青いバラ
2010/1/22
青いバラ
バラと言えば最初に赤やピンクの色をイメージする。それだけポピュラーである。青いバラと
言うとイメージの中にしか存在しなかった。それが、遺伝子組み替えにより可能になったのを
知ったのが自分が管理部門に異動してからであった。そこで、技術と余り関係のない部員を
前に、昼会の話題として取り上げた記憶がある。調べて見ると、青いバラを作出した会社の
ホームページにそれが紹介されていた。広報活動は2004~2008年にかけて行われたとあ
るので、その初期の頃の事であったと思う。青いバラは一面では遺伝子組み替え生物として
の規制の対象になるので安全性の確認後2009年に発売にこぎ着けたようだ(「サントリーブ
ルーローズ アプローズ」、いよいよ11月3日より販売します。)。しかし、ブランドサイトを見る
と最初のアナウンスが発売の延期(11月26日付け)である。その理由に数量が確保できなと
ある。やはり、発売するとアナウンスした以上10本でも百本でも発売した方が企業の姿勢に
適っていると思われた。発売するという約束を守ろうとすらならば、その方法には抽選、申
し込み順に販売する等いくつも方法があったろう。というのは、一流企業としてはそれ相当の
マーケッティングをしているのは当然であるべきであると推測せざるを得ないからである。発
売するとアナウンスして数が確保できないから延期するとは、あたかも購入希望者の公平性
に配慮するかのような理由付けであるが、こけにされた購入希望者の立つ瀬がないように思
われる。逆に購入希望者の夢がかなえられる方法で購入できれば青いバラも現実的な夢に
つながったのではないかと思われる。申し訳ありません、数量が確保できないので販売を延
期しますというマーケッティングシナリオまで折り込み済みに見えてしまい、夢もそこで現実に
戻ってしまう感じもする。もし、青いバラが特許製品であるなら、その発売初期価格は一本1
0万円でも百万円でも理由付けに困らないだろう。確かに世界で初めての商品の初期価格
設定に難しさは必然的にともなうだろう。「「青いバラを作る」というプロジェクトは、サントリー
とオーストラリアのバイオベンチャー企業カルジーンパシフィック社(現フロリジン社)の共同プ
ロジェクトとして、1990年に始まりました。」とある。自分もこの青いバラにかけた技術の夢に
共感を覚える。一方多額の開発費をつぎ込んだのも事実であろう。この開発にもプロジェクト
Xのような感動させられる一面があったかもしれない。特許と言うと、青色ダイオードを思い出
してしまうが、青いバラも同様に人生に新しい彩りを与えようとしている段階かも知れない。誰
もが青い鳥を探しているが、探している最中はこれが青い鳥であると気付かない。青い鳥が
青いバラ一輪をくわえて飛んできて手のひらにとまるような話は夢のまた夢なのか。