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2010年4月 9日 (金)

土偶:いとしきもの

2010/4/9

土偶

見事なる縄文期土偶ただ一つ万国博の記憶にのこる

昭和萬葉集16巻。万博の日本 万国博の区分にあった短歌である。大阪で開催された万国

博は自分にとっても記憶に残る一場面である。技術者の卵として大阪に短期間出張滞在し

た時、その職場の上司が万博見学に誘ってくれた。その記念モニュメントが太陽の塔であ

る。岡本太郎という芸術家もそれを契機に知ったようだ。その後、岡本太郎が縄文土器の美

を発見した事も知る。土器は実用性が最も重要であったと思う。考古学者は土器の芸術性を

公的に論じる事はなかったのであろう。ともかく、文字のない時代の日本の先住民の精神性

を読みとろうとした結果が縄文土器の芸術性の発見であったのだろう。「芸術は爆発だ」とい

う言葉も耳に残る。WIKIPEDIAの岡本太郎の項目を読むと自分を一つの領域に閉じこめる

ような性格でないことが理解できる。一方、縄文期の遺物の中で土偶の占める位置は特異で

ある。ともかく、当時の人々が自分たちの願い事をその素焼きの人形に託していたものと推

測されているようだ。上記の歌の作者は記憶に残ったのは、科学技術の最先端の展示物で

はなく、数千年前の土偶であったと詠っている。確かに、自分たちの願い事をその素焼きの

人形に託すという今までに全く無かった先人達の精神の進歩をその土偶は強力なメッセージ

を込めて示しているのではないか。数千年前に人間精神の大発展があった。最近の物質文

明の進歩は縄文時代の人間精神の発見・発露からみるとまだ及ばないようにも見える。そん

な事を考えていると、あの太陽の塔は巨大な土偶であったように思えてしまう。ひょっとする

と、この歌の作者は太陽の塔自体を見事な土偶に重ねていたのかもしれない。

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