05C_技術 回顧と展望

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2011年2月 1日 (火)

技術断想:日本の自動車の行方

2011/2/1
昨日の天気

TAVE= 0.7
TMAX= 6.3
TMIN= -4.4
DIFF= 10.7
WMAX= 6
SUNS= 8.9
RAIN= 0

以下本題。

技術断想:日本の自動車の行方

2010/2/12のBLOGで自動車メーカーのリコール件数を調べた。2010という年は車のリコールでは際だった年だったと思う。そこで、国土交通省のホームページで昨年に続きリコールの件数を調べてみた。トヨタの年次別のリコール件数を調べると興味ある傾向が見られたが、それは省略する。下表は単なる件数だけの表なので中身についてはなんとも言えない。
2011/01/26(B)の統計期間は:1993年04月15日 ~ 2010年12月27日の届出日の中から検索します。

  2010/2/12(A) 2011/01/26(B) =B-A
いすゞ自動車 495 568 73
スズキ 165 187 22
ダイハツ工業  115 154 39
トヨタ自動車 502 586 84
日産自動車 377 454 77
日野自動車 283 314 31
富士重工業 81 86 5
本田技研工業 369 395 26
マツダ 307 335 28
三菱自動車工業 940 990 50

日本の自動車業界の盟主トヨタ自動車も社長直々に訪米し、自社の品質管理体制の弁明に追われた。日米間の貿易摩擦を振り返ると、繊維、カラーテレビ、自動車、半導体等色々ある。貿易収支、労働市場・国内産業の保護等がその背景にあるだろう。今までの摩擦は物の分野なので比較的客観的に判断が出来たと思われる。しかし、最近の自動車の品質問題になると、摩擦が具体的に見えにくい問題に及んでくる。ソフト技術、知的財産等容易に見抜けない分野がこれからの世界貿易の草刈場になるのではないか。例えば、トヨタの米国における品質問題が、今後の裁判市場でどのように化けるのかは予想もつかない。国家間の知略・戦略的な対応力が問われる時代に入っているのではないか。例えば、TPPというシステムにただ乗りするのが日本にとって最適な戦略なのかを考えると?がともる。遅れて誘いがあった場合の最高の戦略とは何なのか。お土産をさげて、頭を下げて仲間入りをさせてもらうのがベストなのか。

たまたま半導体摩擦の時に、半導体業界にいたが、日本がとった政策には納得ができなかった。日本は業界をあげて、米国から半導体を輸入する体制を作ってやった。当然、それなりの政府の指導があったのだろうが。その当時はアメリカを助けてやるのだという優越感もあったように思う。結局、米国は日本に売り込む努力即ち営業コストを払わずに濡れてで粟の商売ができたのではないか。そんな、油断に対応しているうちに日本の半導体はどんどん体力を失っていったように思える。アメリカから日本を見ればお人好しという一言で済んでしまいそうだ。市場原理が全然機能しなかったのではないか。強い強いと自己満足している内に第三の勢力が出てくるのが世界のダイナミズムである。歴史の流れを見ると自動車産業も盤石ではなくどこからかダークホースが現れるのではないか。

2010年10月 4日 (月)

技術断想:小さな力

2010/10/4

技術断想:小さな力

かつて小さな親切というコトバが流行った。経済の高度成長期だったと思う。それを提唱したのが東大の茅 誠司総長。当時は東大総長も社会に対して色々アピールして社会も関心をもってそれを受け止めた。

WIKIPEDIAによると、茅 誠司(かや せいじ、1898年(明治31年)12月21日 - 1988年(昭和63年)11月9日)は、神奈川県生まれの物理学者で専門は、強磁性結晶体の研究。1923年(大正12年)3月 東北帝国大学理学部物理学科卒業後、本多光太郎に師事した。

