09D_かみつけ女流歌人 雅 観賞

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2011年4月23日 (土)

老人の寝言:原発事故は好転していると言いつつも言葉が変わるのはなぜか

2011/4/23
今年は雑草対策に植えているハナダイコンの花が最盛期を迎えている。株が密集していると横に伸びられないので、上に向かって伸びているように感じる。背丈を伸ばしつつ花を咲かせる姿に生存競争の厳しさも見せつけられる。東北関東大震災も発生以来40日を越えたが、依然状況は混沌としている。特に、福島原発事故は益々人災の様相を呈して来た。政府も東京電力も信頼を失っている。チェルノブイリ原発事故が現実になり、謝罪し、損害賠償をすると言いつつも、既に増税や電気料の値上げ等そのツケが国民に回されようとしている。それは、けじめを付け責任をとった後にやることではないか。

昨日の天気

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老人の寝言:原発事故は好転していると言いつつも言葉が変わるのはなぜか

「地域」と「区域」を無意識に混同していた。福島原発事故の放射能被害を防止するために政府は原発を中心に「待避指示区域」と「屋内待避指示」を定めた。この区域設定の最大の要因は放射能汚染強度であろう。原発事故が発生後40日ほど経過して、放射能濃度は減少したかのような情報が流れている。しかし、新に、「警戒区域」、「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」等の区域が設定された。ところで、ここで「待避」と「避難」の違いは危険度の大きさで使い分けているのか。政府の説明でも「待避」とは念のため、即ち予防的意味があったと思う。従って強制力をこの指示には含めていないのだろう。しかし、「避難」とは、危険が目前に迫っているという印象を受けまたそのように理解も可能だ。強制力を付与しているのはそれを裏付けているだろう。しかし、政府は東電の工程表、原発放射能の測定値等から、危機は遠のいたというようなメッセージを発信している。これでは、これらの該当区域の住民は、政府の信頼性と行っている事と言っている事が違うという精神分裂状態の対応の不統一を追求せざるを得ないのではないか。該当区域の住民の疑念は政府の行動から見ると福島原発周辺は原発事故発生当初からチェルノブイリ原発事故のような事態にあったのではないかと言うことではないか。該当区域の住民はこれを証明する知識もデータも情報もない。許せない。しかしその理由を的確に言えない。まさに、「悪魔の証明(WIKIPEDIA:url=http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E8%A8%BC%E6%98%8E)」問題になる。今は政府の説明責任が絶対に避けられない場面にさしかかっているのではないか。

原子力災害対策特別措置法に目を通すのは初めてだ。以下に「区域(緊急事態応急対策を実施すべき区域 )」根拠になると思われる条文を抜粋する。

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  第三章 原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置等

(原子力緊急事態宣言等)
第十五条  主務大臣は、次のいずれかに該当する場合において、原子力緊急事態が発生したと認めるときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、その状況に関する必要な情報の報告を行うとともに、次項の規定による公示及び第三項の規定による指示の案を提出しなければならない。
一  第十条第一項前段の規定により主務大臣が受けた通報に係る検出された放射線量又は政令で定める放射線測定設備及び測定方法により検出された放射線量が、異常な水準の放射線量の基準として政令で定めるもの以上である場合
二  前号に掲げるもののほか、原子力緊急事態の発生を示す事象として政令で定めるものが生じた場合
2  内閣総理大臣は、前項の規定による報告及び提出があったときは、直ちに、原子力緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(以下「原子力緊急事態宣言」という。)をするものとする。
一  緊急事態応急対策を実施すべき区域
二  原子力緊急事態の概要
三  前二号に掲げるもののほか、第一号に掲げる区域内の居住者、滞在者その他の者及び公私の団体(以下「居住者等」という。)に対し周知させるべき事項
3  内閣総理大臣は、第一項の規定による報告及び提出があったときは、直ちに、前項第一号に掲げる区域を管轄する市町村長及び都道府県知事に対し、第二十八条第二項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法第六十条第一項 及び第五項 の規定による避難のための立退き又は屋内への退避の勧告又は指示を行うべきことその他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとする。
4  内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言をした後、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、原子力安全委員会の意見を聴いて、原子力緊急事態の解除を行う旨の公示(以下「原子力緊急事態解除宣言」という。)をするものとする。
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以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:倒伏の稲

歌題=倒伏の稲:

■台風の 荒ぶる深夜の 田に立ちて 今の今倒れし 稲穂を撫でる 17 石関 悦子

わが子のように育てた稲が台風で倒伏した無念の情を詠んだ。

2011年4月22日 (金)

歴史の転換:東日本大震災に関する情報量

2011/4/22
雑草との格闘が始まった。まだ、雑草と格闘しているような状況では良農からはほど遠い。本日から『警戒区域』が実施される。日経(url=http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E0E3E2E2E08DE0E3E2E6E0E2E3E39C9CEAE2E2E2;2011/4/21 19:33 (2011/4/22 1:03更新))は、「原発半径20キロ圏内、きょうから警戒区域 周辺9市町村 計画的避難区域は詳細発表へ 」というタイトルで、『福島県内の9市町村は22日午前0時、東京電力福島第1原子力発電所から半径20キロメートル圏を災害対策基本法に基づく「警戒区域」に設定した。21日に菅直人首相が福島県知事と関係市町村長に設定を指示した。』と報じた。

該当地域の住民の声がラジオ、テレビから流されている。悲痛の極みだ。住みたいところから追い出される。自分の故郷で生きることは自分の命と同じである。それを、政権は狂人が銃を乱射する如く、権力を振り回し、何の納得できる説明もなく、住民を追い出してしまう。これ以上の人権侵害があるだろうか。チェルノブイリ原発の立入禁止区域は鳥獣の天国になっているとの事だ。住民は25年も、また今後も地獄の苦しみを味わう。政府は、チェルノブイリ原発事故のような最終的なシナリオを描くならば、それを公表すべきである。住民は、何の情報もなく、自己をあきらめ・なぐさめることすらもできない。当局は、住民の地獄の苦しみを感じているのか。知ると感じるは別物だ。

ふと、宮沢賢治の「雨にも負けず」を思い出した。青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/45630_23908.html)から引用する。
*******************************************

