05C_技術 回顧と展望

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2010年2月12日 (金)

雪なだれ

2010/2/12

雪なだれ

春先は雪なだれの警報がでる場合がある。アバランシェダイオードというデバイスの名前を

ふと思い出した。電圧を増加すると絶縁状態の半導体に急激に電流が流れる現象を利用し

ている。じっとしている雪が何かの原因で滑落する現象との類似もあるようだ。集積回路を設

計する場合、その動作が保証される電圧範囲がある。動作はするが、動作する性能を保証

されない灰色の領域も存在する。更に、これ以上電圧を印可すると破壊するという電圧もあ

る。これは最低値で規定される。即ち、この最大印可許容電圧以下ならば破壊しないことが

保証される。これは電圧をパラメータにしてデバイスを規定する方法である。かつては、この

ような規格を検討する会議に出席させられた記憶があるが、どのような会合かすっかり忘れ

ている。ともかく、業界に共通の規格の制定は、技術の進歩を促したと思う。例えば

2SA○○○○(○は算数字)という表記により、そのデバイスが特定できた。それは、デバイ

スの登録や命名規約というルールがあったから可能であったのだろう。集積回路の時代にな

ると、そのルールはメーカー独自の運用に委ねられているようだ。社会現象を見ていると、な

だれ現象のようにある方向に突き進んでしまう現象があるようだ。止まっている雪が滑落す

るのは、まさに止めている摩擦力が、重力に負けてしまうからであろう。報道でも雪なだれの

ような現象が起こってしまう。なぜなのだろうか。真実が分からないが、重要な事態が起こっ

ている事は分かる。知りたい人が多いだろうと数の尻押しに安易に乗ってしまうのか。要する

に、こういう状況の下に何らかの思惑で動いてしまうのではないか。まさに、報道のボルテー

ジが上がってしまうのである。しかし、報道機関の使命はわきまえて頂きたい。一瞬にして世

界を駆けめぐるのである。にわかにまき起こった自動車のリコール報道が気になり概要を調

査してみた。以下は国土交通省の自動車リコール等の検索で車メーカーのみで検索した結

果である。「1993年4月15日以降に届けられたリコール情報を検索できます。」とある。

http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/recall.html

いすゞ自動車      該当する自動車リコール等情報は 495件です。
スズキ         該当する自動車リコール等情報は 165件です。
ダイハツ工業      該当する自動車リコール等情報は 115件です。
トヨタ自動車      該当する自動車リコール等情報は 502件です。
日産自動車       該当する自動車リコール等情報は 377件です。
日野自動車       該当する自動車リコール等情報は 283件です。
富士重工業       該当する自動車リコール等情報は 81件です。
本田技研工業      該当する自動車リコール等情報は 369件です。
マツダ         該当する自動車リコール等情報は 307件です。
三菱自動車工業     該当する自動車リコール等情報は 940件です。

リコール報道が増幅する背景には不満の蓄積もあるのかもしれない。企業の姿勢が問われ

ているという側面もあるだろう。リスク管理の難しさは確かにあるだろう。リスクを克服して更

に体質の強化につながる場合もあろう。自分として知りたいのはそういう赤裸々な現場の姿

であるのだが。尚、リコールの絶対数や単位生産台数当たりのリコール件数を求めてもメー

カー別の客観的な比較は困難かも知れない。本気に欠陥対策をすればリコール件数は増え

る。企業イメージを重視し、表見上のリコール件数を減らして消極的な対応をとる場合もある

だろう。真剣に品質向上に心がけた結果リコールが少ない場合もあろう。車載用の半導体を

検討したときは、走る・止まるという走行系については色々な議論をした事を思い出す。車載

ラジオが寒冷地で聞こえなくなっても大変だ。そう思いつつ、確たる基準がなかった。

2010年2月 8日 (月)

