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2013年2月 8日 (金)

ツルよ 飛んでおくれ:富岡製糸場と絹産業遺産群 荒船風穴の知られざる謎。130208。

2013年2月7日金曜日
昨日は曇りのち晴れ。最高気温(℃) 9.4 18:01 。ざっそう句:残雪に 風穴思う 庭の隅。まだ、あちこち残雪がある。宅内閑居。会合。最近BLOGの手入れをしている。一度書いた記事もついつい忘れてしまう。それを掘り起こして再利用したいと思っている。その記事を探すのに検索機能を使いこなせれば楽になると思うのだが。デジカメの画像を探すのが大変。画像認識して探してくれるようになると便利だとおもうが、現実的にはファイル名に検索用のキーワドを追加することくらいしか思い当たらない。

2013年2月7日の天気(AMEDAS)

TAVE= 4.9  
TMAX= 9.4 最高気温(℃) 9.4 18:01 
TMIN= 0.8 最低気温(℃) 0.7 02:15 
DIFF= 8.6  
WMAX= 4.4 最大瞬間風速(m/s)(風向(16方位)) 10.0(北西) 22:19 
SUNS= 3.5  
RAIN= 0  




ツルよ 飛んでおくれ:富岡製糸場と絹産業遺産群 荒船風穴の知られざる謎

上毛新聞は、「「富岡製糸場と絹産業遺産群」推薦書 ユネスコに提出
http://www.jomo-news.co.jp/ns/2913596484617322/news.html。(更新日時:2013年2月1日(金) AM 07:00))」というタイトルで、「政府は31日、世界遺産条約関係省庁連絡会議を外務省で開き、2014年の世界文化遺産登録を目指し、本県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦すると最終決定。ユネスコに正式版推薦書を提出した。  文化庁によると、正式推薦書は昨年9月にユネスコに提出した暫定推薦書から大きな変更はなく、連絡会議でも全会一致で提出が決まった。推薦書は既にパリのユネスコ日本政府代表部に届いており、31日に代表部から世界遺産センターに提出された。 」と報じた。

「富岡製糸場」、「田島弥平旧宅」、「高山社跡」はその中核を成す建築物が存在していて何となく理解しやすく感じる。一方、下仁田町にある「荒船風穴」は養蚕関連施設であるが、自然の冷房効果を使っているという点で他と比較すると異色であり、なぜ冷風が発生するのかまだ十分解明されていないようで、その謎の部分が興味をそそる。

昨年末、あるイベントで下仁田町教育委員会が発行した「国史指定 荒船風穴(注:荒船風穴と西野牧の位置関係は本資料1ページ)」というパンフレットを頂いた。このPDF版は同町のHPにもあった(世界遺産登録に向けて:荒船風穴測量結果 PDF 版 =http://www.town.shimonita.lg.jp/sozai/file/kyouiku/hurusato/Arahune-huketu.pdf)。資料としては詳しく、謎を考えるのには参考になるだろう。今後、専門家の調査研究による謎の解明に期待したい。

そのパンフレットに風穴内部の温度変化のデータが掲載されていた。データは2~9月まであり、他の月の分が分からない。実用性を考慮したデータだったのか。ともかく、冬のヒヤリとした寒さが夏も維持できる事はそのデータから読みとれる。

それでは、風穴の外部の温度と内部の温度にどんな関係があるのか知りたいところだ。幸い、近くに気象庁の西野牧という気象観測所があり、データが気象庁ホームページに掲載されている。2001~2011年の各月の単純平均を求めて相関図を作成してみた。1号風穴のデータを使い、欠けているデータは、直線的に変化していると推定して補足した。厳密なデータというより、傾向が見たいので、それで我慢。

普通の月ごとのグラフでは、風穴の外部と内部だけを独立に示しているので、関係が掴みにくい。前年の一月と次年の一月のデータが同じと仮定すると、相関図が野球のばっとのよういな一筆書きの図になった。外部の気温が最高になるのが8月に対して風穴内では9月最高になる。1ヶ月の遅れが生じている。また、外気温が上昇するバットの下側では、風穴の温度上昇が緩やか。外気温が下降するするバットの上側では、風穴の温度下降が急であるのが分かる。こういう傾向が生じる理由としては、風穴の内部に冷気が生じていると推定できそうだ。