〔雨ニモマケズ〕
宮澤賢治

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩

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電波時計の福島の長波電波標準局再稼働のうれしいニュースがあった。これに対しては、現役時代にISOの仕事をして標準とトレーサビリティの重要性を学んだので以下の記事を書いていた。
http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2011/04/post-5238.html


asahi.com(url=http://www.asahi.com/business/update/0421/TKY201104210424.html;2011年4月21日20時46分)は、「電波時計が復活 福島県の送信所、無人のまま再開」というタイトルで、「東京電力福島第一原発の事故の影響で、東日本を中心にできなくなっていた電波時計の時刻合わせ機能が21日、およそ40日ぶりに復活した。時刻合わせに使う電波を出す送信所が、原発20キロ圏内にあるため職員が避難し、電波が止まっていたが、送信を再開した。~。送信所を運営する情報通信研究機構の職員ら計10人が21日、防護服を着て送信所に入り、機械のスイッチを入れた。」と報じていた。

水晶時計でも、長期的には誤差が蓄積してしまう。現在では世界が同じ時刻を共有している。これは生活の表面からはほとんど見えない。しかし、この共通の時刻という目盛りを通して全ての情報の生起・消滅等が正確に特定されるのである。そういう意味で、東北関東大震災という最初の1ヶ月間福島の電波標準が停止していた事は歴史に残すべき禍根であったと思う。正確な時刻が刻印されたデータを集積して解析すれば貴重な情報を引き出すことができる。そのデータをシミュレーションにかければ、見えない部分も見えてくる。原発爆発もスローモーションで再現できる。

追記:情報通信研究機構のホームページで「おおたかどや山標準電波送信所では、福島第一原子力発電所の周辺地域を対象に避難指示が出されたことを受け、標準電波の送信を3月12日19時46分から停止していましたが、必要な措置を実施し、4月21日13時54分に暫定的に送信を再開しました」と報じていた。情報通信研究機構の職員は国家公務員かそれに準じる身分ではないか。何の保護も受けていない一般住民にならって、「避難指示が出されたことを受け」という理由で現場を放棄したようで今もなんとも後味が悪い。こういう事こそ、マニュアルに明記して再発防止を図ってもらいた。国の標準を維持するミッションは危険な原発事故現場で働く自衛隊員、消防隊員等と何ら変わるはずはないと思うが。

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歴史の転換:東日本大震災に関する情報量

東北地方太平洋沖地震による地震、津波、福島原発の事故という三重苦の災害は日本の歴史の転換の契機になることに間違いはないだろう。地震発生から一月と十日を経て、ビッグバンのように膨大な情報が発生したと思う。その一瞬の情報量をGoogle検索のヒット件数で探ってみた。

2011/4/21 8:54~
東北地方太平洋沖地震:約 112,000,000 件
東日本大震災:約 149,000,000 件
東北関東大震災:約 4,460,000 件
福島原発 放射能:約 10,200,000 件
福島原発被害:約 8,740,000 件

その他、思い付くまま以下の各キーワードで検索してそのヒット件数を降順に並べてみた。この数値はGoogleの検索エンジンに依存しているので何を意味しているかコメントは不可能だ。だだ、数値でそのキーワードを思い起こす参考にはなろう。

Google検索(2011/4/21):キーワード ヒット

件数

ケンスウ

東日本大震災 水: 59500000
東日本大震災 携帯: 42800000
東日本大震災 食料: 35200000
東日本大震災 電話: 33700000
東日本大震災 交通: 22300000
東日本大震災 停電: 16000000
東日本大震災 被災者:   14600000
東日本大震災 義援金: 14000000
東日本大震災 津波:  13600000
東日本大震災 寄付: 9710000
東日本大震災 ガソリン: 7670000
東日本大震災 火災: 3000000
東日本大震災 救助: 2510000
東日本大震災 安否: 2090000
東日本大震災 飲料水: 1460000
東日本大震災 家屋倒壊: 277000

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:母

歌題=母:

■痛む膝 さすりつつ思ふ 母さんと 同じ痛みか もう聞けぬなり 91 黛 凡恵

亡くなってから聞いておきたかった事が次々に思い起こされる。膝の痛みさえそうなのかとうなずく。

2011年4月21日 (木)

老人の寝言:原発事故で日本のロボットの出番がないのはなぜか

2011/4/20
昨日は雲もない雨後の晴天。こういう時は花粉がよく飛ぶと天気予報士が解説。ヒノキ花粉が多くなっているとのことだが。夕方、以前話をしたラーメンの巡回販売人が声をかけてきた。知人に聞いたらジャンガララーメンを知っていたよという他愛のない報告。ともかく、共通した話題があれば話はつながる。

昨日の天気

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老人の寝言:原発事故で日本のロボットの出番がないのはなぜか

日本の産業用ロボットは、半導体や自動車の組立で不可欠の存在になっている。これは用途に特化したロボットで、ロボット自身が歩行する必要もない。一方、歩行して人間と同じような動きをするロボットに関する技術も最近は非常に向上しているのではないかと思っていった。一時は、ホビー用に犬型ロボットも人気があった。それだけの技術があれば、原発の建屋の中で動き回るロボットはお手の物と思っていた。ところが、福島原発で活躍しているロボットはどうも外国産のようだ。理由は分からない。ともかく、原発建屋内部をロボットがくまなく走り回りそのようすが詳細に把握されてしまえば嘘は通せない。しかし、原発建屋内部の様子が分からなければ工程表も絵に描いたモチである。外国ロボットの登場には隠れ蓑の役があるのか。二律背反は事態の進行にブレーキをかける。いま無駄な時間を浪費するゆとりはない。

一方、かつてはJCOの臨界事故を教訓に、放射能環境で人間が入れない場所で仕事をするロボットの研究がされていたらしい。ところが、原発事故は起こらないといううぬぼれか、慢心かは知れないが、当局はその原発事故用のロボット開発に予算を付けず、そのプロジェクトも廃止になっているらしい。まったく、今となっては信じがたい決断ではある。はやぶさの遠隔操作の技術が生きているのではないかと期待したが、まったく金にならない基礎技術はもはや日本では生き残る事ができなくなったのか。基礎技術は継続が力という金言そのものである。日本の最大の危機に、国産技術が役立たないとは技術立国日本の看板が泣く。原発に関しては核兵器を持つ米仏が技術を握っている部分が大きいのかもしれない。日本のロボットも福島原発事故でレビューを目指しているとの事。今後、廃炉に向けてロボットがなければ何事も進まないだろう。一部の識者は、今日本のロボットを原発事故現場に入れるのは混乱を招いて危険だというような報道もあるようだ。その理由が全く分からない。ここが俺の利権の領域だと言っている積もりなのだろうか。バカを言って足を引っ張るのはほどほどにすべきであろう。技術も製品もその本質においては何の色づけもない筈だ。国と東京電力は原発事故対策で率先して日の丸ロボットを投入すべきではないか。ロボットも実戦に出てより強力に成長するのだ。これこそ、日本のロボット技術が、危険で過酷な環境で十分働くことが出来ると実証できる最大の機会ではないか。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:ものおもふ場所

