ぶっちめ
2008/10/14
ぶっちめ
これも、幼少時代の冬の遊びであった。野鳥をしとめる罠の一種であろう。野鳥の餌が少なく
なる冬場の遊びで、理にかなう。用意するものは素材のヒモとナイフ。
ぶっちめのアイディアは餌を食べに来る野鳥を餌場の入り口で捕獲しようとするもの。
入り口に入ったところでかんぬき(閂)に押さえられる仕組みである。
かんぬきをおさえるバネの部分は桑の枝などを使用したので、現地調達である。この桑の枝
にヒモの一端をしばり、ひもの末端にかんぬきとなる棒を縛り付けてかんぬき外す作動部品
に連結する。この作動部品は一種のロックとセンサーを兼ねている。鳥が餌を食べ始めて
この作動部品に触れるとロックが解除されて桑の枝のバネの作用でかんぬきがばたんと下
がり鳥が捕獲される。鳥を引き寄せるため餌をまくが、入り口から入るように、餌場を木の枝
を立てて囲う。この枝も桑の枝などを現地調達する。
この仕掛けを作り、うまく働かせるまでの調整が大変である。というより、ぶっちめという仕掛
けができれば、遊びの大半は終わったようなものである。今、思い返すと点々と鳥の足跡が
あり、かんぬきが外れた形跡は見たが、獲物を捕った記憶はない。多分バネの強さが不十
分であったのだろう。ぶっちめはかっては半実用的に使用された狩猟技術であったが、その
後は技術の伝承という形で子供の世界の遊びとして残ってきたのであろう。罠という狩猟の
基本要素は全てこの遊びに備わっている。ナイフ一本とわずかな材料で色々な遊びができた
のだ。遊びを通して知らず、知らずに生活の知恵も学んだようだ。
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