じつは、パンフレットをもらったとき、風穴が出来る理由を聞いたら、同じ様な回答をしてくれたので、結果的には同じ結論になったのかと思った。要するに外部の熱と内部の熱が混じってしまうと冷気を保存できない。風穴を単なる倉庫と考え、何のしかけも無ければ外気温と庫内温度は接近して行く。中に氷を入れて密閉し、暖めてから冷やすという気温変化を外部から与えてやると、相関のカーブは行きがなだらかで帰りが急になると予想できるだろう。逆に、中に暖かいお湯のような物を入れて同じ操作をすれば、逆の傾向が出るのではないか。

以上は、風穴をブラックボックスとして考えたときの事だ。要するに、冷たい熱源を想定する必要がある。どこかに、解けない大量の氷があるのかも知れないという人もいた。魔法瓶のように熱の出入りを防げれば冷気を保てるだろうが、人が中に入って作業しても冷気が保たれるためにはやはりどこかに冷たい熱源があるのかもしれない。

もらったパンフレットに風穴の断面構造図が記載されている。穴全体を山の岩が取り囲んでいるようだ。見方によれば、この岩山全体が冷熱源になっている可能性もあるだろう。問題はその岩盤の熱抵抗だ。その岩が金属のように熱抵抗が低ければ、風穴に多少の暖気があっても、岩盤に蓄積された冷気が岩盤を伝わって供給されるので、風穴の温度は岩盤の温度に近くなる。

熱の移動性の良否は電力半導体の熱設計で遭遇する問題でもある。半導体の場合は熱源を想定するが、風穴の場合は冷熱源を想定すればよい。厳密には岩盤を加熱する太陽光や外気を遮蔽している樹木や気候条件も関係しているだろう。樹木等は太陽熱を遮断し岩盤の温度上昇を抑制しているのだろう。周辺の河川や水分を保持している植物の蒸散熱による冷却効果も考えられる。更に冷熱の発生源としては氷や雪がある。雪氷解け水はほぼ零度に近いはずで、雪氷解け水が流れる河床が風穴の岩盤へ冷熱を供給して蓄積し、風穴に連結している岩盤経由で冷熱が風穴に供給されている可能性もある。当然、夏に蓄積される暖熱にうち勝つだけの冷熱が供給される事により風穴の冷蔵庫作用が生まれる筈だ。

ある関連するX(t)とY(t)の二つの量(数値)の関係から、時間を消去してX-Yのグラフにすると行きの曲線と帰りの曲線が異なる場合がある。そのような現象をヒステリシス(履歴)現象と言う。学生時代、変圧器の磁性を測定して、B-Hカーブというデータを取ったことがある。荒船風穴も同じ様な発想で考えてみた。B-Hも素材により色々な特性を示す。荒船風穴も色々なデータをとるとそのメカニズムに迫れるのではないかと思った。荒船風穴と気象庁の西野牧観測所の距離や立地条件が異なるので、正しい結論は勿論直ちには出ないだろう。また、無謀なデータいじりかもしれない。ただ、荒船風穴も色々な見方・解釈が可能だろう。

風穴の冷蔵庫作用を解明するためには、結局、三次元の熱伝導微分方程式を解くことに帰着するのではないかと想像が羽ばたく。是非、若い人にもこういう謎に挑戦して貰いたいと思う。理論は別として、明治時代の先人達は、このような自然現象を巧みに利用して、養蚕を大きな産業にまでそだてたのは歴史的事実だ。今日の科学技術の力を借りれば荒船風穴の知られざる謎は解けるだろう。是非、その謎を解き明かしてもらいたい。それこそ、荒船風穴の歴史的価値だけでなく、科学的な価値を与える事になるのではないだろうか。さらに突き詰めると、地球温暖化や環境問題をより良く理解する糸口も与えてくれるのではないかと思う。
Arafune_fuuketu_naigaiondo_soukanzu
注記:グラフ中の「西牧野」は記入ミスで「西野牧」に訂正。

追記(2018/06/30):この記事がランキング10位に入った。タイトル文字の変更と投稿期日の追加をした。日付ミスを修正。前日日付のコピペ入力のままであった。

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  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
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    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
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    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
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