マイコン誤動作の犯人探し
2009/4/3
マイコン誤動作の犯人探し
ある時、マイコン応用機器が誤動作するという検討依頼があった。犯人はマイコンに使用さ
れるリセットICが疑われていた。このICが誤動作の原因であると判明すればクレームとなり
対策が求められる。色々検討したが誤動作という症状が出ない。証拠がないのでICは良品
であると判断せざるを得ない状況になった。しかし、顧客は納得しない。それならば、という事
で当時は最新鋭のメモリーオシロスコープという測定器を使って連続測定をして犯人を捕ら
えようとした。数日後にようやく犯人らしいノイズ信号を捕らえた。そのノイズは夜間に動作し
たリレースイッチから発生したものと推定された。リレースイッチは昼間にも働くので何故夜
間だけかという疑問も生じた。色々議論した結果ではリレーの巻き線の抵抗が夜間は温度
変化して小さくなりリレーの切り替え時に生じるノイズの波高値が高くなるのではないかという
結論に落ち着いた。このような現象は微妙な条件が重なって確実に再現させる事が困難な
場合が多い。しかし、この時の犯人探しは、問題を放置せずにとことん追求して犯人の尻尾
をつかんだので顧客側もメーカー側も面目を失うことなく納得できる結論が得られた。対策は
ノイズ吸収用にコンデンサーを1個追加するだけで済む。機器によっては設計段階で想定さ
れる条件で種々のノイズ試験を行っている会社もある。製品としては見えないが色々な試行
錯誤の積み重ねにより製品の信頼性が向上するということを経験した一例である。