東北大学の磁性研究は有名でその研究から日本の近代産業の芽が伸びてきたとも言えるようだ。物質の持つ磁性研究はモーターやテレコやビデオという磁器記録装置(この装置の稼動にもモーターが不可欠)の開発につながる。自分が大学で卒研をしている時、同じ研究室で磁性ワイヤーメモリーの研究をした学友がいた。指導教官は東北大学から来られたS先生。その当時もまだ東北大学の磁性研究というDNAが流れていたのかと今更感じている。

ともかく、磁性も小さな力が沢山方向を揃えることで大きな力になるのである。極微少な磁石材料の磁極のNSの向きがばらばらだと打ち消し合って磁力は生じないのだ。茅先生が小さな親切という運動を提唱したのもそのような物性を見据えて、多くの人間の小さな善意を積み上げて大きな力にしたいと思われたからなのだろうか。当時は高度成長で我も我もと他人にかまわずに自分の欲求に走った時代でもあったのだろう。小さな親切大きなお世話という揶揄の声もあった。

話は電気カミソリの刃の動きに変わるが、考えてみると電気カミソリの刃の動くのもモーター(磁力)の働きによる。長らく愛用してきたニカド電池用の電気カミソリの薄い金属製の穴あきカバーもすり切れてすき間ができているが、まだ動くので現在は予備機として残っている。なぜ残しているかと言えば、電気カミソリは時々動かなくなる時があるためである。その原因は大抵、刈ったヒゲの掃除の不徹底にある。モーターの回転部にヒゲやゴミが入り込んで回転を妨げている場合が多い。

しかし、きれいに清掃しても動かない場合がある。モーター以外の電池や充電部が故障したのかとあきらめて、更に一台買い求めて現在二台が動いている。回転刃と振動刃と方式は違うが、モーターが動かないという同じ症状になった。なにかおかしいと思い、危険ではあるがカバーを外してSWをいれてみると両方元気良く動いた。ヒゲをきれいに刈るにはカバーと刃の間隔が狭いほど良いが、余り狭くするとカバーと刃が接触して問題になる。電源やモータの能力が大きければカバーと刃の接触摩擦力を振り切ってモーターは回り出す可能性があるが、電池動作の電気カミソリでは起動時の力にも限界があるようだ。電気カミソリの構造的理由で刃とカバーが接触して回らないと言う証拠を挙げることは、外から見えないので素人には不可能に近い。ただ、現象的にはカバーを心持ち引き離してSWを入れると回転するので、小さな引っかかりによる抵抗力でモーターが回り出さないものだと現在は確信している。見えない小さな抵抗力があるだけでモーターは回転を始めない時があるのだ。

会社時代にモータ駆動用集積回路の設計をしていた技術者にモーターを確実に起動させる苦労話を聞いた事がある。モーターは反発力と吸引力をうまく回転力に変える装置であるが、モーターの固定子と回転子の位置が吸引する場所で止まっている時は起動しにくいとい事だった。逆にお互いに反発する位置で止まれば、次回に起動するときその反発力が起動を助けてくれるのである。好きだが好きと言えないような人間のとまどいも同じ様な症状に見える。要するに動き出すには抵抗力に打ち勝たねばならない。設計が上手なモーターならば電池がへたりかけても弱い回転が始まるが、そうならないモーターも中にはある。設計精度や巻き線や素材のばらつきも影響しそうだ。こういう所に技術力の差が出るのであろう。モーターを確実に起動させる技術・ノウハウは重要で、特許も多くあるようだ。

ともかく、普段気づかない小さな抵抗力がモーターの回転を阻止して、故障のように見える事もある。一般の使用者に対してはこれは立派な故障である。しかし、ある時は回り、ある時は回らないという電気カミソリを返品するのも抵抗感がある。こういう症状が出る機械に当たると使用者もイライラしてついに機械を手放す事になってしまう。こんな状況を人間の世界に当てはめて考えてみるとどうなるだろうか。心当たりはいろいろある。