取り扱い説明書

2010/2/8

取り扱い説明書

製品を買うと大抵取り扱い説明書が付いている。その最初に警告や注意事項が細かに記さ

れている場合が多い。その割には、製品自体の取り扱い方の記述がそっけない場合も多い

い。警告や注意事項は製品を安全に使い、所定の性能や信頼性を確保する為には必要不

可欠である。従って大きな文字を使ったり、絵記号の表示があり、最初に読ませようとする工

夫が見られる。昨年百円ショップで買った腕時計にも本体に非耐水という表示があり、取り扱

い説明書にもその旨注意が記載されていたので、それを承知で使っていたが、汗か水滴が

内部に進入したのか動かなくなった。残念ながら表示の通りの結果になったが、取り扱い説

明書は壊れたから補償せよと過大な要求を事前にくい止める役目を果たしているのは確か

であろう。自分も集積回路の仕様書を作成する時に、仕様上の注意点等を出来るだけ記載

するよう心がけた。製品には構造上強度と性能を両立させる事が困難な場合がある。例え

ば高S/Nが要求される初段アンプでは保護抵抗を挿入するとノイズ発生の原因となるので、

強度より性能を優先して保護抵抗を入れず、アンプの保護はアプリケーションに委ねる事に

する場合がある。こういう場合、弱点を積極的にセット設計をする顧客に知らせてセット設計

に対策を盛り込む必要がある。製品本体の機能が多くなると、取り扱い説明書の機能・操作

等の確認が必要になるが、警告や注意事項ほど丁寧に書かれていない場合もあるように思

われる。大抵、取り扱い説明書を作成するのは製品本体を設計した部署以外の部署が作成

すると思われる。従って、警告や注意という共通事項は最大限盛り込める内容を盛り込んで

置くので、製品の種類に拘わらず同じ様な重厚な文言になってしまうのかも知れない。○○

するなという警告や注意もその理由や、その警告や注意を怠った場合、どういう事態になる

かを分かりやすく明示していると有り難い。取り扱い説明書は物造りの最後の工程という位

置づけで作成して頂きたいと思う場合も少なくない。

2010年1月26日 (火)

照明工学

2010/1/26

照明工学

電気工学の一部門に照明工学というのがあったように思う。電気学会から出版されていた教

科書であった。検索したら、<本書は教科書とし好評を博した「照明工学」をベースに,内

容,装丁などを一新し書下ろしたものである。>と「光技術と照明設計」という本がヒットした。

講義や内容に関してはすっかり忘れている。照明も突き詰めれば物理の光と同じ基礎を持

つので違和感は無かった。学生当時は、照明工学とは実務上無縁であろうと思っていた。し

かし、リモコン受光用集積回路の受光感度を測定する時に照明工学が必要になった。受光

感度は大まかにはリモコン送信機との距離で評価できるが、再現性良く測定するためにはト

レーサビリティを確保する必要がある。そこで問題になるのがやはり、計測の基本になる信

号源と信号の測定器である。電気に関してはほとんど不自由しないほど市販品がある。しか

し、光関係はそれほど需要が無いのか市販品の種類が少なかった。振り返ってみると、リモ

コン受光用集積回も一種のセンサーである。シリコンの光電変換作用を利用する。光の入力

は透明パッケージを通して行われる。一方、ホールICは磁気を検出する。こちらは磁気がパ

ッケージを透過するので特別な入力端子が無い。ともかく、電気的に外部とつながる端子は

両方とも電源、接地、出力の3つしかない究極的な形態のICであった。この、リモコン受光用

集積回路を開発するためには、受光素子、信号処理回路、透明パッケージ等の新技術に挑

戦する必要があった。そうして、ほぼ市場導入の見込みが立ってきて受光感度の正確な測

定という課題に直面したのであった。最近の操作を要する電子機器にはリモコンが使用され

る場合は多い。中にはリモコン操作を基本にして本体側の操作機能が限定されている機器

もある。従って、リモコン送受部分の生産数量は膨大になる。この市場を狙って新規参入を

企てて来たが、一種の標準品としての価格要求は厳しかった。加えて、後発品として先行品

以上の性能を要求された。種々の受光妨害に耐える能力もその一つであった。開発はあと

一息で完了し発売できるところまで進んだ。しかし、最後の最後の場面で開発を中止する事

にせざるを得なかった。その理由は、幾つも挙げられる。もはや結果論になるが、開発中止

はやむを得ない判断であったのかもしれない。一度でも、生産出荷してしまうと更に難しい問

題が延々と継続してその後始末にも膨大な負担がかかる恐れも多い。一方では後発互換品

の開発という開発の立場を十分理解していたかは反省の余地はあった。先行品が価格、性

能、品質、納期等で顧客に大きな不満が無い限り、後発品の採用を積極的に行う理由も無

いと思われる。自分を後発品を使う立場に置いて初めて理解できるようになる事もある。先

行品が二匹目のドジョウを寄せ付けないということは、そこまでに到る間の種々の蓄積の賜

なのかもしれない。

2010年1月25日 (月)

