読みかじりの記:「進化しない日本人へ その国際感覚は自画像の反映である」 杉本良夫 著 (1988年 株式会社 情報センター出版局)
2011/11/28
曇り一時晴れ。畑の清掃。蔓退治。アケビとムベの棚に使っているパイプハウスにカナムグラが這い上がっているのを除去した。木質のツルに一年草の蔓草が挑んでいる。日陰になったムベの実はまだ熟さず青いままの物もぶら下がっていた。ノブドウも一株堀上げた。蔓性の植物には蔓性の似たものが集まってくるようにも見える。
2011/11/27の天気
TAVE= | 6.6 |
TMAX= | 12 |
TMIN= | 1.7 |
DIFF= | 10.3 |
WMAX= | 2.4 |
SUNS= | 2.9 |
RAIN= | 0 |
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老人の寝言:市選挙管理委員会が開票結果をホームページに公表しない不思議
NHK NES WEBは、「大阪市長選 橋下氏が当選;url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111128/t10014236382000.html(11月28日 0時59分)」というタイトルで、「現職と前の大阪府知事の対決となった大阪市長選挙は、27日、投票が行われ、大阪維新の会の新人で前知事の橋下徹氏が初めての当選を果たしました。 大阪市長選挙は、開票が終了しました。▽橋下徹、維新・新、当選、75万813票。▽平松邦夫、無所属・現、52万2641票。前の大阪府知事の橋下氏が、現職の平松氏を破って初めての当選を果たしました。橋下氏は、42歳。弁護士でタレント活動も行い、平成20年の大阪府知事選挙で、自民党と公明党の地方組織の支援を受けて、当時、知事としては全国最年少の38歳で初当選しました。就任後は、大胆な歳出削減に取り組むとともに、歯に衣着せぬ発言で注目を集め、府と市を再編する「大阪都構想」を掲げて、地域政党・大阪維新の会を立ち上げました。4月の統一地方選挙で、府議会で過半数、市議会でも第1党を占めると、「大阪都構想」を実現するには大阪市役所にみずからトップとして乗り込む必要があるとして、任期途中で知事を辞職して市長選挙に立候補し、知事選挙とのダブル選挙を仕掛けました。2期目を目指す現職の平松氏との対決となった今回の選挙では、民主党系と自民党の市議団、それに共産党が平松氏の支援に回ったのに対し、橋下氏は100人を超える大阪維新の会の地方議員を率い、「大阪都構想」の実現を訴えて、知事選挙に立候補した松井一郎氏と一体となった運動を展開しました。その結果、大阪維新の会の支持層や、いわゆる無党派層に加え、民主党、自民党、公明党の支持層からも幅広く支持を集めるとともに、20代、30代の若い世代で支持を伸ばし、初めての当選を果たしました。 橋下氏は、大阪維新の会の地方議員や支援者を前にあいさつし、「まずは有権者の皆さんに感謝を申し上げたい。そして、大阪市役所、大阪府庁の公務員、大阪府の教育委員は、この選挙結果を重く受け止めるよう、お願いしたい。公務員や教育委員会の組織は激しい抵抗をしていたが、今回、有権者がこのように判断したわけなので、しっかり受け止めてほしい」と述べました。さらに、橋下氏は「大阪全体のことは大阪府知事が決定権と責任を持つ。こうした決定権を巡り、大阪府と大阪市の間に100年にわたる争いがあったが、これで100年間の戦争に終止符を打ちたい」と述べました。 一方、敗れた平松氏は、「この町がほんまにええ町やという思いと、それを支えているのは人の力であるという思いを、自分の発信力不足、表現力不足で、もっと分かりやすいことばで言い切らないといけなかったという思いがある。本当に申し訳なく、力不足だったということに尽きます」と述べました。 大阪市選挙管理委員会によりますと、今回の大阪市長選挙の投票率は60.92%で、前回に比べ17ポイント余り高くなりました。大阪市長選挙では、今回と同じくダブル選挙になった昭和46年の投票率が61.56%で、そのとき以来50%を超えたことがなく、40年ぶりの高い投票率となりました。」と報じた。
以上はNHKの報道であるが、大阪市選挙管理委員会url=http://www.city.osaka.lg.jp/senkyo/を見ると、投票の確定票は公表されているが、2011/11/28 6:00AM現在で、開票結果は公表されていない(url=http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu240/sokuho/kaihyo_data_10.html=投票日当日はこのホームページで開票結果を公開します。とあるだけ。)。NHKがWEBに乗せた時刻が(11月28日 0時59分)であるから、すでに開票結果確定後5時間は経ている筈だ。他のWEBニュースによると選挙システムにも不具合があり、二重投票となったとの情報があった。そうなると、投票の確定票にも疑問符が付く。大阪市選挙管理委員会が次ぎに来る市長が怖くて発表ができないようだと、次の市長の思うつぼではないか。更に、大阪市選挙管理委員会は大阪市のホームページに開票結果を公表する前にNHKに開票結果をリークしたという事なのだろうか。選挙管理委員会は絶対公正中立を維持する責任があるのではないか。世間が注目する選挙であったが、その大阪市選挙管理委員会は、投票結果に関心を持つ人々に十分なサービスをしたのか。確定値が出せないなら、暫定開票結果、確定率99.99XX%、未確定票何票、というような発表も許されるのではないか。そのような判断を行う人物がいなかったということなのだろうか。
