家畜の人工受精
2008/11/27
家畜の人工受精
高祖父が生きていた時代は江戸末期から明治にかけてである。叔父さんの話では明治の初
期はまだ、ちょんまげを結っていたとの事である。高祖父は進取の風があったので地域では
最初に髷を落とした人物であったという話をしてくれたのを覚えている。そういえば、高祖父
は長男は農業を継がせたが、次男は師範学校に出してその後渡米させている。父は戦争前
後に青年期、壮年期を過ごし、親が病弱であり、家族が多く、徴兵もされるという事で大変な
貧乏くじを引いてしまった。しかし、その運命にあまりグチを言うことなく、米麦、養蚕、野菜等
時代に合った農業をやってきたようだ。一時は養豚をやった事があった。規模は小さく10頭
程度であった。いまもその時の豚舎が残っている。養豚の延長で始めたのが家畜の人工授
精であったようだ。人工授精って何?と興味もあるが聞くのも照れくさい年齢の頃であった。
受精の注文があると、県の畜産試験所かどこかへ行って、豚や牛の優良種の精子供給を受
けて、発情した家畜の人工受精をしてやる仕事である。ステンレスのピカピカ光る魔法瓶を
肩にかけてオートバイを使って行き来していた。家畜の人工受精もオートバイ乗りも当時は
時代の先端にあったので、父も進取の風があったのかなと今となって思う。農業、特に畜産
にあってはこの人工受精という技術は特筆すべき技術革新であったと思われる。今日のバイ
オテクノロジーのはしりでもあった。