歌題=ものおもふ場所:

■対のカップの 一つに主は 居ないのね 替わるがはるに 使ふわたしは 39 小林 育子

夫も姑も亡くなり独り身となったが、ほのぼのと自己を客観視できる所に女性の強さを感じる。

2011年4月20日 (水)

技術 回顧と展望:日本はチェルノブイリ原発事故から何を学んだのか

2011/4/20
昨日はようやく雨らしい雨が降った。asahi.com(url=http://www.asahi.com/international/update/0420/TKY201104190676.html;2011年4月20日2時1分)は、『チェルノブイリ事故25年 各国首脳「原発安全強化を」』というタイトルで、「旧ソ連・ウクライナのチェルノブイリ原発事故から25年となる26日を前に、各国が首脳級で原発の安全性などを協議する原子力安全サミットが19日、首都キエフで開かれた。福島第一原発の事故を受け、原発の安全基準強化を求める発言が各国から相次いだ。」と伝えている。

チェルノブイリ原発事故ではコンクリート製の石棺といわれる施設で原子炉を生き埋めにして放射能物質の拡散を抑えた。しかし、その石棺も25年を経て老朽化が進み、放置すると再度放射能物質の拡散が進むおそれがあるとの事だ。原子力発電ではたとえ事故はなくても、核燃料の燃えがらは発生し、その始末は後世のつけになる。おいしい部分は先食いして、危険な部分を後世に回すのはなにか後ろめたい感じである。原発推進政策はそこまで教えてくれなかった。東京電力福島第一原子力発電所事故もチェルノブイリ原発事故と同じ道筋を通る事になる。チェルノブイリ原発事故から25年という歴史にも真摯に向き合う必要があるだろう。

昨日の天気

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技術 回顧と展望:日本はチェルノブイリ原発事故から何を学んだのか

東京電力福島第一原子力発電所の原発事故のINES評価値がチェルノブイリ原発事故と同じレベル7となった。チェルノブイリ原発事故の原子炉は1基だけで収束したが、福島原発事故では、4基が依然危険な状況にある。チェルノブイリ原発事故より環境に排出された放射能が少ないからと楽観できない。東京電力は原発事故を収束させる工程表を発表したが、その直後に原子炉建屋内の放射能を測定したら作業が出来る状況ではないというような、工程表を骨抜きにするような情報を流し始めた。

「チェルノブイリ原子力発電所事故(最終更新 2011年4月18日 (月) 13:36 )」:『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)によると、

「チェルノブイリ原子力発電所事故(チェルノブイリげんしりょくはつでんしょじこ)とは、1986年4月26日1時23分(モスクワ時間 ※UTC+3)にソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故。後に決められた国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7の参考事例として知られている。

4号炉は炉心溶融(メルトダウン)ののち爆発し、放射性降下物がウクライナ・白ロシア(ベラルーシ)・ロシアなどを汚染した。事故後のソ連政府の対応の遅れも相まって被害が拡大・広範化し、史上最悪の原子力事故となった。

現在は分離独立したウクライナに処理義務がある。現在もなお、原発から半径30km以内の地域での居住が禁止されるとともに、原発から北東へ向かって約350kmの範囲内にはホットスポットと呼ばれる局地的な高濃度汚染地域が約100箇所にわたって点在し、ホットスポット内においては農業や畜産業が全面的に禁止されている。」と要約されている。

奇しくも、福島原発事故はチェルノブイリ原発事故の25年後に起こった。日本の原発関係者はこのチェルノブイリ原発事故から何を学んだのだろうか。日本の技術はソ連より優れていると、「チェルノブイリ原発事故」を甘く見ていたのではないか。結局、INES評価レベル7を公表する遅れの理由にもソ連に対する優越感・面子の裏返しの意識が作用したのではないか。当時のソ連政府は、直ちに事故の発生を公表せず、秘密に保とうとしたが、事故の翌日にスエーデンで放射性物質が検出され、秘密は隠しきれずに4/28に、事故の発生を公表したとWIKIPEDIAに記載されている。

チェルノブイリ原発事故は、原子炉の試験中に起きたので、人為的な要因が大きいようだ。しかし、福島原発事故は東北地方太平洋沖地震による津波の影響も原因の一つに上げられている。ただ、福島原発の事故もチェルノブイリ原発事故も制御の難しい原子炉の制御を人間が出来なかったと言う点では全く同じ性格の一面を持っている。従って、東京電力は津波云々を弁解できる立場ではないだろう。当然、原子力発電は国のエネルギー政策と緊密に絡んでいる。資源小国としてエネルギー政策は国の命運を決める。残念だが、エネルギー安保もコスト万能で危機管理と言う面では十分ではなかったのではないか。特にエネルギーの供給多様化という点では問題を残しているのではないか。日本がチェルノブイリ原発事故から学んだのは、原発事故関連情報の隠蔽工作程度に過ぎなかったのか。

日本の電気事業法に基づく電力会社は民間企業として営利を目的にしている。従って、オール電化等で電力をより多く売る事に傾注し、安全よりも営利を重視した企業行動をとってきた側面も大きいだろう。東京電力が損害賠償で資金不足になるからと言って、国有化云々という議論もあるようだ。しかし、余り短絡的な対応は本当の問題を先送りするだけに終わってしまうのではないか。

原子力発電は核廃棄物を、火力発電は炭酸ガスを等々後世に負の遺産を残す。今後のエネルギー政策はエネルギーを徹底的に情報化して、エネルギーの流れを多面的に使い巡回使用するようなシステム化が必要になるのではないか。幸い、エネルギーを情報化・知能化するための電子機器は大量に安価に使えるようになりつつある。今後のエネルギー政策は、現在使用できる環境負荷の大きいエネルギーの上限を固定ないしは漸減しつつ、新に環境負荷の無いもしくは小さいエネルギーエネルギー資源を開発し、エネルギー使用の効率化、ソフト化を徹底する方向に向かうべきではないか。