LED照明

2010/1/25

LED照明

半導体が光るのを見て感動を覚えたことがあった。LEDという商品が出てきてエレショーでも

脚光をあびた。当時、珍しく出張でエレショーの見学を許されたので記憶に残っている。しか

し、素材はSi/シリコンではなく、化合物半導体であったので、直接的な仕事上の関係はほと

んどなかった。LEDを表示素子としてする場合の駆動用の集積回路の仕事はいくつかした。

特に交通用の表示板等のメーカーには拡販で訪問した。ある時、ウエハー状態の集積回路

を暗幕下で顕微鏡で覗いていると、極小さな光点が所々点滅しているのを見たような感じが

した。Si/シリコンの発光だと断定できるほど確実ではなかったが、仕事の余禄のように思え

た。集積回路上に形成されているトランジスタは光が入るとフォトトランジスタの動作をしてし

まうので、それが検査上問題になる場合は暗幕をかぶって作業をした。最近、NHK第一放送

で、照明デザイナーの石井幹子氏の興味ある話を聞いた。先ず、女性ながら技術の仕事を

したかったというのがユニークに感じた。技術者としては照明器具の設計にかかわったよう

だ。その後は、照明機器を使用した照明全体をデザインの対象に活躍されているようだ。

そこでLEDが照明の手段として登場した意義を述べていた。LEDの発光効率が高いので屋

外のライトアップに要する電気料は意外に安いという印象を受けた。しかし、屋外のライトアッ

プにはいろいろな意見がありそうだ。それが、流行になりあちこちむやみにライトアップが進

むと本当の闇が恋しくなりそうだ。石井氏はその師から光源の大切さといかに光を感じるか

の大切さを学んだようだ。マッチ一本、ろうそく一本の明るさにも理解がありそうだ。白色LED

照明が普及を初めて白熱電灯は消え去る運命にあるようだ。照明技術も大きな転換期にさ

しかかっているようだ。

2010年1月22日 (金)

