芋で育った話
2009/8/15
芋で育った話
自分が生まれ育ったのが終戦直後のこと。食料事情は非常に悪かった。赤子の頃の記憶は
無いが、物心が付いてからの記憶は残っている。母親は子供達は芋とかぼちゃで育ったとよ
く話した。里芋はゆではしょう油を付けて食べた。ジャガイモはふかして塩を付けて食べた。
自分はすべる芋と言って、ゆでた里芋が好きであったようだ。かぼちゃは里芋やジャガイモ
のような記憶がない。お盆の時は里芋の葉を香炉の下に敷いたような記憶がある。これは線
香の火に注意した防火対策であったようだ。里芋の葉は雨の時の雨除けにもなった。丸裸に
近い状態で遊んでいたので雨除けなど不要に近い。一種の遊びだったと思う。芋がらは乾燥
して煮物にした。サツマイモは甘みがあるのでふかしてそのまま食べた。ふかしたサツマイモ
をかつ糸で薄くスライスして乾燥芋にした。これは祖母の仕事であった。乾燥芋にすれば冬
の保存食になった。これをかじりながら遊んだ。家が農家で何とか食べる物は確保できたよ
うだ。たき火の中で焼いたジャガイモは香ばしくなつかしく感じる。