特に電力は保存は不得意だが、こまめに電気を入れたり切ったりする事は得意だ。この部分をインテリジェント化するだけでも相当のエネルギーの無駄を低減できるだろう。エネルギーは最終的には使う人に供給されて意味を持つ。従って、各人、各家庭が独自にエネルギー源を確保するのが究極の理想だろう。非常時に使う通信、局部照明等の電力程度ならば今日の技術で十分実用化ができるだろう。エネルギー政策の基本部にエネルギー資源の分散化、自立化という危機対応の政策を追加すべきではないか。

ともかく、今日のエネルギー問題は、そのエネルギーの生産・流通を巨大設備で行う大企業に全て任せているという事情があり、これが弊害を生んでいるのも事実であろう。供給エネルギー総量が増大しない前提に立てば、使用量の少ない、又はエネルギー効率の高い製品・技術の開発は不可欠である。いくら省エネでも、電力消費が多い大型機に小型機より高いエコポイントが付くような制度は本末転倒だったのではないか。日本が東北関東大震災、福島原発事故を教訓に素晴らしいエネルギーシステム、環境負荷の少ない製品やサービスを新に創出でき、それが世界を駆けめぐるようになれば、日本の技術ひいては日本という国の信頼性が高まるのではないか。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:私をささえたもの

歌題=私をささえたもの:

■六十路越え 車の免許 取得して 老いゆく人生 忙しく励む 96 茂木 房子

高齢で自動車免許を取得しようとする意欲・行動力に感心し、励みにもなる一首。

2011年4月19日 (火)

老人の寝言:原子力安全保安院は初めからメルトダウンしていたのか

2011/4/19
昨日はマイカーを使わない老人モードで外出した。自転車で家を出る。車道に比べて自転車が走るべき道路環境は最悪である。いつ転倒して交通事故に巻き込まれるか危険を覚悟しなければ主要な道路を走れない状況だ。自動車の駐車場が駅に近く、駐輪場が駐車場より遠いのも頭に来る。ただだから我慢しろといういやらしい天の声を聞くようだ。次は電車。ローカル線もようやく定常運転に戻っている。丁度、朝の通勤通学時間帯。乗客の7~8割以上は通学生のようだった。下車後バス停を探す。行き先は表示で分かるがバス停が一目で分からない。通勤乗客らしい人に目的地で停車するか教えてもらいバスに飛び乗る。その先は歩いて目的地へ。環境のために公共の交通機関を使いましょうと呼びかけは心地よく響くが、現実は老人が一人で外出できる状況からはほど遠い。帰りは、バスに乗った行程を歩いて駅に向かう。町中の活気の無さに呆然とする。そんな中、夕方になり小さな骨董店を覗いて立ち話。昨年もトンボ玉を買ったと言うと店主と話がはずんだ。おれはどういうわけか古い物がすきなのかな。最近は古い物を大切に使うという伝統が無くなったと意見は一致した。店主があめ数個をくれた。そのお礼にまたトンボ玉を買うと言うと、骨董品は色や状態がよく見える昼間に買うもんだと貴重なアドバイスをしてくれる。いや、俺が買うのはそこに立ち寄った記念に自分専用だと言うとビー玉よりひとまわり小さなトンボ玉を1個渡してくれた。こちらは硬貨一枚を渡す。すると、今度は小さな菅ビーズのような物を1個おまけにくれた。今度は昼間にお茶を飲もうと言ってくれた。なんとなく重い足もかるくなるような夕暮れであった。

昨日の天気

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老人の寝言:原子力安全保安院は初めからメルトダウンしていたのか

asahi.com(url=http://www.asahi.com/national/update/0418/TKY201104180444.html;2011年4月18日21時32分)は、

『燃料棒の溶融、保安院が初めて認める 内閣府に報告」というタイトルで「保安院は、燃料棒の表面を覆う金属製の被覆管が熱で傷つき、内部の放射性物質が放出されると「炉心損傷」、燃料棒内部にある燃料を焼き固めたペレットが溶けて崩れると「燃料ペレットの溶融」、溶けた燃料棒が原子炉下部に落ちると「メルトダウン」、と定義した。

 そのうえで、検出された放射性物質の成分や濃度などから、1~3号機で「燃料ペレットの溶融」が起きていると推測。さらに、制御棒などと一緒に溶けた燃料ペレットが、下にたまった水で冷やされ、水面付近で再び固まっている、との見方を示した。』

と報道した。

原発事故とは言え、起こっている現象自体はある条件が整えば必然的に起こるという自然法則の上に成り立っている。そのような本来制御に馴染まない自然法則を人畜無害に制御しようとするのが安全技術ではないか。原子力安全保安院は原子力や各産業分野の安全を監視・指導する国家機関ではないか。その国家機関が、公表してきた事実認識や指示・指導等は、国民や産業人に対して信頼できるものでなければならない。東京電力が原発事故の収束のための工程表を発表したが、既にその内容の実行性に懸念も出ている。上記の記事を読んで、原子力安全保安院が、今まで東京電力のメッセンジャーボーイ程度のことしか行ってこなかった事を歯がゆく思っていた人も多いのではないか。

その挙げ句の果てが、上記報道のような責任逃れの事実追認になったように思えてしまう。原子力安全保安院は原発は安全だというメッセージを発し続けたのではなかった。それでは、戦前・戦中の大本営がやったことと何ら変わらないのではないか。原子力安全保安院がそのようなミッションを完遂し事態の早急な収拾に貢献しているなら話は別だろうが。「燃料棒の損傷」と「燃料棒の溶融」では国民が受ける危機感には大きな差がある。更に、「燃料ペレットの溶融」という専門用語でわかりにくくする。原子力安全保安院は自ら有害無益を証明してしてきたのではないか。そのような国家組織が過去幾つあった事か。

既に日本の各種制度自体が疲弊し、有効に機能する活力を失っている。原子力安全保安院が産業政策を実行する通商産業省内局として存在する限り、本来の任務を完全な透明性と有効性の本に遂行できる保証はないのではないか。原子力安全保安院は独立性の高い開かれた確実に機能する外部機関として再構築される必要があるのではないか。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:蚊柱

