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2008年10月16日 (木)

iPS細胞と再生医療

2008/10/16

iPS細胞と再生医療

今年の科学界の特記すべき進歩の一つにiPS細胞の作成があるだろう。数年前にはES細胞が話題になり、韓国では2005年末にヒト胚性幹細胞捏造事件も起きた。ヒトES細胞はヒトの卵子から作成するので倫理上の問題等多くの問題が指摘されていた。iPS細胞はヒトES細胞の代替えとして期待が寄せられている。植物の細胞は動物細胞と異なり、色々な器官にに分化する万能性を備えている。この性質は既に産業的で数多く実用化されている。動物(ヒト)細胞の場合、あらゆる器官に分化する能力を持つ細胞は無いと信じられていたが、ES細胞がそれを持つことが発見され一躍脚光を浴びることになった。

iPS細胞 (induced pluripotent stem cells、人工多能性幹細胞)とは、体細胞(主に線維芽細胞)へ数種類の遺伝子(転写因子)を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)に似た分化万能性(pluripotency)を持たせた細胞のこと。京都大学の山中伸弥教授らのグループによって世界で初めて作られた。(WIKIPEDIA)

初期の細胞への遺伝子導入にはヴィールスの運び屋を使っており、癌化の問題があったという。最近この運び屋をプラスミドに変更して癌化の心配の無いiPS細胞の作成に成功したと報じられた。以下はそれを報告する論文のタイトルである。遺伝子科学の進歩の早さには驚かざるを得ない。正にここに、未知なる有望で巨大な金鉱があるのは確実であるため、国も会社も学者も必死で研究に取り組んでいるわけである。

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Published Online October 9, 2008
Science DOI: 10.1126/science.1164270

Reports

Submitted on August 6, 2008
Accepted on September 25, 2008

Generation of Mouse Induced Pluripotent Stem Cells Without Viral Vectors

Keisuke Okita 1, Masato Nakagawa 2, Hong Hyenjong 3, Tomoko Ichisaka 4, Shinya Yamanaka 5*

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実験はマウス細胞で行われているが、ヒト細胞でも可能であるという前提でマウスが使われていると思う。ともかく再生医療が手に届く可能性が見えてきた。今までに無い全く新しい原理による医療や創薬等の新技術の実現は何をもたらすのか予想もつかない。その光が強いだけ陰も深いのかもしれない。既に、植物の分野では遺伝子操作食品が流通し、知らない間にそれを摂取していることが日常的な事態になっている。再生医療の場合新しく作成された細胞が直接人体に入ってくる。効果は劇的であるかも知れないが使い方を誤ればその逆効果も劇的に成らざるを得ないであろう。しかし、万が一、目的外の予想も出来ない極極微量の不要な遺伝子が導入されて、それが当面は大きな効果の陰に隠れて姿をあらわさなっかたとしても、何世代も後に突然姿をあらわさないという保証はなにもない。一度導入した遺伝子はそれを次々に再生し遺伝させることによりその効果を発揮するのであるから。キュリー夫妻はウランの核分裂を実証して、それが原爆の開発につながった。今日、世界は核兵器の拡散という問題を抱えて世界平和・国際政治にも科学の陰が及んでいる。極微の世界の法則がこの大きな世界を支配しているのは悲しい現実かもしれない。しかし、この世界が極微なものごとにより成り立っている以上それから逃れられない。1953年のJ.ワトソン、F.クリックによDNA の二重らせん構造の解明が遺伝子工学の夜明けとすると、iPS細胞の作成は太陽がまぶしく輝く前兆のようでもある。一度発見された真理は何をもってしても否定することは不可能である。問題はその真理をいかに生かすかに尽きるのであろう。

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    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
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