小さな親切、小さな力(誉めるだけでなく、叱り、尻を叩き、尻押しをしてやる等々も含めて)は外部の要因で簡単に行動が阻止されくじけてしまいそうなところに、与えてやると、物事がうまく回るきっかけなる事が多いのではないかと常々思っている。特に動き出そうと力をためている状態での一押しは非常に大切であろう。このような状態を(発達)心理学ではレディネスと言うと習った記憶もある。

ところが、最近は見知らぬ人に声を掛けられたら、それに応じてはならないと幼児は教えられている場合が多いだろう。愛らしい幼児に声を掛けたくなるのは人間の心理であろう。そのように他人から声をかけられ、幼児が応答するなかに社会への適応が学習されて行くのだろう。また、見方を変えれば、幼児にかける一言も小さな親切であろう。幼児もその一言にうまく対応できると人間に対する信頼感を高め自信を持つようになるのだろうと思う。今日の状況では、大人もあえて幼児に声を掛けるのを控えてしまう。幼児が社会的な適応を学ぶ時期に人間不信を植え付ける教育が無意識の中に行われているようで行く末が案じられるような気もする。社会生活に不適合な症状をしめす人間行動はいろいろあるが、日本の社会は人間不信の泥沼に入ってしまったのではないか。人間個人の病理現象というより社会の病理現象が蔓延しているのが現代日本なのではないか。そいう視点から茅 誠司氏が提唱した小さな親切は、現代では(また現代でも)大きな意義を持っているのではないかと思う。

パソコンの動作もBIOSの起動からはじまり、車もエンジンの点火から始まる。その時に必要なのは正しく動作するわずかなエネルギーだ。問題はそのような小さな力を受け入れて動き出すための条件整備である。このような小さな力にも関心を持ちたい。人間社会にあっては小さな力で一押ししてやるだけで物事がうまく回転する場面も多々ありそうだ。これは、幼児も大人も同様であろう。物事がうまく回転を始めると回転エネルギーが蓄積されようやく本来の仕事が順調に進むようになるのである。

2010年4月15日 (木)

箱庭療法:いとしきもの

2010/4/15

箱庭療法

湯川博士の箱庭から、心理分析に箱庭を使う云々という事例を思い出した。箱庭&心理分

析というキーワードで検索したら箱庭療法が出てきた。大脳の働く様子を言葉ではなく箱庭を

作るプロセスに投影しようとする手法であるようだ。しかし、所詮非自己が他者の心理過程を

推測するに過ぎない。心理学者があたかも公式から結論を導くような風潮をふと疑問に思う

事がある。最高の自己分析者でもある自己を越える分析はあるのか。結局、湯川博士以外

に湯川博士の○や箱庭をイメージ出来ないのではないか。箱庭は自分だけが自由に遊べる

世界である。何の制約もない。それは子供の特権でもあるようだ。自由に箱庭を作る。そこ

に想像とデザインが生まれる。現実には無いかも知れないが一つのモデルが生まれる。そ

れを通して現実を見ると理解が進む。モデルは簡単なほど役立つ。そんな事を考えている

と、集積回路が簡単に破壊したり予期しない特性を示したりするトラブルで大きな問題を起こ

した事を思い出した。回路上に無い素子が、何らかの要因でチップ上に形成されることがあ

る。これを寄生素子と呼んでいた。問題の部分に抵抗やトランジスタというモデルをあてがう

とすっきり現象が理解できる。そうすればしめた物である。その構造を探して潰す。モデルの

有り難さを実感する瞬間である。湯川博士が荘子に親しんだのは知られている。混沌から秩

序が生まれる。自己もそこまで辿りたい。幼少時の箱庭遊びには深い意味がありそうだ。

2010年3月24日 (水)