歌題=蚊柱:

■ひと声も 発するなくて 舞へる夜 又吾も密かに 夜又隠し持つ 53 菅谷 千恵子

意味をとらえ難い歌だが、何回も読むとおぼろげながらその様子が浮かんでくる。

2011年4月18日 (月)

老人の寝言:高濃度の放射能汚染水の環境への流出防止が工程表の絶対条件ではないか

2011/4/18
畑には3月頃からツクシが出ている。雑草も勢いが出てきた。ワラビも芽を出している。数年前に苗を植えた。スギナと同じで根茎が深いところにある。気分が変わって根絶しようとする時は大変だ。初めてワラビが食卓に出た。スギナとシノの根を掘るが、畑土はサラサラしている。晴天続きで雨が欲しい。がしかし、東北関東大震災被災地のためには晴天が望ましい。複雑な心境だ。

昨日の天気

TAVE= 13.4
TMAX= 20.1
TMIN= 7.5
DIFF= 12.6
WMAX= 7.5
SUNS= 11.5
RAIN= 0

老人の寝言:高濃度の放射能汚染水の環境への流出防止が工程表の絶対条件ではないか

東京電力が原発事故収束へ向けた工程表を発表した。原発の熱暴走を抑えるために原子炉や燃料保管プールに注水を行っている。注入しただけの水が高濃度の放射能汚染水となる。この放射能汚染水を貯めておける容量と時間が全ての工程表の基本になるべきだが、その点がはっきりしない。わずかな外乱があっても放射能が作業進行の妨げになる。現実にも放射能による作業進行の遅れがある。この工程表には作業の外乱要因は含まれていないだろう。遅れることが前提の工程表ではないか。外乱要因としては、余震、強雨、台風等の自然現象もある。特に強雨、台風等等は重要な初期対応が必要な今後6ヶ月に起こる確率は高い。高濃度の放射能汚染水が雨水に流出し拡散すればもはや回収が不能になり、地球を巡回して汚染してしまう。それだけでなく工程表の作業を進行させる最大の障害になってしまう。当然原発周辺地帯の復興の妨げになる。WEB SITE 「デジタル台風:「福島」の台風情報(Google検索をBLOG上に設定した。)」によると福島県やその周辺を通過した台風も多い。高濃度の放射能汚染水の環境への流出を完全に抑える対策が最優先ではないか。高濃度の放射能汚染水の保管処理施設の設置は今後の約3ヶ月以内の第1ステップで行われるようだが、色々な外乱要因がある。対策案も多重化して工程表の確実度を高めるべきだろう。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:ふたりの朝餉

歌題=ふたりの朝餉:

■ぶっきらぼうに 食へと置き行く 枕辺に 湯気発つ粥と 一つ梅干 80 橋本 美恵子

看病で夫が作ってくれた食事を飾る事無く素直に詠んだ歌だろう。

2011年4月17日 (日)

雑木の歌:東北を想う歌

2011/4/17
桃や梨の花が咲いている。桃栗三年と言われるが、桃の育ちは早い。しかし、三年で果実が収穫できるほど甘くはないようだ。外出前に灌水だけは済ませた。福島原発関係で、原発推進学者の懺悔の記事が目に付いた。リンク: 原発推進学者が次々懺悔 「国民に深く陳謝する」 - 速報:@niftyニュース. その道を究めた学者が懺悔とは何か違和感を感じる。ものの道理や原理を知らない迷える羊ならば懺悔して天国への免罪符を頂くのも非難できないあろうが。

昨日の天気

TAVE= 15.5
TMAX= 24
TMIN= 9.2
DIFF= 14.8
WMAX= 9.5
SUNS= 10.5
RAIN= 0

雑木の歌:東北を想う歌

雑木とはどういう木か。雑草と同じように雑木という名前の木はない。どのような木も正式な名前を持っている。同様に人間という人はいない。草も木も人も、一本一本、一人一人精一杯生きている姿に本当の美しさがあるのではないか。群馬県は山一つを越せば東北につながる。しかし、その山一つ先が見えなかった。男体山を見ても、そこに暮らす人々の姿は浮かんで来なかった。福島原発の事故が起き、群馬県にまで放射能が飛散して初めて東北の近さを実感した。東北の事を色々想う。それなりに脳が活性化するのだろうか。こんな歌が生まれた。

■東北の 大根飯を 今思う 困窮もバネ 大根の本

正式な書名は忘れたが、大根の本という本を読んだ。大根栽培の実用書だ。そこに、大根飯に入れる大根切りという道具の写真があったと思う。大根を飯の中に入れて焚き、飯を増量したとの事だ。我が家でも、幼少時は、里芋やさつま芋を飯の中に入れた事があった。最初「貧困もバネ」だったが、「困窮もバネ」に変えた。どうも固定観念が付きまとっている。しかし、物質的な貧困も困窮も決して恥じることではないと思う。精神的な貧困や困窮こそ恥じかつ避けるべきではないか。

■ずーずー弁で 頑張った 古き友 Uターン後は 海に出たのか

青森から就職で群馬県に来た青年だった。トランジスタの測定ジグ等を一緒に作った。彼も自分も平社員の頃であった。仕事が水に合わなかったのか数年で故郷にUターンした。津波が襲った地方の生まれであったと思う。

■顧客にも 筋を通した 上司あり 品保部長の 肩書きしょって

品質保証という仕事は顧客と会社の板挟みになる仕事でもある。「顧客にも」という部分は「会社にも」と読み替えても通用する。建前ではお客様は神様であるが、品質問題では時により、顧客と会社の関係に火花が飛び、発火寸前にまでエスカレートする場合がある。この上司は大きな良くと通る自然体の声で顧客と対応した。東北生まれの質朴豪毅な性格であった。製造物には製造責任とともに使用責任もあり、その両者の責任がはっきりしない領域の問題もある。上司の問題解決に当たってのスタンスは、振り返って見ると、明らかに製造側の問題は製造側で解決するが使用側の責任は使用側で解決すべきだ、責任分担が明確でない部分は両者で問題の解明にあたり、再発防止をしようというごく当たり前な内容にみえるが、実際に交渉の現場でそれを徹底する事は非常に困難だ。物事を隠さず誠実に対応する事により信頼関係が生まれるのである。顧客にとっては手強い品質保証部長であったかもしれないが信頼されたのではないか。会社側も品質問題解決のためリワーク等の費用を要した場合もあったと思うが、結果としては部品レベルの問題で納まったのではないかと思う。顧客にも自分(会社)にも厳しい態度が結果として大きな問題の発生を防止し、損害の拡大を抑制したのではないか。どんな小さな部品でも、高額・人命にかかわる商品で致命的な市場問題を引き起こせばその補償は大変である。民生用半導体から産業用・自動車用半導体の品質保証体制を作る時にも尽力され、QS9000の認証取得に繋がった。忘れがたい東北の人であった。ところで、東京電力の品質保証体系とはどんなものであったのだろうか。

