トレーサビリティ
2009/5/3
トレーサビリティ
最近食品の偽装問題等への対処でトレーサビリティの導入が課題となる例が多い。ともか
く、製品にいつも履歴書を持たせるような対策はシステムの構築から実施まで多大なコストと
時間を要する。ちょっと手を抜けばトレーサビリティのシステムの信頼性が落ちる。ISO9001
等の標準ではトレーサビリティは信頼性の基本的な項目として重視されている。商取引に使
われるはかり等の測定器の校正もトレーサビリティの一つである。要するに測定値を国家の
標準値に従って管理する事により測定値の信頼性を確保しようとする方式である。電子式測
定器は大体がトレーサビリティが確保されている。しかし、信頼できる物理量を発生させるこ
とは必ずしも容易ではない。商用の機器も存在しない場合がある。今日、基準となる電流、
電圧、周波数等を発生する商用機器の入手が容易になり測定器の校正も行いやすくなっ
た。しかし、磁界発生器という特殊な用途の発生器はまだ少ないようである。自分が磁気セ
ンサーであるホールICを開発する時に印可する磁界発生器が入手できずに苦労した。しか
し、磁界を測定するガウスメータという商用の測定器はあった。仕方なく、コイルを巻いて、そ
れに流す電流により磁界を発生させる磁界発生器手作りで作成した。この磁界発生器に流
す電流と発生する磁界の関係を測定し校正カーブとした。これで、何とか測定器のトレーサビ
リティは確保でき、必要とする磁界を発生できた。センサー用の測定器はその物理量を電気
量に変換するところに難関がある。生産用の測定器はプロの測定器メーカーに製造部門が
発注したが同じ様な方式で数値を管理したと思う。