老人の寝言;技術 回顧と展望:TPPの知的所有権交渉で日本は善戦できるのか?
2013年7月25日(木)
昨日は雨。最高気温(℃) 24.5 00:01。ざっそう句:古庭や 青柿丸み 草深し。終日しとしとと降雨。最高気温は一昨日より10℃ほど低い。宅内閑居。
2013年7月24日の天気(AMEDAS)
TAVE= | 23.1 | NO DATA |
TMAX= | 23.7 | 最高気温(℃) 24.5 00:01 |
TMIN= | 22.6 | 最低気温(℃) 22.3 08:07 |
DIFF= | 1.1 | |
WMAX= | 2.1 | 最大瞬間風速(m/s)(風向(16方位)) 4.9(東) 11:07 |
SUNS= | 0 | NO DATA |
RAIN= | 11 | NO DATA |
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Googleの画像検索を試す。「いとしきもの」のトップタイトル画像は「赤城山(http://af06.kazelog.jp/Mt.AKAGI_SEPIA2.jpg)」画像にもURLが付いている。Google画像検索でこの画像が出てくる(http://t2.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcT_lVay-wREyR8Eg2FkEGUC2XG96Ckie6oigKvpZZVciLtKQw97)。「画像は著作権で保護されている場合があります。」と表示される。Googleはどんな権利を根拠にこのような検索サービスができるのか日頃疑問に感じている。Googleはサイト「http://af06.kazelog.jp/」のデータを「http://t2.gstatic.com/」にコピーしているのだろう。著作権(知的所有権の一部)もTPPの交渉対象らしい。そのTPP交渉に日本が23日から初参加した。
著作権の保護期間を「権利者の死後50年から70年に延長する」など陳腐化の激しい情報化社会では以ての外。30年程度でも十分ではないか。TPPの交渉対象の知的所有権は、インターネット等情報通信事業だけでなく、広汎な分野に及ぶが、国内の関心は薄い。
朝日新聞は、「TPP、マレーシア首相「交渉離脱も一つの選択肢」。http://www.asahi.com/international/update/0724/TKY201307240448.html。(2013年7月24日20時10分
)」」というタイトルで、「【クアラルンプール=都留悦史】マレーシアのナジブ首相は24日、朝日新聞のインタビューに応じ、自国も参加する環太平洋経済連携協定(TPP)の年内妥結の可能性について「極めて難しいだろう」との見通しを示した。早期の合意に期待を寄せる一方で、国益よりもマイナス面が大きいと判断した場合は「(交渉離脱も)一つの選択肢にはなる」と述べた。 」と報じた。
下記の記事で、マレーシアのTPP知的所有権への対応を書いた。上記朝日新聞の報道と共にマレーシアのしたたかさを感じる。
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老人の寝言;技術 回顧と展望:TPPの知的所有権交渉で日本は善戦できるのか?
日本経済新聞は、「日本、TPP交渉に正式参加 知財など主導権狙う。http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2303F_T20C13A7MM8000/。(2013/7/23 21:))」というタイトルで、「【コタキナバル(マレーシア東部)=鈴木大祐】日本政府は23日午後、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に正式参加した。日米両国を軸とする巨大な貿易圏作りが動き出し、アジア太平洋を巡る経済や安全保障の枠組みに大きな影響を与える。参加国は詰めの交渉を急ぐが、当初は年末を目指していた妥結は越年の公算が大きくなっている。出遅れた日本にも巻き返しの余地があり、知的財産の保護や投資の分野で主導権の確保を目指す。 日本政府の交渉参加は参加国の手続きが遅れた影響で当初予定の正午(現地時間)から午後2時30分前後(同)にずれこんだ。コタキナバルでの交渉は25日まで。日本は交渉の全容を把握できずにいたが、今後は全ての情報を取得できる。数千ページとされる交渉文書の内容を分析し、今後の戦略につなげる。 TPPに先行参加する11カ国の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の3割強。世界第3の経済大国である日本の参加により、これが4割弱に膨らむ。日本の参加でアジア太平洋をまたぐ巨大な広域経済圏ができる。日米両国が連携を深めることで、アジアでの中国の台頭をけん制することも見込める。」と報じた。
この記事を読んで、日本が「知財など主導権」を握れるか一瞬疑問に思った。余りにも楽観的過ぎないか。アメリカが、農業産品や工業製品だけで日本に攻めてくるわけではない。知的所有権『Intellectual Property Rights (IPR)』と抱き合わせで攻めてくるのだ。当然、遺伝子組み替え生物とそれに関する知的所有権も交渉の対象になるのだ。日本は世界で稼げる知的所有権をどれほど保有しているのだろうか。
たまたま、第18回目のTPPの交渉が行われているマレーシア政府のホームページを見た。そこに、「BRIEF ON THE TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP (TPP)(http://www.miti.gov.my/cms/storage/documents/1ed/com.tms.cms.document.Document_c5ada311-c0a8156f-72160910-3ecfcd41/1/TPP%20-%20Briefing%20Notes%20-%20Website%20%28FINALrev1%29.pdf)」という記事があった。
それによると、難しい問題は先送りしているととれる以下の内容がある。:
「For Malaysia, the difficult areas are those relating to the areas of Intellectual Property Rights (IPR), State-Owned Enterprises, Labour and Environment. Sensitive issues are
put aside for further deliberation by all negotiating countries.」
更に、知的所有権に関して以下の記述がある。
「II. Intellectual Property Rights (IPR)
・ IPR issues revolve around access to medicine and healthcare, increase in pharmaceutical prices and longer copyright protection term.
・ Malaysia has strongly raised objections towards proposals that could delay the entry of generic drugs into the market and result in high cost in the prices of medicines.