追記:調べてみると東京電力でのISO9001の認証取得は不祥事が発覚した事を契機に柏崎刈羽原子力発電所の1件にとどまるようだ。「ISO9001を参照して」という品質保証活動が述べられているが、ISO9001の最大の特徴であり、存在意義は第三者機関が認証を受けるサイトを監査する点にあるだろう。「ISO9001を参照して」という記述は見方によれば企業論理丸出しの虎の皮に過ぎないように見える。自己監査の場合自己の論理から逃れられないという公理を前提としてISO9001という規格が構築されているのである。認証する第三者機関は顧客を代表するという位置付けも重要である。末端の顧客は認証を取得しようとする企業等を適正に評価する知識等は皆無に近いのだから。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:地球の緑

歌題=地球の緑:

■わが祖父らの なべて過ぎゆき 島村の 蚕種の廃材 炎と燃ゆる 60 高柳 和子

養蚕業が衰退すると共に養蚕を支えた祖父達も過ぎ去った時の現実が歌に焼き付けられている。

2011年4月16日 (土)

老人の寝言:地元の底力なしに東北関東大震災からの復興はない

2011/4/16
昨日は夏のような暑さ。昼頃、我が家の軒先の気温は28℃であった。地面はからからに乾燥している。雨が欲しいが雨も怖い。東北関東大震災のニュースも、やや落ち着き復興への取り組みが課題となってきた。原発がいまどうなっているのか等の報道は余り目立たなくなった。そんな中asahi.com(2011年4月15日22時59分):(url=http://www.asahi.com/national/update/0415/TKY201104150405.html)は「放出の汚染水、計1万トン 放射能1500億ベクレル」というタイトルで「東京電力と経済産業省原子力安全・保安院は15日、東電が4日から10日にかけて福島第一原子力発電所から意図的に海へ放出した比較的低濃度の放射能汚染水が、合計1万393トンにのぼったと発表した。」と伝えていた。高濃度の放射能汚染水を保管するために、保管容器に蓄えられていた低濃度の放射能汚染水が玉突き論理で大量に海洋投棄されている。現状のままだと、この高濃度の放射能汚染水を貯めておく容器も満杯になる日が来る。福島原発プラントはすでに放射能で完全に汚染され、放射能が作業の進行を妨げているのが実状だ。放射能の息の根を止める抜本的な対策を早急に実施してもらいたい。また、有限の地球という視点から、海洋に投棄した半減期の長い放射能汚染物質は地球表面を巡回し続けるだろう。人類がこのような事故を何度も繰り返すと地球全体の平均的な放射能濃度は徐々に上昇してしまうのではないのかと思う。長期的には炭酸ガスの排出と同じような、しかしもっと深刻な問題が発生する可能性がある。ともかく、日本は世界的規模で、放射能汚染物質環境排出権というのがあるとすれば、すでにそれを前借りして使ってしまったのである。

昨日の天気

TAVE= 18.1
TMAX= 25.8
TMIN= 8.8
DIFF= 17
WMAX= 4.9
SUNS= 9.5
RAIN= 0

老人の寝言:地元の底力なしに東北関東大震災からの復興はない

週刊誌を立ち読みしていると、早くも東北関東大震災からの復興事業に関して利権のぶんどり合戦が始まっているとの事。先ず安定な生活再建が第一なのだが、一般の被災者が復興を考えるゆとりが無い時に、雲の上ではそんな風が吹いているようなのだ。都市にしろ、集落にしろ長い歴史を経て形成されてこそ本当の生活の場として存在価値が出てくるのではないか。上の方から一律に官製復興計画が出てきたところで、そこに住む住民が満足するものになるかは分からない。おそらく、安全目的で人工的なビジネスホテル街のような町並みを作ってもそこに住む住民の心は落ち着かないのではないか。農業・漁業は住職一体が望ましい。通勤農業・漁業のような事は可能なのか。被災住民がもう仮設住宅から出て新しい生活を始める時期だと思った時から復興の第一歩が始まるのではないか。被災地住民がどのようなふるさと、どのような住環境を望むのか。被災地住民が話し合って、納得の末に事業を進めるのが最善ではなかろうか。被災地住民がいま何が必要なのか、必要な物や事業を一つ一つ解決してゆくこと自体が復興のプロセスであろう。

かつて、ふるさと創生事業という国家的事業が行われて、地方自治団体に資金が交付された。この資金が、どれだけ有効に使われたのか分からない。しかし、その使われ方は多様であったようだ。最近思うのは、何かの会合の数人の有識者は数万人の一般人の能力に対しては塵芥程度の知識も見識も持っていないのではないかという事だ。何か官製事業を始めるきっかけの有識者会議がどれほどの有効性があるのか。有識者会議も官製事業翼賛や隠れ蓑という飾りだけのあだ花で終わってしまうのがほとんどではないか。東北関東大震災も各県各都市で被災状況は様々だ。国は地方分権と歯の浮くような美辞麗句を連ねて来たが、今回の東北関東大震災の復興事業に際しては、国はかつてのふるさと創生事業のように、各県各都市に実状に合わせた復興計画を立案させ、復興資金を各自治体に配分し、各自治体の自主性を最大限に生かすような方式を採用するのが良いのではないか。

国が、東北関東大震災を当面の最大課題と位置づけるのは当然だが、国の機能の重要部分を長期間特定事業に集中する事は、国家としてやるべき事を先送りして、結果的には国家を弱体化させてしまうのではないか。国としては、復興計画の大綱を決めて、各自治体・各地方・地域間で解決できない部分を国が統括するようにすべきではないか。逆に、福島原発の事故からの復興に関しては、原発自体を、各自治体等で扱うことすら現実には不可能な状況である。福島原発の事故からの復興は国家が国家の威信をかけてやるにふさわしい事業である。このような分野に先手・先手と対策を打ってもらいたい。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:母

