くすのき
2009/12/23
くすのき
くすのきには色々な思い出がある。自分にとってクスとは多くの事を連想させるキーワードな
のかもしれない。自分が幼少時に育ったワラ屋根の家の北側に父が植えた。どこかにクスノ
キのある家を知っており、それにあやかって自分でも植えたらしい。幼少時代には既にかな
りの大木になっており、その下で遊んだこともあった。夏は日陰を作り涼しさをもたらした。ワ
ラ屋根の古屋も当時ですでに築百数十年になっていたと思われる。雨漏り、すきま風に悩ま
され、古屋の材木と自宅周辺の杉の木を切って新たに家を造った。昔の家は余り釘などを使
わないのでプラモデルと同じようにばらして再利用できる部分は再利用したようだ。こういう方
式も昭和30年代我が家の新築の頃で終わったようだ。自分が会社の持屋制度で家を建てた
ときは全部新材を使った。余り使わない裏庭/バックヤードがあったのでその家は後方に退い
て造られた。従って、クスノキが家の前部に位置してしまった。夏場は涼しさをもたらしたが、
冬の日陰には困った。母は切ろうと言っていたが、父が生存中はとうとう切らなかった。その
後、決心の末か、業者を頼んで切ってもらうことにした。当日、自分は出勤で切る現場にいな
かった。どんな様子になっているかと思いつつ帰宅した。クレーンを入れて切ったので根本か
ら切られていると思った。しかし、枝を払って、上部の半分位を切り取って幹は残っていた。
どういう経緯でそういなったのか。母に聞くと業者が残したようだ。当然母はそれに同意した
ことであろう。ともかく、そのクスノキは何とか生き延びた。すでに、その時からまた十年程経
過した。枝は元と同じくらい伸びてしまっている。しかし、上部を切ったのが原因か、樹幹が横
に太って、ゴツゴツが目立つようになった感じがする。要するに木は上に伸びられないならば
横に伸びようとするらしい。樹木は木の太さに応じて栄養分を蓄えているようだ。枝や幹の上
部を切られたら、蓄えた養分の行き場所がない。樹幹からも芽が出て枝をのばそうとした。
十年ほどでようやくそれも安定したようだ。今後はこのクスノキとどうつき合うべきか。切り取
られたクスノキの一部は彫刻の材料として使ってくれた人がいた。何かの役に立つこともある
だろう。