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2011年9月18日 (日)

読みかじりの記:「新版 チェルノブイリ診療記 福島原発事故への黙示」菅谷昭 著 (2011年 新潮社)

2011/9/18
昨日は曇り時々晴れ。ただし、気温は日中と夜間とも高く真夏日、熱帯夜であった。用事で外出。ついでに書店に立ち寄った。新刊書コーナーには原発・放射能関係の本が多く並んでいた。放射能が、危険で見えないだけに関心が高いようだ。

2011/9/17の天気

TAVE= 27.7
TMAX= 32.1
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読みかじりの記:「新版 チェルノブイリ診療記 福島原発事故への黙示」菅谷昭 著 (2011年 新潮社)

今年7月に文庫版で再出版された本=菅谷昭 著 「新版 チェルノブイリ診療記 福島原発事故への黙示」(新潮文庫@400)は今手許を離れている。もう一冊と書店で探したが見あたらなかった。著者が医師としてチェルノブイリで診療活動をした内容を本にしたものだ。ざっと目を通したのだが、もう忘れかけている。印象に残っている部分だけでも書いておきたい。著者の専門が甲状腺医学との事で、幼児の時にチェルノブイリで被曝した少女が甲状腺癌になった話等は身につまされる思いがした。体内で甲状腺ホルモンを作るときにヨウ素が必要になるので、ヨウ素が甲状腺に集まる。

「ヨウ素;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%A6%E7%B4%A0;(最終更新 2011年9月4日 (日) 06:12)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。の記事に「チェルノブイリ原子力発電所の事故では、核分裂生成物の 131I (放射性同位体) が多量に放出されたが、これが甲状腺に蓄積したため、住民に甲状腺ガンが多発した。」という記述がある。

人体は通常のヨウ素と放射性ヨウ素の区別ができないので体内に放射性ヨウ素があればを甲状腺に取り込む、結果として甲状腺が内部被曝を受ける。多分、幼児の細胞は若いので、細胞分裂の回数が成人より多いのだろう。従って、細胞分裂の時に放射性ヨウ素が出す放射線が細胞内のDNAを損傷すると遺伝子の複製に誤りが生じる確率が高まる。従って、体内の放射線により損傷したDNAが癌化のトリガーになる。原発事故事故の直後にヨウ素剤を服用するのは、必要だけの通常のヨウ素を体内にとりこませてしまい、結果として放射性ヨウ素を取り込ませないようにするためのようだ。

東京電力福島原発事故の直後に、ヨウ素剤を配り服用させた自治体もあったようだが、何の対策もしなかった自治体もあるようだ。当時は情報が余りにも少なく、甲状腺癌予防の必要な対策が採られていない例の方が多そうだ。福島原発事故後の初期には半減期の短い放射性ヨウ素の濃度のニュースが多かったが、現在は半減期が長い放射性セシウムのニュースが多い。現在幼少年期にある福島原発事故による放射性物質被爆者は10年、20年後に思春期、青年期を迎える。その頃になると世間一般の福島原発事故への関心は相当薄れて居るだろう。そういう状況の中で、発ガンの恐怖や結婚をどうするかというような厳しい場面に直面することになるだろう。そのような部分が本書の内容と重なって見えてくるような気がするのだ。

追記(2015/7/12):
放射線被曝強度と発癌の確率は相関があるとするのが現代科学の知識と言える。ただし、放射線量が微少な的な場合は議論がある。一部専門家は微少量の被曝では発癌しないと主張しているようだ。その主張を否定するような調査結果が最近報道されている。放射線と遺伝子DNAが相互作用を起こすのは量子力学の原理に基づく確率現象である。放射線で破壊されたDNAはある程度修復されるのだろうが、何ら根拠も無く、「微少量の被曝では発癌しない」と主張するのは科学的な発言では無く、何らかの意図を持った政治的発言になる確率は高くなるだろう。下記のニュースはこの分野の新しい発展を示す成果だと思われる。日本はまともに放射線災害に取り組む気概を持っているのか。

Googleにてキーワード「甲状腺ガン」で本サイト内を検索(https://www.google.co.jp/?gws_rd=ssl#hl=ja&q=%E7%94%B2%E7%8A%B6%E8%85%BA%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%80%80site:http:%2F%2Faf06.kazelog.jp%2Fitoshikimono%2F)。(サイト内検索

47ニュースは、「放射線低線量でも白血病リスク 欧米作業員30万人を疫学調査。;http://www.47news.jp/CN/201507/CN2015070201000814.html。(2015/07/02 09:49   【共同通信】))」というタイトルで、「【ワシントン共同】低線量の放射線を長期間にわたって浴びることで、白血病のリスクがごくわずかだが上昇するとの疫学調査結果を、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)などのチームが1日までに英医学誌ランセット・ヘマトロジーに発表した。 欧米の原子力施設で働く30万人以上の被ばく線量と健康状態のデータを分析した。低線量被ばくの健康影響を統計的に示した研究は少なく、東京電力福島第1原発などで働く作業員や、放射線機器を扱う医療従事者の健康管理に役立つ可能性がある。」と報じた。(この記事へのリンク:書式ミスでNG)(この記事へのリンク

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    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
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