・ Malaysia is working with TPP members for an outcome that would strike a balance between the continued need to allow access to affordable drugs and healthcare and sufficient incentives for drug companies to innovate.」
特許の権利期間が過ぎて後発医薬品が市場にでまわれば、医薬品の値下がりにも通じるのだが、後発医薬品が出回るまでの期間が長くなる知的所有権強化の提案にマレーシアは強い異議を唱えているようだ。
「後発医薬品。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E7%99%BA%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81。(最終更新 2013年7月16日 (火) 13:49)」『ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。の記事に、「後発医薬品(こうはついやくひん)とは、医薬品の有効成分そのものに対する特許である物質特許が切れた医薬品を他の製薬会社が製造或は供給する医薬品である。新薬と同じ主成分の薬(作用も新薬と常に同じとは限らない[1])。ジェネリック医薬品(英: Generic drug)とも言われる。なお、後発医薬品に対して先発の医薬品は先発医薬品乃至先薬と呼ばれる。医薬品の特許には物質特許(有効成分)・製法特許(製造方法)・用途特許/医薬特許(効能効果)・製剤特許(用法用量)の4種類がある。」とある。
最近は、医療費の上昇を抑制するため、病院や行政にも後発医薬品の利用を進める動きが出ている。
「技術 回顧と展望:独占の弊害と後発医薬品(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2011/09/post-82a0.html)。(2011/9/9)」
知的所有権の特許の分野でも、世界的な視野で見れば権利保護一辺倒で良いのか問題はあるだろう。
とくに生活や文化に関わる著作権の保護期間の延長は長期的な視点からは新しい創作を抑制・衰退させる方向に作用する懸念が多い。
「巨人の肩に乗った小人(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2008/12/post-69ad.html)。(2008/12/9)」
「特許の回避(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2010/01/post-e861.html)。(2010/1/21)」
TPPの知的所有権強化はアメリカの戦略であるが、それが一枚岩でもなさそうだ。著作物は言語・学術・技術・文化等の社会の共通資産を使って社会の中に産み落とされるのである。一例では、著作権保護期間が消滅して、青空文庫の萩原朔太郎の作品が自由に使えるようになった。萩原朔太郎の作品が自由に使えて初めて、萩原朔太郎が生き返るのではないか。万一TPPで著作権の扱いに過大な制約が加えられるとその悪影響は限りなく大きくなる。映画等大会社の著作物は長期間の保護を受け、そのばっちりの影響のため権利の保護も受けられない弱小な権利者又は権利者不明の著作物が塩漬けになってしまうのだ。いわば、権利の過保護によりシーズとしての既存の著作権の発芽力が失われてしまうのだ。
コンピュータの西暦二千年問題が世界的な話題になったことがある。WIKIPEDIA「2000年問題。(http://ja.wikipedia.org/wiki/2000%E5%B9%B4%E5%95%8F%E9%A1%8C)」。
「2000年問題(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2009/07/2000-bbf6.html)。(2009/7/10)」
TPPはかつての「2000年問題」ような、一時的な問題なのか。それを推進する者達にとっては、いかにもハードワークをしているように見えるが、他の問題から国民の目をそらす無用なパフォーマンスに見えてしまうのだ。いわば、内政の課題解決に自信を失った世界のリーダー達が、内政の問題隠しと目先の得点稼ぎだけの目的で、グローバル化による国家間の経済秩序を破壊しているようにも見えるのだ。特に、TPPを秘密交渉として扱う事にはあちこちで批判が渦巻いているようだ。これでは、国家指導者の説明責任も果たせない。が、政治家としては好都合に違いない。
WIKIPEDIA「環太平洋戦略的経済連携協定。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%92%B0%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E9%80%A3%E6%90%BA%E5%8D%94%E5%AE%9A)」
http://www.ustr.gov/tpp(米国通商本部)の資料によると「Resource CenterFree Trade Agreements:Australian FTA、Bahrain FTA、CAFTA-DR (Dominican Republic-Central America FTA)、Chile FTA、Colombia FTA、Israel FTA、Jordan FTA、KORUS FTA、Morocco FTA、North American Free Trade Agreement (NAFTA)、Oman FTA、Panama TPA、Peru TPA、Singapore FTA」が掲載されている。
WIKIPEDIA「アメリカ合衆国通商代表部。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E9%80%9A%E5%95%86%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E9%83%A8)」
WIKIPEDIA「南アメリカ。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB)」の地域機構に「地域機構:ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体、アンデス共同体、メルコスール、南米諸国連合」がある。どうも、米国は自国の裏庭と言われた南米の大国とFTAの締結は出来ていないようだ。最近、米国がアジア重視の外交姿勢を強めたのは、ヨーロッパの弱体化、南米諸国の実力向上で裏庭に踏み込めないという事情もあるようだ。TPPも各国の事情があり、その前途は見えていない。
WIKIPEDIAによると、「TPPは、2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。」とある。いわば、弱小国が経済連合を作って大国に対抗して存在感を高めようとした所に、落ち目の米国が仲間入りをしてきたような、呉越同舟の連合に見えるのだ。国家間に経済の不均衡があるのは厳然たる事実。その不均衡を調整する国家の機能として法令や関税があるのも事実。「TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP」という美名の下に、各国の本音が隠されているのも事実ではないか。
TPPの知的所有権交渉には、特許権だけでなく著作権も含まれる。極論すると、今日の情報通信事業から知的所有権や著作権を無くしたら何も残らないに等しいだろう。交渉出遅れで、日本が不利な条件を飲まされたのが分かった時ではすでに遅すぎて取り返しがつかない。これは知的所有権だけでなく、全ての交渉案件に通じる。
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以下はCEEK.JPにてKE=「TPP交渉 参加」に関するニュースを検索した結果(2013/7/24)