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2009年6月 2日 (火)

にわ鳥が先か卵が先か

2009/6/2

にわ鳥が先か卵が先か

会社で技術研究発表会というものが毎年開催されていた。当年の技術開発成果を集めて発

表し優秀な技術を表彰する。自分の担当する集積回路開発グループの成果が発表テーマに

選ばれた。当時は表現手段としてスライド写真を使用した。作成は写真屋さんに頼むので手

間がかかる。これを何枚も作り、シナリオに従って発表の練習をする。改善点が出てくるとス

ライドの作り直しを何回もする。これで、プレゼンの大切さを学んだ。自分の上司がプレゼン

の重要性を認識しており、プレゼンの優れた実践者でもあった。優れた成果でも、それを認

めさせなければその努力は報われない。これは、学校の発表会からノーベル賞にまで通じる

ことかもしれない。製品開発が成功したのは優れた回路技術とプロセス技術を開発したこと

によるというシナリオを作った。個別製品には個別の技術が要る。しかし、それを可能にする

共通のインフラ技術も必要になる。農作物で例えれば、優れた農産品とそれを作り出す畑の

関係である。優れた農産品は優れた技術の集積である。しかし、それを作り出すのはそれに

合った畑が必要である。発表が終わって、審査員の質疑に移った。発表の趣旨は分かった。

それならば、回路技術とプロセス技術のどちらが重要であったのかという質問であった。この

質問への回答にはたじたじした。回路技術も一つのチーム、プロセス技術も一つのチームで

あり、こちらが重要であると言うのははばかられた。現実的にも甲乙付けがたい。自分は回

路技術のチームに属していたが。一つの製品開発には、これ以外の色々なチームが関与し

ており、それがオーケストラのようにうまく自分のパートを演奏しなければ成功しないのであ

る。それは大変難しい質問で、例えてみればにわ鳥が先か卵が先かという質問への回答の

ようにならざるを得ませんというような回答をした事を覚えている。質問者は会社の技術部門

の要職に居られた人であったと思う。いま思うと回答が難しいのを先刻承知した上での質問

であったようだ。この発表は該当部門の最優秀賞に選ばれた。自分としてやりがいを感じて

いるのは、この仕事で作った畑を色々改良して多くの作物が作られていることである。にわ

鳥も卵も両方大切なのである。しかし、卵から育てたにわ鳥に次の卵を産ませるまでには息

の長い努力が要る。これは農業で言えば育種に通じる。工業から足を洗い、農業に足を突っ

込んでいるが、どうも魅力を感じるのは同じ様な所である。

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  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
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