雑草句録:はさみ研ぎ
2010/10/11
雑草句録:はさみ研ぎ
■はさみ研ぎ切れ味鈍る秋の暮れ
刃物は石器時代からあるので刃物の歴史は人類の道具を作る歴史と共に始まった位長いようだ。刃物の原型は一枚刃であるが、何故切れるのか、切れ味は何が決めているのか良く分からない。刃物の本によれば極微の面積の刃先に力が集中して素材の粒子に滑りが生じてその不可逆変形の結果が切断になるようだ。簡単に言えば力を集中させる道具だ。接木をするのに刃が薄ければ良い結果がでるのではないかと思い安全カミソリの刃を使ってみたが使い勝手が悪く失敗であった。刃の食い込みは良いが削ぎ落とすとき方向の制御ができない。軟らかい果菜類の苗なら適すると思うが、樹木の接ぎ木には相手が固すぎて不適なようだ。
はさみは二枚の刃を組み合わせた刃物で研ぎ方が難しい。単に平の刃を交差するのではなく、刃の全体に反りと捻れを入れているという事を最近本で知った。更に小刃が付いている。この三つの関係を頭に入れて研ぎと調整をしないと切れ味は良くならないのだろうと気付いた。この句作時は期待に反して切れ味は研ぐ前より鈍ってしまった。研いだはさみは古いラシャはさみで布切り用だ。裁縫という言葉が古語になるほどの時代でほとんど出番が無くなっていた。紙なら何とか切れたが、ビニールを切ろうとしたのも研いだ動機であったが、ビニールは刃に挟まって伸びただけであった。ビニールが切れれば鋏研ぎも一人前かもしれない。いつかまた挑戦してみたい。
追記:ビニール切り用のはさみもあるらしい。普段、よく使う刃物は包丁やひげそり程度であろう。包丁がない家庭が話題になった事もあったようだ。刃物研ぎは男の仕事として、切れなくなった包丁にイライラして研ぐこともある。製造業の基礎となる工作機械や医療の手術等も刃物無しでは考えられない。WIKIPEDIA(最終更新 2010年6月13日 (日) 06:23 )で刃物が最も進化したマシニングセンタを調べたので以下に抜粋する:
「マシニングセンタ(machining center)は、自動工具交換機能をもち、目的に合わせてフライス加工・中ぐり加工・ねじ立てなどの異種の加工を1台で行うことができる工作機械。工具マガジンには多数の切削工具を格納し、コンピュータ数値制御(CNC)の指令によって自動的に加工を行う。
旋盤との大きな違いは、旋盤が「ワークを回転させて削る」のに対し、マシニングセンタ(フライス盤)は「刃物を回転させてテーブルに固定してあるワークを削る」点である。NCフライス盤との違いは、ATC(Automatic Tool Changer、工具自動交換装置)の有無である。
マシニングセンタの特徴
マシニングセンタは、ドリル、エンドミル、フェイスミルなどの「刃物を回転させて」テーブルに固定されているワークを削る。この点で、ワークを回転させて、刃物をあてる旋盤とは異なる。 また、NCフライス盤と違い、ATC(自動工具交換装置)を備え、自動で工具を交換することができるのも特徴である。 そして、これらのことをNC及びCNC装置を使って自動で行うことも、マシニングセンタの特徴である。」
ついでに超微細な切削をおこなうミクロトームについてWIKIPEDIA(最終更新 2010年8月8日 (日) 14:00 )で調べた。以下その抜粋:
「存在意義と必要条件 [編集]
生物学・医学・鉱物学などで顕微鏡を用いて組織を観察する際、通常プレパラートを作成して行う。このプレパラートを作成する際には、観察を確実かつ容易にするために試料を均一かつ薄く切り出す必要がある。特に高倍率での観察の際には顕著に被写界深度が浅く(ピントのあう範囲が狭く)なる。さらに、透過型電子顕微鏡(TEM)での観察の場合は、電子線を透過させる結像原理から超極薄の試料が要求される。カミソリを用いて試料を手動で切り出すなどの方法では精度に限界があるため、ミクロトームが必要とされる。ミクロトームを用いた場合、マイクロメートルのオーダーから数十ナノメートルに至る薄さでの均質な切り出しを確実に行うことができる。特に、TEM観察用の極薄切片の切り出しが可能なものをウルトラミクロトームと呼ぶ。」
「マイクロメートルのオーダーから数十ナノメートルに至る薄さ」に物を切断する技術にも興味が湧く。実は接ぎ木した穂木と台木の細胞がどのようにしてつながっているのかが知りたいのだがまだその写真等を見たことがない。これは植物の話だが、動物の場合は臓器移植の例に該当するだろう。想像では植物も動物も異なる組織が接合した場合、その境界の細胞を肉眼(顕微鏡レベル)で区別しにくいのではないかと思う。お互いに細胞が相手の領域に進出して混じり合っているのではないか。