歌題=母:

■花咲けば 蚕飼ひの用意 せかるると 飼はずなりにし 母はつぶやく 40 小山 多嘉

季節と仕事が記憶と意識の底に深く染み込んでいる百歳の母を詠んだ女の一生の一部。

2011年4月15日 (金)

技術 回顧と展望:日本の先端技術は無力なのか

2011/4/15
電波時計のアンテナマークが消えていた。記念品としてもらった電波時計も電波を受信せず手動で設定した。調べてみると、標準電波を発信していた福島送信所が福島原発20Km圏内にあり、運用が中止されているとの事だ。標準を決める事は非常に重要だ。秦の始皇帝は中国を統一して、車の車幅を統一したとの事だ。当時は車とは戦車でもあった。他国から侵略されないように、国防上車幅を他国と同じにしなかったとの事だ。当時は舗装もなく、車が通ればそこにわだちが出来る。後続の車もそこを通れば楽だ。車福が違う車は通行上非常なハンディを科せられる。時刻の尺度は物差しでは測れない。電波で正確な時刻を配信・管理する事は非常に重要だ。時刻標準器は非常に高価で使いこなすのも大変だ。本来、国家の威信としても一刻でも停波させてはならないのが標準電波であろう。国は早急に福島送信所からの電波の発信を始めるべきではないか。時刻の確認に電波時計を使えば、記録の正確性確保と記録間の比較が正確にできるのである。危機管理や救済活動の現場においても、正確な時刻は絶対に必要だろう。一ケ月以上標準電波の停止を放置しているのは国の危機管理意識の低さの現れではないか。

 情報通信研究機構 光・時空標準グル-プが以下の情報を公開している:「長波帯標準電波送信所」(url=http://www2.nict.go.jp/w/w114/Open/t-f_radiostations.pdf)。

追記:上記資料には「地震計、気象測器の時刻管理」等各種の重要な時刻管理の例が示されている。

尚、福島送信所の再開等には以下の記事あり:
「url=http://jjy.nict.go.jp/index.html
<送信再開のための主な条件>
・20km避難指示の解除
・商用電力及び時刻比較制御のための通信手段の安定的な確保
・基準信号源及び時刻比較制御装置類の正常動作確認と定常的管理
・送信設備等の正常動作確認と定常運用」

「・20km避難指示の解除」は当面望めないだろう。情報通信研究機構の対応には、標準電波の提供という国家的ミッションを持ち、大震災という重要な非常事態に直面しているのに前向きの意欲が感じられない。万難を排して再開するよう願いたい。

昨日の天気

TAVE= 15.6
TMAX= 24.5
TMIN= 6.3
DIFF= 18.2
WMAX= 3.7
SUNS= 11.9
RAIN= 0

技術 回顧と展望:日本の先端技術は無力なのか

かつては、日本では重厚長大の産業が栄えた。鉄鋼、造船、化学関係の工業が日本の産業をリードした。ところが、外国でも同じような産業が育つと、世界的な競争になり、競争力は低下してその分野の日本の地位は下がった。20世紀の後半の20~30年以来は高度情報化社会にが現実となり、製造業からサービス業へのシフトも進んだ。大手電気メーカーは、各社が大型計算機を製造していたが、やがてミニコンピュータやパソコンの時代になった。パソコンも一時は大手電気メーカー各社が力を入れていたが、撤退が進んでいる。

「元麻布春男の週刊PCホットライン■
日立がHDD事業をWestern Digitalへ売却した背景;url=http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hot/20110309_431891.html 」で元麻布氏は「 元々、半導体メーカーだったWestern DigitalがHDDメーカーになったきっかけは、HDD専業メーカーであったTandonを買収したことに始まる。Tandonは、PC向けの小容量HDDを主力にしていたメーカーで、はっきり言うとブランド的には二流だった。それが着実に力をつけ、旧IBMと日立製作所というメインフレーマーのHDD事業(HDDにおける一流ブランド)を買収するまでになったのだから、感慨深いものがある。」と述べている。要するに、事業そのものが売買の対象になるのが当たり前の時代になっている。しかし、専業メーカーとして他社を圧倒すれば優位の位置に着ける。

asahi.comは(url=http://www.asahi.com/business/update/0307/TKY201103070516.html:2011年3月7日21時58分)「日立製作所は7日、世界3位のハードディスク駆動装置(HDD)事業を、世界首位の米ウエスタン・デジタル(WD)に売却すると発表した。売却額は約43億ドル(約3500億円)。日立のHDD事業は最近まで赤字が続き、扱いが経営課題となっていた。変動が大きい事業を分離し、社会インフラ関連など成長分野に力を入れる方針だ。」と伝えた。この情報を聞いて、日立としては、情報産業か装置産業の経営判断をした結果であったと思っていた。ともかく、技術を徹底すると、小さな製品は直ぐに生産過剰になるだけ生産力が向上してしまうのが現代だ。競争が激化して値崩れ、利益の低下を招く。そんな中で、競争の少ない装置産業へのシフトは一つの選択であったかもしれない。情報産業部門を保険として残す選択もあったかもしれないが、その余力が無い、リスクを伴う等々を含めての経営判断であったとおもう。

奇しくも、東北関東大震災の原発事故で、福島第一原子力発電所の廃炉が現実的となっている。日立は東京電力に廃炉の計画案を提出したとの事である。それによると、核燃料の活動停止、取り出し、核廃棄物の処理、原子炉の解体、プラント・建屋の解体と、原子炉関係の主要な作業だけで10年、解体・無害化まで30年を要する長期事業になるとの事だ。これを、見ると、水道、ガス、電力等の工事で、バラバラに道路を掘り、再度舗装しと同じ事を際限なく継続する土木事業を思い出してしまった。日立に就職した優秀な人材が原子炉廃炉にどれだけの情熱をもって取り組む覚悟をしたのか分からない。東京電力福島第一原子力発電所の原子炉事故で寝耳の水の仕事をさせられる運命になる技術者もあるだろう。覆水盆に返らずで、起こったことの始末は必要だ。しかし、大抵は最後の始末まで含めて為される事業はほとんどない。その問題はリサイクル法で幾分進歩しただろう。ともかく、長期間かかる廃炉を進めるにもそこには何らかの形で税金がつぎ込まれるであろう。今後の少子高齢化か社会には大きな資金を必要と知る事業が多数ある。極力負の遺産を残さないという工学技術も必要だ。自分としてはそういう自覚をもった若い技術者がこの東北関東大震災の処理事業とともに育つ事を願わざるを得ない。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:牛の歌

