リバースエンジニアリング
2009/3/14
リバースエンジニアリング
ある商品が市場に受け入れられて使用量が増大すると、二匹目のドジョウを狙って他社も参
入してくる。電子部品においてもその例外でない。デジタル回路で使用される素子も、もともと
はトランジスタやダイオードと言う個別部品で作られたが、それを集積回路として提供する会
社が現れ、その需要が増大するとその部品と置き換えのできる互換品を提供する会社が出
てくる。これは、ねじ釘と同じで、規格化する事でその部品の使用者にもメリットがある。汎用
品に対しては大抵同業他社が多数存在する。そこで、他社にない物を作り汎用品のデメリッ
トを回避する動きが生じる。そのためにはいろいろ他社にまねされない技術を投入する。そ
の最大の切り札が特許である。さらに集積回路では回路配置利用権等もある。見えない部
分では製造ノウハウもある。ともかく先行品の調査が不可欠になる。この技術がリバースエ
ンジニアリングと言われている。先行品は他社によりリバースエンジニアリングの対象にされ
る栄誉があるのだろう。しかし、先行者数はわずかであり、後続が大部分であるのはスポー
ツのレースと同じである。技術者なら何らかの意味でこのリバースエンジニアリングに係わっ
た経験があると思われる。カラーテレビのNTSC方式も米国で発明された技術であり、当初
は米国がカラーテレビの先進国であった。テレビ用の集積回路も米国が先行していた。日本
で本格的な集積回路が使われたカラーテレビには米国製の相当品が多く使われた。自分も
その集積回路の第一世代である相当品の開発に従事した。更に、集積度を向上して、より
少ないチップ数でカラーテレビを構成する第二世代、第三世代と開発競争が続いている。自
分がカラーテレビ用の用集積回路開発に従事した時期は米国がカラーテレビの工場を海外
に移し、ついにはカラーテレビの生産から撤退する時期と重なり、それは日本のカラーテレビ
の生産が急拡大する時期ともかさなる。工業製品の生産国が時代ととも移ることを実感した
のである。米国は車産業をどうするのかその行方に興味を覚える。