青いバラ

2010/1/22

青いバラ

バラと言えば最初に赤やピンクの色をイメージする。それだけポピュラーである。青いバラと

言うとイメージの中にしか存在しなかった。それが、遺伝子組み替えにより可能になったのを

知ったのが自分が管理部門に異動してからであった。そこで、技術と余り関係のない部員を

前に、昼会の話題として取り上げた記憶がある。調べて見ると、青いバラを作出した会社の

ホームページにそれが紹介されていた。広報活動は2004~2008年にかけて行われたとあ

るので、その初期の頃の事であったと思う。青いバラは一面では遺伝子組み替え生物として

の規制の対象になるので安全性の確認後2009年に発売にこぎ着けたようだ(「サントリーブ

ルーローズ アプローズ」、いよいよ11月3日より販売します。)。しかし、ブランドサイトを見る

と最初のアナウンスが発売の延期(11月26日付け)である。その理由に数量が確保できなと

ある。やはり、発売するとアナウンスした以上10本でも百本でも発売した方が企業の姿勢に

適っていると思われた。発売するという約束を守ろうとすらならば、その方法には抽選、申

し込み順に販売する等いくつも方法があったろう。というのは、一流企業としてはそれ相当の

マーケッティングをしているのは当然であるべきであると推測せざるを得ないからである。発

売するとアナウンスして数が確保できないから延期するとは、あたかも購入希望者の公平性

に配慮するかのような理由付けであるが、こけにされた購入希望者の立つ瀬がないように思

われる。逆に購入希望者の夢がかなえられる方法で購入できれば青いバラも現実的な夢に

つながったのではないかと思われる。申し訳ありません、数量が確保できないので販売を延

期しますというマーケッティングシナリオまで折り込み済みに見えてしまい、夢もそこで現実に

戻ってしまう感じもする。もし、青いバラが特許製品であるなら、その発売初期価格は一本1

0万円でも百万円でも理由付けに困らないだろう。確かに世界で初めての商品の初期価格

設定に難しさは必然的にともなうだろう。「「青いバラを作る」というプロジェクトは、サントリー

とオーストラリアのバイオベンチャー企業カルジーンパシフィック社(現フロリジン社)の共同プ

ロジェクトとして、1990年に始まりました。」とある。自分もこの青いバラにかけた技術の夢に

共感を覚える。一方多額の開発費をつぎ込んだのも事実であろう。この開発にもプロジェクト

Xのような感動させられる一面があったかもしれない。特許と言うと、青色ダイオードを思い出

してしまうが、青いバラも同様に人生に新しい彩りを与えようとしている段階かも知れない。誰

もが青い鳥を探しているが、探している最中はこれが青い鳥であると気付かない。青い鳥が

青いバラ一輪をくわえて飛んできて手のひらにとまるような話は夢のまた夢なのか。

2010年1月21日 (木)

特許の回避

2010/1/21

特許の回避

ある事を実現するためには一般的にいくつかの方法があるようだ。その方法はただ一つしか

ないと証明することも困難であり、現実的でもない。ある山の頂上に登るコースに例えられる

と思う。登山ならば新しいコースで目的を達成するのは一つのチャレンジであろう。逆に特許

の場合は、利便性、経済性が大きな目的になる。新製品を開発する場合、第三者の知的財

産権を侵害せずに目的を達成できれば、それがベストと言える。しかし、開発した結果が生

きるためは、タイミングが合わなければならない。第三者の知的財産権を使わざるを得ない

事もある。大抵、大企業はお互いに自社の持つ特許を融通し会う契約を結んでいるようだ。

お互いに使い合った特許使用料の差額が特許収支となる。知的財産権に関して友好的な関

係にあれば合理的経済性の範囲で問題解決が可能なようであった。一方では、その逆の特

許ビジネスを専門にする事業者もいるようで、知財関係者から警戒されている場合もあった

ようだ。いずれにせよ、新製品を開発する場合、第三者の知的財産権を侵害しないこと、第

三者の特許を回避する別の手段を採用すること等が必要になる。既に市場に類似の製品が

存在する場合はそれを調査する。集積回路の場合はチップのレイアウトや回路が知的財産

権の対象になるので、その調査は大変である。そのような調査はリバースエンジニアリングと

呼ばれているが、適当な日本語を知らない。リバースエンジニアリングは単に産業上の技術

概念なのであろうか。権利という概念は完全に相対的概念であり、社会の中で生み出されて

きたのであろう。従って、権利の独占もあくまでも社会が許容できる範囲に限定されるのは明

かだろう。発明も発見も社会が積み上げてきた知識やインフラがあって初めて可能になる。

社会という巨人の肩に乗った小人が巨人の如く振る舞うのに違和感を覚えたのも事実であっ

た。リバースエンジニアリングも人間の創作物に到るまでの技術の適用を復元する復元技術

と定義すれば、それは技術における巨人の部分に相当するのではないか。新しい発明・発見

を矮小視する積もりはないはが、リバースエンジニアリングは公開されない優れた先人の思

考、発想、適用した技術等を探る正当かつ有意義な技術行為なのではないか。古代の遺跡

から出土する翡翠の首飾りはどのように加工したのか不思議に思った事がある。固い原石

に糸がようやく通る程度の小さな穴を開けるのは現在でも素人には難しい。その解決法を読

んで納得した。その技術は現代でも通用する。嶋正利の「我が青春の4004」を読んで、チッ

プパターンに家紋を残していると知った。これも、技術者として何かメッセージを残したいとい

う気持ちがあったのではないか。顕微鏡写真を何枚も張り合わせたチップ写真を眺め、そこ

から回路を抽出する時に何かその作品を完成させた技術者と向き合い対話しているような

気持ちになった事もあった。中には何のためにあるのか理解できない部分もあった。配線さ

れずに埋もれている捨て石のような部品もあった。これは万一の場合の保険でもある。捨て

石や部品の組み直しで助かった事もある。回路にもパターンにも芸術的な美しさを感じるも

のがある。技術者のセンスを感じる。一般の人に見せたいと思うこともあった。画生が偉大な

画家の作品の模写をするのも同じ様なことかも知れない。技術者現役時代は特許を避ける

という事を単なるコストの面でしかみていなかったようだ。第三者の特許を避けるという事に

は、結果的には先人の真似をしない、先人を乗り越えるというプライドややり甲斐という自己

主張という側面もあったようだ。

2010年1月20日 (水)