歌題=牛の歌:

■来る世は 生まれ変われよと 頬さする あす潰さるる 身ごもらぬ牛 51 清水 希志子

子牛からから育てると、家族の一員のように憐憫の情にかられるがままならぬ時がある。

2011年4月14日 (木)

技術 回顧と展望:原子力発電と津波に関する技術

2011/3/14
昨日は暖かな好天であった。品質の良くない品種不明の渋柿にハチヤ渋柿を接木した。地上2m程度の高接ぎ。穂木は採取して冷蔵庫で保管。水分は少ないがまだ枯死していないようだ。台木の枝は発芽を開始している。幹が太いのでガムテープを使用。切り口は癒合材塗布。ダメモトでダメならまた次回試す。脳死未成年の15才以下の少年から摘出した臓器移植が行われた。植物の接木は簡単に出来てしまうが、動物ではなぜ難しいのか。臓器移植よりiPS細胞を使った再生医療に期待している。しかし、なぜそれまでして生き延びる必要があるのかも納得できない部分がある。

昨日の天気

TAVE= 12.8
TMAX= 22.6
TMIN= 2.6
DIFF= 20
WMAX= 3
SUNS= 12
RAIN= 0

技術 回顧と展望:原子力発電と津波に関する技術

福島第一原子力発電所の原発事故を技術者はどのように見て何を考えているのだろうかと思った。大抵の技術者は何らかの組織に属し、組織の壁に閉じこめられているのが実状だろう。東北地方太平洋沖地震による津波の被害を見るにつけ、津波の被害を避け、津波のエネルギーを活用する現実的な方法があるのか気になった。そこで、特許図書館で幾つかのキーワードで調べてみた。

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  特許・実用新案を検索する >> 検索結果 

(1)「津波」に関する技術が 375件 見つかりました。
● 特許  ・・・  359件
● 実用新案  ・・・  16件
「一覧表示」を押すとリストを表示します   
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(2)「原子力発電」に関する技術が 2355件 見つかりました。
● 特許  ・・・  2312件
● 実用新案  ・・・  43件

一覧表示はヒット件数1000件以内の時に表示可能です。
********************************************
(3)「津波 原子力発電」に関する技術が 6件 見つかりました。
● 特許  ・・・  6件
● 実用新案  ・・・  0件
「一覧表示」を押すとリストを表示します      

「津波 原子力発電」が含まれる公開公報「6件」のリストを表示しています(特許:6件、実用新案:0件)。番号をクリックすると簡易表示画面が表示されます。 
項番 公開番号/登録番号 発明の名称
1. 特許公開2002-363957  原子力発電所の冷却水補給取水設備
2. 特許公開2001-116880  プラントの海水取水設備
3. 特許公開2000-170138  原子力発電所の海水取水設備
4. 特許公開平09-054190  原子力発電所の取水設備
5. 特許公開平07-057174  災害対策方法及びそれに用いる装置
6. 特許公開平06-324190  原子力発電プラント取水設備
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「集積回路」に関する技術が 59623件 見つかりました。
● 特許  ・・・  58927件
● 実用新案  ・・・  696件
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原子力発電に関する特許は2312件と多い。しかし、集積回路の特許58927件よりはるかに少ない。さらに、津波に関する特許は359件ともっと少ない。「津波&原子力発電」と絞り込むと特許はたったの6件しかない。不思議とその特許の内容が冷却水に関している。やはり、原子力発電と津波と冷却水は技術的な課題であると認識されている証拠でもあろう。集積回路はほとんどが民生品であり、需要数量が多く、参入企業が多く、技術者も多く、技術競争も熾烈である。集積回路に関する特許件数が多いのはこういう理由だろう。一方、「津波&原子力発電」という両分野の技術者は集積回路技術者と反対に極少ないと思われる。津波に関する技術では、防災、土木関係が多いようだ。今回の東北関東大震災を振り返り津波対策技術を見直すのも有意義であろう。残念なことに津波対策技術は公共的意義は大きいが、津波対策技術を促すインセンティブが多くは見あたらない。津波対策技術を特許出願し国の審査をパスすれば全て無償で特許権を与え、その特許は誰でも無償で実施でき、実施されて効果があった特許は国が特許権者に特許料を支払うと言ったアイデアバンク的な特例特許として扱っても良いのではないか。通常は波力発電して、津波時は波減衰機として働く装置とか津波のエネルギーを津波のエネルギーでうち消す装置等色々なアイデアを出し合うのも自然現象の本質を理解し活用する技術につながると思う。これから東北関東大震災の復興が始まる。住宅を高台に移す等の構想があるようだが、土地の所有権とか解決すべき問題は多くある。地震・津波対策には長期的でも着実な計画が必要だと思う。アイデアを出すのはその第一歩だ。地震・津波対策のアイデアは余り金を掛けずに創出できる。今はそのアイデアを出すべき機会なのかも知れない。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:もう一人の吾

歌題=もう一人の吾:

■追ふ波に 追はれて追ひて 夫の眠る 渚に立てば 香る潮風 43 佐藤 房子

夫が戦死した海を訪れて詠んだ慰霊の歌か、海と波が人生と重なる。

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    刃物という視点で多くの事例が取り上げられている。刃のある道具の理解にも役立つ。類書が少なく貴重な一冊。「すべり変形が切断の原理」という考え方で説明している。
  • 沼田 真   : 植物たちの生( 1972年 岩波新書(青版 833))
    「ご要望にお応えしてアンコール復刊(1988年岩波新書50年記念復刊) 地球生態系の中で自然を見直す」(腰巻きのフレーズ)。植物の知恵と戦略に人類は勝てるのか。
  • 出町 誠: 14_NHK趣味の園芸:よく分かる栽培12ヶ月  カキ(NHK出版2007年)
    初心者向け柿栽培参考書(新版)。旧版と比較すると楽しい。
  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
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