地震予知:いとしきもの

2010/3/24

地震予知

リスクマネージメントという言葉も最近はかなり一般化してきて、聞く機会も多くなった。ところ

が、この言葉を日本語に直すとどうなるの心許ない。危機管理という事か。危機にも色々な

要因がある。危機管理の要諦は先ず危機の存在、発生を認識することから始まるのであろ

う。方丈記の災害関係の記述を見ると、大火災に関しては出火場所を伝えている。これを発

展させれば防災意識につながってくるのであろう。地震、竜巻に関しては天災でなす術が無

かったようだ。日本は地震大国という事で、地震対策は経験と実力があると胸を張っている

ようだ。必ず起こると予想されている東海地震にどう対応するかも色々議論されているよう

だ。かつては地震予知の研究が色々行われてきたようだ。しかし、地震は確率現象でいつど

こで起こるかは事前に予知する事は不可能であるという結論に達したようだ。現象という点で

起こることを阻止することは出来ない。それならば、起こった場合どうするか。施策の重心が

地震発生後の対策の準備に向けられるようになったようだ。これに伴い、地震予知という科

学研究への熱意が冷めていると指摘もあるようだ。建築物件の耐震強度の基準が強化さ

れ、日本の建築物の耐震性能が向上しているのは間違いないであろう。数年前には耐震強

度偽装問題が発覚して、その余波で更に規制が強化され、最近建築設計業者のぼやきを耳

にした。これは社会的偶然。石原純はその科学史の中で、日本が最も早く西洋科学を取り入

れて、先進国を凌駕するようになった科学分野に地震学があったと指摘している。その背景

に明治12年の横浜地震、明治24年の濃尾大地震(これを機会に震災予防調査会が設立さ

れた)、大正12年の関東大震災があったと記す。科学の発展にも社会的な要因が作用して

いる。東京帝国大学の地震学教授の大森房吉は震災予防調査会の第一の目的に、「地震

を予知する何らかの手段があるか否かを研究すること」と述べていると記している。第二の

目的は防災の科学である。これが、日本の地震学のDNAではないだろうか。そういう点で

は、科学的な地震予知理論を創出する事が日本に課せられた使命なのかも知れない。当

然、こういう理論はプレートテクトニクスという理論の枠組みを更に精緻にするものだろう。日

本人の得意な分野ではないか。上田 誠也氏の「地震予知研究の歴史と現状」は大変参考

になった。しかし、現実を知ると残念でもある。日の丸は一本にすると親方日の丸になってし

まう。何本か立てて切磋琢磨した方がよさそうだ。VAN法には興味を覚えた。やはり、科学

は何か分からないXを追求するところに原点があるのだろう。地震を引き起こす刺激(予知

原因)エネルギーと地震が引き起こすエネルギーの比は予想できないほど大きくなるかも知

れない。地震の種を知りたい。単純な好奇心でもある。地震も集団と見れば確率現象であろ

うが、個々に見ればそれは歴史現象になるだろう。種は外から来るのか。少しずつ成長する

のか。横綱級の地震は個別に歴史(予兆を含めた過渡現象)的に研究する価値があるだろ

う。2010年 2月27日15時34分頃(日本時間)起きた チリ中部沿岸のマグニチュード8.8の地

震では津波警報が出されたが避難状況に課題が指摘された。要は情報の発信側と受け取り

側の行動にギャップが生じた。こういう問題は科学では処理できない。しかし、津波警報は地

震予知に通じるのであろう。ところで、今回の地震に予知の手がかりとなる予兆があったの

か興味がある。

2010年3月23日 (火)

