり。
いかんぞ殘生を新たにするも
冬の蕭條たる墓石の下に
汝はその認識をも無用とせむ。

――上州國定村にて――

**********************************
以上、萩原朔太郎の作品は青空文庫から引用させていただきました。
ありがとうございます。

ページ先頭へ飛ぶ

最近の記事

検索サイト

NANDA?⇒物臭検索

  • ラベル(タイトル):最初は何も分からない
    なんだこりゃ?作成当時の記憶

エネルギー関係

ウェブページ

更新ブログ

PHOTO2(写真集)

  • Iob_fujijyuukouentotu
    たまたま出会ったもの2

PHOTO4(写真集)

  • Iob_minitomatodaruma
    果樹・野菜・花等

PHOTO5(写真集)

  • Iob_senteihasami_funsitu_sabi
    現在使われなくなった機器、農具、ガラクタ等。

PHOTO6(樹木等)

  • Iob_sendan_kiru_2013
    樹木の縮伐カット&トライetc

PHOTO7(写真集)

  • Iob_kaiko_ga_gazou
    BLOG関連写真2
フォトアルバム

MIKAN KUN

  • 赤城連山MAP
  • Fight_Fukushima
  • ISESAKI_PIGEON
  • MIKANKUN

Copyrighit

  • © Copyright 2006-2020  af06.kazelog.jp  All rights reserved.

健康関係:リンク&検索等

Favorites2

Favorites

Favorites3

Favorites4

やさしい科学・SCIENCE

  • 日経サイエンスのウェブページ
    「日経サイエンス」とは:「日経サイエンス誌は,1845年に創刊された長い歴史と伝統を持つ米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版で,世界の最先端の科学技術動向を日本の読者に届けています。」
  • SCIENCE IS FUN in the Lab of Shakhashiri
    University of Wisconsin-Madison Chemistry Professor Bassam Z. Shakhashiri のサイト

みかん栽培関係情報

ISESAKI  有情2

ISESAKI  有情1

BOOKS

  • 橋本 英文: 刃物雑学事典 図解・刃物のすべて(1986年 株式会社 講談社 ブルーバックス B-659)
    刃物という視点で多くの事例が取り上げられている。刃のある道具の理解にも役立つ。類書が少なく貴重な一冊。「すべり変形が切断の原理」という考え方で説明している。
  • 沼田 真   : 植物たちの生( 1972年 岩波新書(青版 833))
    「ご要望にお応えしてアンコール復刊(1988年岩波新書50年記念復刊) 地球生態系の中で自然を見直す」(腰巻きのフレーズ)。植物の知恵と戦略に人類は勝てるのか。
  • 出町 誠: 14_NHK趣味の園芸:よく分かる栽培12ヶ月  カキ(NHK出版2007年)
    初心者向け柿栽培参考書(新版)。旧版と比較すると楽しい。
  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
  • 沼田 真(編): 07_雑草の科学(研成社1979)
    雑草を多面的に解説し防除の基礎も述べる

外国語・国際関係

TOOLS

地域産業・機関

地域興し関連情報

MEMO_TL_TEST

  • TOP PAGEの 「アクセスランキング(2015/6/8より表示再開)」へ飛ぶためのラベル
  • TEST END
    TEST_H23/10

アクセスランキング

リンク:ページ先頭へ飛ぶ

写真集へのリンク