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2010年12月27日

2010年12月27日 (月)

読みかじりの記:(高山)彦九郎 歌と生涯(10)

2010/12/27
PARTⅡ

読みかじりの記:(高山)彦九郎 歌と生涯(10)

○「純粋な皇室観を」の章

■君が代の栄えもさそな緑なる 亀の尾長き春をためしに
■玉鉾の道の栄えやよろづ世に 亀も緑の色を見すらし

著者は「彦九郎が緑亀を入手して、これこそ天皇の徳本政治の行われる瑞兆なりとし、これを叡覧に供したというのである。」と記す。これは、白亀が現れて、神亀と改元した故事にならったようだ。彦九郎がその亀を入手した説を示した後に、「然しこの数日こそが彦九郎にとって最良の時で、間もなくきびしい波乱の時が迫っていたのである」とこの章を結んでいる。改元が行われるには大きな理由・必然性が必要だろう。彦九郎がどんな目的で緑亀を献上したか定かではないが、変化が起こるエネルギーが不足していたのであろう。

追記:当地伊勢崎の八幡沼開鑿の指導者・二代目川端宇兵衛も高山彦九郎の後を追うように江戸やその他の地方を遊学したようだ。江戸行き定兵衛というあだ名があり、隣家に行くように気楽に長い旅に出てしまったという話が後裔に伝わっているとの事だ。残念ながらその記録は残っていないようだ。しかし、当時の土木技術集団の黒鍬が八幡沼開鑿に関係したのは確実なようで、四国の宇和島と関係がありそうだと、当地の郷土史家が語ってくれた。振り返ってみると、高山彦九郎は四国へ足を踏み入れていないようだ。四国の溜め池作りは空海以来、技術が高いのを知って、二代目川端宇兵衛は四国を訪問して人脈作りをしていたのではないかと推測される。一度先方の図書館に問い合わせをしたが、該当する記録は得られず以後調査は頓挫しているが、四国、高山彦九郎、川端宇兵衛という点が線で結ばれる可能性はゼロではないだろう。

読みかじりの記:(高山)彦九郎 歌と生涯(9)

2010/12/27

読みかじりの記:(高山)彦九郎 歌と生涯(9)

○「純粋な皇室観を」の章

18歳の彦九郎が上京して見た皇居は荒廃の極みであった。また、天明八(1788)年の京都の大火で皇居も炎上した。著者須永義夫は、「幕府は松平定信に禁裏修復を命じ、寛政二年の十一月にほぼその造営を終える。彦九郎はその造営完了と共に上京して新居を拝したのだから、その心情は輝いている。」と述べる。

■そらにきる衣やけさはほのぼのと 霞ぞかかる九重の春
■野辺に出てみればや四方の山々も 雪とけそめて緑をぞ見す
■花や人や花とも見え分かぬ 都の春は錦なりけり
■われをわれとしろしめすそや皇(すめろき)の 玉の御こゑのかかる嬉しさ

著者は、「始めの歌は明けて寛政三年の元旦に岩倉三位具選卿へ新年の賀詞として捧げたものである。次の二首は雪解けが始まって緑してくる山々、都の花時の賑わいを御代の春の晴れがましさとして描いている。彦九郎の純粋な皇室観が直接に伝わってくる歌だ。最後の歌は彦九郎の最も代表的な歌とされている。」「~、直接御声をかけられたように感激し、恐懼してこの歌を詠んだのである。」と続ける。光格天皇が公卿に高山彦九郎の事をお尋ねになったのを知ってこれほどの喜びようであたので、まさに「感激・恐懼」としか言いようがないようだ。最後の歌は太田市の高山彦九郎神社社務所近くに歌碑となって建っているとの事だ。「彦九郎四十五歳、久留米で自刃する二年前の歌である。」

追記:最後の一首は伝聞の形式であり、直接のお声掛けはなかったようだ。やはり、どこかに見えざる大きな溝があったのだろうか。何とか年内にこの読みかじりを終了したい。本日、:(高山)彦九郎 歌と生涯(10)も投稿する。

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