誤動作:いとしきもの

2010/3/23

誤動作

何気なく聞いて、余り深く原因を考えない言葉に暴走という言葉がある。自分にとって関心が

あったのがオートマ車の暴走という問題もその一つであった。一時は新聞でも取り上げられ

たと思うが、既に20~30年前頃の事だったと思う。既にこの頃から車にマイクロプロセッサー

が搭載され始めていたのではないかと思う。コンピュータの番犬という題でウオッチドックタイ

マーICの事を書いたのを思い出した。気になったのは車の暴走とマイクロプロセッサーの動

作に何か関係があったかどうかであった。電子機器が動作する環境と言う点では、車の走る

環境は屋内機器の動作する環境より相当厳しい。特にエンジンルームの中は電気的(静電

気、サージ電圧)、機械的(振動)、化学的(バッテリー液、化学変化)、物理的(周囲温度)等

色々なストレスが満ちている。集積回路の信頼性に関しては色々な試験が行われるが、それ

も万全ではないだろう。部品屋は部品単体の信頼性は何とか調べる事は可能であるが、シ

ステム全体の信頼性は調べることは不可能である。一般的には、それは装置メーカーの仕

事になる。一般的に、欠陥はバスタブ型の曲線を示すと言われる。システムの稼働初期と末

期にには欠陥が大きくなる。稼働初期の欠陥は除去されない欠陥の顕在化による要因が多

い。従ってその原因を除去すればその後の欠陥は低下して安定期に入る。稼働初期の欠陥

は部品の摩耗等による寿命が顕在化した場合が多い。いわば、ストレスの蓄積によって機

能が損なわれて起きる。最近車のリコールの報道が続いている。イベントレコーダーが搭載

されている車があるようだ。これには興味がある。しかし、個人情報云々でそのデータの取り

扱いが微妙なように思われる。しかし、イベントレコーダー搭載の事実を顧客に告知もせず

に、メーカー側が顧客に無断で、クレーム時に解析するとなるとこれにも疑問が生じる。航空

機のブラックボックスのような取り扱いになるのであろうか。ともかくシステムに問題がないと

するのならばそれを証明する必要もあるだろう。イベントレコーダーはその時どんな役割を果

たすのであろうか。そもそもイベントレコーダーは安全基準として設置義務があるのか。実務

で再現の難しい誤動作の存在を体験した。メーカー側のサンプリング的な検証をすり抜ける

誤動作も、実社会における膨大な台数X時間X動作環境という空間では確実に起こっている

場合もあり得る。常識的だが完全な機械(構造物)はないという認識を持つ事が必要だ。

2010年3月 5日 (金)

SAWフィルター:いとしきもの

2010/3/5

SAWフィルター

テレビ放送の送受信機は一種の無線機である。自分の仕事はその受信機の極一部のIFア

ンプが中心であった。送信周波数が高いので直接高周波から信号を取り出さずに、低い周

波数に変換してから信号を取り出す。こういう方式は一般にはあまり知られていないが、アマ

チュア無線等をやると理解できる。複雑でコストが上がるが性能や操作性は向上する。現在

は受信機の技術が向上しているのコストは余り関係が無いのであろうか。かつては、回路の

コイル調整等も手作業でしていた。入社直後は、試作基盤のコイルも自分で巻いていた。

VIFアンプも数段からなるBAND PASSアンプで綺麗な波形に調整するのは大変であった。

更に、音声信号成分を減衰させるサウンドトラップというフィルターもあった。フィルター回路

の計算式が書かれた文献も先輩にもらったが難解であり、仕事はカットアンドトライという職

人的な手法しか現実的ではなかった。自分がVIF集積回路の設計を初めて二世代頃から

SAWフィルターが実用化されるようになった。これは電気信号を表面波に変換してその波の

伝わり方でフィルター作用を行うものであった。TV部門の同僚はパソコンでSAWフィルター

の設計をしていたようであった。SAWフィルターの実用化も色々な面で合理化をもたらした。

テレビ回路技術者もその部品が使いこなせれば何とか仕事は出来るようになる。ともかく、シ

ステムの合理化もその初期の頃は、部品屋が主導権を持つのかセット屋が主導権をもつの

か議論があった。しかし、大勢はセットメーカーは部品をかき集めてセットに組み立てる部分

に体力を集中したようだ。セットの特長となる部分だけはなんとか自社技術でまかなう方針で

あったようだ。今日ではSAWフィルターも到る所で使われているのではないかと思う。自分が

現役を離れる頃にはワンセグTVも話題になり、ダイレクトコンバージョンという言葉を聞い

た。技術の基本部分は余り変わらないようにも思えた。

2010年3月 1日 (月)