従来の技術

2010/1/20

従来の技術

特許の出願に際しては下書きは自分で行った。しかし、その書式・構成等はすっかりわすれ

てしまった。特許電子図書館の書式は以下の項目からなっていた。

●(書誌+要約+請求の範囲+実施例)
書誌 要約 請求の範囲 詳細な説明 利用分野 従来の技術 効果 課題
手段 実施例 図の説明 図面

何か実験ノートの項目のようでもある。確か、会社でも技術者用の専用ノートを用意していた

ような記憶がある。米国流の特許対策という一面があったかもしれない。発明の先行性を証

明する為にはあるルールで継続的に作成・記録した資料の方が証拠能力が高いという事で

あろう。しかし、技術者のノートは技術者の脳裏も暴いてしまう可能性もある。落書き、殴り書

きは常のこと。誰か他人が見るとなると自己規制が働き、ノートを書くことが仕事になってしま

うような気がして普通の市販ノート一冊で全てをまかなった。従って、当座の備忘録で終わっ

ていた。特許出願も見方によれば、その出願内容が科学・技術の独自性・新規性・有用性を

主張して、発明者にその技術の独占使用権の許可を求めるものであろう。山中 伸弥氏の特

許出願には六名の弁理士が名を連ねていた。水も漏らさぬ体制で出願に臨んだのであろ

う。ともかく、技術者が挑戦するのは新規分野の開拓、新しい独自の技術等である。従来技

術では実現できなかった課題を解決する手段を提供することである。特許の出願はある意

味では他人が出来なかった事を自分が実現したという自己主張も含まれるように感じる。そ

のような努力の結果が特許として正当かつ有用であることが認められることにより、その努

力の対価として独占的な権利が許可されるのであろう。半導体の世界では死屍累々と色々

なデバイスが生まれて消えていったというような文を読んだ記憶がある。平成5年以降の特

許電子図書館での検索ヒット件数:「半導体デバイス」に関する技術が 10102件 見つかりま

した。半導体の普及の初期には技術進歩も早く、「半導体デバイス」の発明件数は膨大にな

るのではないか。残念ながらそれを検索するノウハウが無い。コンピュータで全ての特許文

献をバリバリかみ砕いて特許制度開始までの情報をキーワード検索出来るようにして頂くと

技術の価値や歴史を探る福音になるかも知れない。

2010年1月19日 (火)

ばからしい特許

2010/1/19

ばからしい特許

唯一特許に関する洋書を購読した記憶がある。洋書と言えば、東京の丸善や紀伊国屋に行

って立ち読みするのが楽しかった。しかし、新本を買うゆとりはなかった。そこで、洋書の技

術書は神田の明倫館書店で古本を買うことにしていた。洋書のカタログが手にはいると、安

価な本を選んで米国から通販で取り寄せたこともあった。DOVER とかMITプレスはペーパー

バックの科学・技術書を出版していた。日本の大学出版部等は売れないことを前提にしてい

るのか、ソフトカバーの本が少ないように思われる。古くても価値のある書物は、紙質を落と

しソフトカバーにしても、書店に並べる価値があるのではないか。 確か、洋書の輸入には関

税もかからず、何冊かまとめて購入すれば洋書店で買うより安くついた。そこで、タイトルに

釣られて買ったのが、うすうす覚えていた題名の "Absolutely Mad Patents"。ともかく、特許

登録された、奇抜で、あきれて、ばからしい特許に関して書かれた本であった。そこでネット

検(WEB全体)してみたら正式書名は "Absolutely Mad Inventions". であった。Patentsは特

許でInventionsは発明で共通点はあるが意味が異なる。要約は以下の通りであった。

Alford Eugene Brown, Harry Allen Jeffcott著 - 1970 - Humor - 125 ページ
Hilarious but real inventions including edible tie pin, automatically tipping hat, metal locket for storing chewed gum ? all patented