大阪市のホームページの投票確定値:大阪市計=当日有権者(人):2,104,977 、投票者数(人):1,282,318、 投票率(%):60.92 、前回投票率(%):43.61であった。
読みかじりの記:「進化しない日本人へ その国際感覚は自画像の反映である」 杉本良夫 著 (1988年 株式会社 情報センター出版局)
「杉本良夫;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E6%9C%AC%E8%89%AF%E5%A4%AB;(最終更新 2011年11月2日 (水) 11:25)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。の記事に「来歴・人物 [編集] 兵庫県西宮市生まれ。洛星高等学校を経て、京都大学法学部に入学。在学中に米国のスワースモア大学 (Swarthmore College) に留学。京大卒業後、毎日新聞社勤務を経て、1967年に渡米。歴史社会学を専攻して、1973年にピッツバーグ大学 (University of Pittsburgh) で社会学博士の学位を取得。同年より、オーストラリア・メルボルンのラトローブ大学社会学部(La Trobe University, School of Social Sciences)にて教鞭を取り、現在は同大学教授(比較社会学理論/方法論・オーストラリアを始めとした社会不平等・日本社会/文化・アジア入門)。 この間1988年 - 1991年にラトローブ大社会学部長。1981年にはラトロープ大学・モナシュ大学など4大学の連合で設立されたメルボルン日本研究センターの初代所長に就任。1988年以来、オーストラリアン・アカデミー・人文系(Australian Academy of the Humanities)フェロー。筑波大学、東京都立大学やドイツのハイデルベルク大学、フランスのエブリー大学などの客員教授を務めた。
オーストラリアの複合文化社会の研究を通じて、日本社会を問い直す日本論・日本人論などに関する著作を数多く発表。日本を単一均質社会とする枠組みに対して、多様性や階層構造に焦点を当てたマルチカルチュラル・モデルを構築し、日本社会論・日本文化論の新しいパラダイムの展開に主導的役割を果たした。Cambridge University Press 発行の An Introduction to Japanese Society は、英語圏で最も広く読まれる教科書の位置を占めている。 1980年代から、Kegan Paul International や Cambridge University Press の日本研究シリーズの責任編集者を務めたが、1999年、主として日本の社会科学の業績を英語出版することを目標とした出版社 Trans Pacific Press 社をメルボルンに設立。その代表として、100点を超える英文書の編集・出版に関わってきている。 現在の研究分野は「現代日本の国民国家と市民社会」「アジアに於ける文化相対主義」。」とある。
WIKIPEDIAの冒頭には「杉本 良夫(すぎもと よしお、1939年 - )は、日本の社会学者・文化人類学者。オーストラリアのラ・トローブ大学名誉教授。」とある。
本書を読んで著者は自分を「日本の社会学者・文化人類学者」と規定するだろうかと思った。WIKIPEDIAの記事の通り、著者が関係する国は、日本、アメリカ、オーストラリア。著者の国籍はオーストラリアとの事だ。本書の最後に著者はコスモポリタンについて書いている。著者の立場はコスモポリタン的な立場か。社会学者としては、評論家的な主張は避けているように見える。
ある人を規定するとき、国籍、人種、職業、性別、身分、影響を受けた教育文化等色々ある。いわば、そこには何らかの枠組みがある。その枠組みを絶対化すべきか。著者はそのような枠組みを相対化することの重要性を本書で述べているようだ。本書が出版されてから既に20年以上たつが、本書に示されている事例は今も通用するように思われる。この20年以上の間に、日本に住む外国人も非常に増えて、異文化理解とか異文化共存という言葉が定着しつつあるようにもみえる。それでも、まだ大方の日本人の意識には外国という見えない国境があるように考え・行動しているのではないか。日本人の国際感覚はほとんど変わっていないようにも見える。
首相がTPPに関して度々口にしている、「アジア太平洋地域の成長力を取り込み」というおまじない文句を本書の趣旨で解釈するとどうなるだろうと思ってしまった。情報・通信の発展で首相の言葉は瞬時に世界を巡ってしまう。「成長力を取り込み」という表現が、日本以外のアジア太平洋地域の国民には、いかにも日本がエコノミックアニマルであるととられかねないのではないかと思った。これが、国家間の関係となるともっと厳しい現実になるのではと思ってしまう。TPPと言えど詰まるところは国家間の利害の調整に過ぎない。しかし、調整となると相手が必要なのだが、「成長力を取り込み」とは国内向けの唯我独尊的発想に過ぎないように見えて、著者の言うように、国際感覚がマヒしているように見えてしまう。
本書は日本人の国際感覚チェックの教材として未だに捨てがたい本のようだ。