分散化:いとしきもの

2010/3/1

分散化

自分が経験した集積回路の仕事の中で、電源関係の仕事は色々な面で役に立った。最初

の頃は電源はメイン電源があれば十分ではないかと思う事もあった。電源は人間に例えれ

ばご飯等のエネルギー源。しかし、毎日安定して飯を食えるようにするには、米を運ぶルート

等のシステムの中で考えなければなぜ電源が必要なのか理解できない。回路網の中である

回路を動作させる為には、回路のご飯である電力が安定に供給される必要がある。そのよう

な機能を持つのが安定化電源である。この安定化電源を通していくつかの回路を動作させる

と全体のシステムの動作が安定する。今日のパソコンも複雑な安定化電源を備えている。こ

の、安定化電源が無ければパソコンの処理はエラーの山となりパソコンの機能は実現できな

いだろう。回路が複雑になると、そこにエネルギーを供給する電源ラインも複雑になる。まさ

に、メイン電源を人体の心臓に例えれば、各器官に血流を運ぶ血管が電源ラインになる。電

源ラインに流れる電流は各ブロックの動作を反映して刻々変化する。従って、大本で電源を

安定化するには相当高性能な装置を要する事になる。ここで、発想を変えて、その安定化機

能を末端のブロック毎に持たせてシステム全体の安定化をさせようとするのがローカルレギ

ュレータレータ方式と言われる。いわば、組織の末端にも小さな心臓を付ける事に相当す

る。一方、システムが大きくなると回路設計技術者は、いちいち電源回路の設計に立ち入る

のは大変になる。そのような背景で、生み出されて来たのが三端子レギュレータと言えるだ

ろう。端子数から見れば、これ以上少ない端子で動く集積回路はほとんど無いであろう。この

ような手法で、システムの設計、構築、運用、保守等のコストを下げ、システムの増大とシス

テムの安定に対応できた訳である。これは、あくまで電子回路の世界の話ではある。しかし、

回路自体は抽象的な概念の上に成り立つ。同じ様な構造を持つシステムにも成立するので

ある。今日の技術では一台のパソコンにはCPUが1個であるが、いくつものCPUが使われる

時代も来るであろう。要するに、分散化は機能増大を解決する有効な手法であろう。それ

は、コンピュータの歴史をみれば理解できるであろう。このようなシステムの考えは社会シス

テムにも通用するのではないか。

2010年2月26日 (金)