ところが、「Absolutely mad inventions - Google ブック検索結果」でその本が出てきたのでび

っくりした。現在もこの本の改題版がDOVERからでているようだ。ページをめくると記憶のあ

る画像が現れた。一般人からみれば、奇抜で、あきれて、ばからしい特許かもしれないが、

発明した本人からみれば、真剣な労作である。その、ギャップが笑えてくるのである。まさか、

こういう特許を例に特許出願を鼓舞する必要は無いだろうが、こういう特許が登録されている

のだから自分の特許にも自信は持てると思えれば予想外の読書の効用といえるだろう。自

分にとっては無意識下にその効用があったようだ。振り返ってみると、ペースメーカーや温水

洗浄便座等もそれが市場に出て普及する前はだれもあてにしなかったであろう。自分の開発

した集積回路が温水洗浄便座に採用された事を知って当惑したのも事実である。まったく予

想外の用途であった。そんな縁でそのメーカーに出張する機会もあった。残念ながら、特許、

開発アイデア、失敗談等聞くゆとりが無かった。自分が現在注目するのは以下の技術(特許

検索結果):

出願番号 : 特許出願2009-56750 出願日 : 2009年3月10日
公開番号 : 特許公開2009-165481 公開日 : 2009年7月30日
出願人 : 国立大学法人京都大学 発明者 : 山中 伸弥
発明の名称 : 誘導多能性幹細胞からの体細胞の製造方法

今日の技術進歩は早い。革新的な技術が出るとその直後は競争も熾烈になるが、大きな進

歩も生まれる。半導体の世界がその例であろう。半導体の製造方法という表現は耳になじん

でいた。「体細胞の製造方法」という表現は新しい発見であった。生き物、素材等を扱う産業

が一次産業、一次産業のOUT PUTの加工(非生物)を扱うのが二次産業、役務を扱うのが

第三次産業とは何となく理解できる。当該特許技術によれば 誘導多能性幹細胞という原料

から体細胞が製造できる、その手段を特許権として主張しているのだろう。製造という概念が

生物の基礎部品である生きている細胞にまで拡大したのかも知れない。俺の臓器はMADE

IN JAPANで○○社製だと言うような時代が来るかもしれない。その頃は、もはや、一次、二

次、三次という産業分類は意味を失い、一次X二次X三次=六次産業が当たり前になってし

まうのかも知れない。

2010年1月18日 (月)