集中と選択:いとしきもの

2010/2/26

集中と選択

この言葉を耳にすると色々な事を連想する人が多いだろう。その逆を表す言葉は何か。分散

と○○。選択の対立用語は非選択か。選ばないというので放任。選ぶという積極さの逆は切

り捨て。色々ある事を選別してそれに資源を集中するという事はリストラの意味にも通じる。

生物が大きくなるのは、細胞が増えるのと、細胞が大きくなるのと二つの要因があるという。

ある目的で、アウトプットを大きくするためにはその単位組織を増やすのが普通だ。支店や

営業所の数などはその例であろう。しかし、数が増えればその数に応じて増える経費も生じ

る。適正規模という数の調整も経営上の問題となる。Googleの検索サービスが気になった

のでGoogle検索してみた。Google検索の結果:Google サーバー数 に一致する日本語の

ページ 約 9,110,000 件中 1 - 20 件目 (0.23 秒) 。ともかく、利用者が余所に移らない短い

時間にアウトプットを出してくる。Googleが保有するサーバー数は非公開だが数十万台程度

であろうという情報が手に入る。いくつかの情報を見ると使っているサーバーは特殊なもので

はなく、普通の物であるようだ。高性能なサーバー1台より、普通のサーバー2台の方を選

択している。Googleの技術とはそのような多数のサーバーを効率・、安定・高信頼的に運用

するソフト面にあるようだ。翻って、平成の大合併もそろそろ、山を越えて多くの自治体が吸

収合併して、その流れが終息しようとしている。この合併の効果は直ぐには計れないかも知

れないが、Googleのサービスの対極を行くように思えてしまう。多くの市町村が生まれてきた

のはそこに必然性があったのではないか。それを、目先の効用だけで小さな自治体を解体

処分してしまうのは本当にもったいないことであろう。Googleのサーバーは12Vの電池を備

えているとの事だ。これは分散処理の生き方かも知れない。要は万一の場合、最悪の検索

サービスをダウンさせない処置であろう。0.2秒の検索時間が倍の0.4秒になっても誰も不平

を言わないであろう。地震やテロ等で被害を受けても、分散化により検索サービスの続行は

可能であろう。少子高齢化の時代を迎えて、行政の恐竜化は本当に望ましい姿なのか。ハ

ードはそれが必要なところに分散して置けばよい。そのハードとハードを連結して最高の効果

を実現するのがソフトだ。この部分はIT化に良くなじむ。バーチャルな本庁は支所のモニター

の中にあればほとんどの業務は可能になる。まさにGoogleの手法の逆の発想がまかり通っ

ているのが日本の現実なのかもしれない。行政サービスこそGoogleの一枚のサーバーの集

まりのように分散化が最も効果のある手法なのではないか。これは、恐竜の頭脳では実現

出来ないのは明かではあるが。国税庁がパソコンによる確定申告の案内を送ってきた。今

日では、税務署や銀行の一部機能も自宅で間に合う時代なのである。

2010年2月23日 (火)

虚数:いとしきもの

20102/23

虚数

小中の算数から高校の数学になった頃出合った不思議な数である。二乗すると-1という数

である。普通の数は二乗すると負の数にはならないので、仮想的に作った数である。従っ

て、imaginary number と英語で表すと納得する。西洋の数学を導入した明治の頃に苦心し

て漢訳した数であったのではないか。石原純は和算のレベルの高さは評価していたが、その

論理性・伝承の閉鎖性等を指摘していた。ともかく虚数は数の概念の拡大であり、一度その

ような概念の拡大が行われると実用上も大きな利便性を産む。方程式で書けばX*X+1=0の

解がROOT(-1)=i という事になる。オームの法則は中学生の頃に学ぶ。電流、電圧、抵抗

の関係を与える関係式である。この式は直流では成り立つが交流では正確には成り立たな

い。交流を表すには三角関数が必要になるが、まだ高校の段階では数学と工学が結びつい

ていない。電気工学の基礎となる交流理論を学んで初めて交流のオームの法則の意味が理

解できる。それには、抵抗という概念を拡大する必要がある。純粋な抵抗に電流が流れれ

ば、そこでエネルギーが消費され熱となる。しかし、交流では、エネルギーは消費しないが電

流の流れに影響する、コンデンサ成分とコイル成分がある。かくて、純粋抵抗成分とコンデン

サ成分とコイル成分とを一つの素子としてインピーダンスという概念に拡大する。そうすると、

拡大したオームの法則が成立するようになる。このインピーダンス成分に虚数iを使用する複

素数という数の演算で交流の電圧、電流の関係を求める事が出来る。おそらく、虚数という

概念は数学で先に生み出されたが、それが技術の方面に利用されて、純粋数学以上に実用

工学上の効用をもたらしたのではないかと思う。初期の電気利用は電池による直流が主体

であった。発電機が発明され、交流送電が行われるようになって電気の利用分野は急激に

拡大した。そうして、主に電気を動力源等につかう強電分野が栄え、その後は電気の元とな

る電子を使うという概念の弱電分野が大きく成長して今日に到っている。蛇足であるが、電

気工学ではiで電流を表すので虚数をjで表す。思えば高校の頃に学んだ虚数には大変お世

話になった。会社の初期の大型計算機で、プログラムカードにFORTRANで書いた計算式も

トランジスタのインピーダンスを計算するものであった。虚数をjは交流の位相をあらわし、素

子内部の位相遅れが大きいと動作が不安定になり発振を初めて、これに悩まされていたこと

もあった。実社会においてもいくらポテンシャル(電圧)を上げても、抵抗勢力が大きいとうまく

物事が進まない。また、時にはちょっと位相がずれたi勢力も必要なのかもしれない。視点を

変えて過去を振り返るという事にも意義があるだろう。

2010年2月19日 (金)

映画理論:いとしきもの

2010/2/19

映画理論

何かの縁でテレビ関係の仕事に就いた。テレビの前に映画があり、映画の前に紙芝居があ

る。技術のレベルから比較すると相当に大きな変革があった。しかし、それを必要とする理

由は共通している。これは映像技術のソフト面である。ハード面ではソフトをよりよく使える手

段を実現することになるだろう。このテレビ、映画、紙芝居で共通するのは方形の画面に絵

を描くという原則であろう。作品を作るとき与えられた枠は絶対的である。テレビは電子ビー

ムで、映画は光束で、紙芝居は筆そのもので絵を描く。そんな訳で、映画などほとんど見ない

で映画の本などを読んだりした事があった。そこで、出合ったのがエイゼンシュタインの映画

理論。ともかく、映画の初期は一本の映画を撮るのも大変であったろう。映画作成者は観衆

にアピールする方法を考え実践しそれを理論化する。それがエイゼンシュタインのモンタージ

ュ理論につながったのだろう。WIKIPEDIAによるとエイゼンシュタインは日本語を習い、漢字

の構成等からインスピレーションを得たようだと記載されていて新しい発見をした。今日で

は、テレビも映画もあらゆる技術や理論も出尽くしてしまったのか。映像の作成・送出側もそ

の受け手も膨大な情報量を持て余しているようにも感じられる。テレビ画像も映画も自分が

プロデューサーになり、監督になり、カメラマンになったつもりで見れば興味が湧くのかもしれ

ない。最近は立体視テレビの実用化が話題になっている。画像が益々現実に近づくが、それ

は一面では画像の陳腐化にもつながる。かつてはマルチメディア云々が何度か業界の流行

となったが当たり前になってしまった。各社独自の立体テレビがどこまで普及するか興味が

ある。

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嗚呼 伊勢崎 非情

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  • 橋本 英文: 刃物雑学事典 図解・刃物のすべて(1986年 株式会社 講談社 ブルーバックス B-659)
    刃物という視点で多くの事例が取り上げられている。刃のある道具の理解にも役立つ。類書が少なく貴重な一冊。「すべり変形が切断の原理」という考え方で説明している。
  • 沼田 真   : 植物たちの生( 1972年 岩波新書(青版 833))
    「ご要望にお応えしてアンコール復刊(1988年岩波新書50年記念復刊) 地球生態系の中で自然を見直す」(腰巻きのフレーズ)。植物の知恵と戦略に人類は勝てるのか。
  • 出町 誠: 14_NHK趣味の園芸:よく分かる栽培12ヶ月  カキ(NHK出版2007年)
    初心者向け柿栽培参考書(新版)。旧版と比較すると楽しい。
  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
  • 沼田 真(編): 07_雑草の科学(研成社1979)
    雑草を多面的に解説し防除の基礎も述べる

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MEMO 海外の博物館・美術館

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  • 項目のタイトル2
    POST IT :ブログ画面への張り紙に使える。
  • TYPE LIST事始め
    2010/8/4:MEMO等の表示に使える。 農作業で気になる自戒の言葉 ■畑の石ころはいつまで経ってもても石ころ(早く拾って片づけよという意味か)。 ■同じ石を二度拾うな(やってみると難しい)。 ■手ぶらで歩くな。 ■三つ先のことを読め。 ■適当な観察。 ■空を見よ(気分転換、休憩、天気を読む、腰曲がり防止)