だれでも特許

2010/1/18

だれでも特許

特許が重要である事は分かっているが自分が特許出願等するとは思っていなかった。職務

発明という事で会社にあって初めて特許が出願できた。自分も特許に関する通俗書を読み、

ある程度の特許に関する知識を得た。豊沢豊雄氏の著書は一般書店で見かける機会が多

かったので読んだ記憶がある。それが数年前に詐欺か何かで問題になったと記憶している。

特許に関してはDr中松もユニークだ。こちらの方は自身が発明家であり、本名中松義郎氏で

選挙でも知名度?がある。ちなみに特許図書館で初心者検索してみた:「中松義郎」に関す

る技術が 110件 見つかりました。最新のものは公開番号 : 特許公開2009-293232 で

あり、発明家として健在のようだ。いわば、在野で特許に関して活動している豊沢、中松両氏

以上の知名度を持つ特許関係者を思い出すのが困難である。しかも人生の過半以上にわ

たり、そのような活動をしているようだ。いずれも、特許や著作権、ひいてはアイデアの重要

性とそれが権利となるという啓蒙的活動をしてきた事実は無視できないのではないか。弁護

士、弁理士、税理士、会計士、医師等法令で権利が守られている資格が多々ある。思うに、

こういう職業は結果系に網を張っており、問題が出たときお世話になるのが一般的だ。お世

話になるのは事後の課題が生じてからの場合が多い。そのような課題や問題が生じた場合

に自分の専門知識を利用して頂くような事前的活動も本来重要ではなかろうかと思う事があ

る。 一般人(顧客になる人々)にあらかじめ、その職業や自分の得意な事を知らせたら、安

心して仕事を頼めるようになるのでははいかと思うが、余りその例を見ない。広告は禁止さ

れているのか、プライドが許さないのか。ともかく、知的所有権は資源の乏しい日本にとって

はその将来を制する無形の資源である。弁理士や弁理士界がもっと特許を出せと啓蒙すれ

ば自分の仕事も増えて社会にも貢献できるだろう。その重要性を広く説く在野の人物は、そ

れに代わる専門家の活動が目立たないだけ際だって見える。自分も、部下を持つようにな

ってからは、部下に恥ずかしいと思う特許でもどんどん出せ、それを判断するのは特許庁だ

から気にするなと叱咤激励した事を思い出す。つまらない特許は埋もれてしまうが、良い特

許には他からクレームがつく。逆にクレームがつく特許が出せれば一人前であろう。技術者

として油の乗った頃、特許を出すゆとりも無かったことを残念に思った。特許の重要性を説く

上司も多くはなかった。ともかく、現場でこれは特許になるかならないかと目をこらすだけで物

の見方が大きく変わるのであり、そういう見方を身につけることにより技術者も成長するので

ある。また、特許原稿を下書きするだけで、正確な技術文書を作成する訓練になり、自分の

技術的な成果を自己評価し、記録も出来る。特許が登録されれば技術者として客観的に評

価され、歴史に名前も残す事ができる。当然、自分の特許が実施されれば、報償の対象に

なる。最近は自分の特許の使用価値を客観的に評価し、それに見合った対価を発明者に支

払うべきだと自己主張する技術者も出ている。欧米では当然の事のようだ。特許出願にも押

さえるべきつぼがある。特許の下書きも、事前に知財部門の専門家と相談するとうまくまとま

る。出願にあたっては、知財部門の専門家にお世話になった事を思い出した。開発部門か

ら管理部門に異動して開発契約等の仕事をした時にも特許の経験は役にたったと思う。

2010年1月17日 (日)

スーパーエンジニア

2010/1/17

スーパーエンジニア

日本ではエンジニアという呼び方より技術者と呼ばれる事が多いので、エンジニアにスーパ

ーという形容を付けたスーパーエンジニアという言葉は一般にはあまり聞き慣れない言葉で

あろう。本当の意味で格段に秀でた技術者をスーパーエンジニアと呼ぶ事もあるようだが、エ

ンジニアの領域外まではみ出して仕事をする技術者をスーパーエンジニアと言う事もあるよう

だ。時には、我々はスーパーエンジニアだからなーと苦笑することもあった。欧米ではエンジ

ニア地位は一般の作業者と異なり測定等の作業はエンジニアが指示するようだ。半導体生

産の初期には、需要が生産に追いつかない場合等は生産ラインで半導体の選別を工員と一

緒にした事もあった。率先垂範という意味なのか職場のトップクラスの役職者までが同じライ

ンに並んで作業をしていたのを思い出す。売れる物を売るのは当たり前。選別品を再選別し

て良品を探したり、スペックダウンして特殊規格で出荷した事もあった。特殊規格品は一般

品と区別するためパッケージ等にマーキングする場合が多い。その選別やマーキングもやっ

た記憶がある。これは、顧客のクレームで行う場合だけでなく、顧客の工程不良の対策で顧

客が頼み込んで行った場合もあった。客先ではクレームで叱られ頭をさげたら、実はこんな

不満があるからと新製品開発のアイデアを出してくれた技術者もいた。その製品を開発した

事により新しい信頼関係に発展した事もあった。そんな訳で、市場調査、企画、設計開発、

製造、販売、ユーザフォロー、クレーム処理、信頼性等色々な仕事を直接・間接的に体験し

た。技術者が営業部門でセールスエンジニアとして活躍する場合もあった。やはり、半導体と

いう得体の知れない商品を売るためには半導体事業の特質を理解していることが販売に不

可欠であったからであろう。多分、半導体関係の仕事に従事した技術者の中には幅広い仕

事を否応なく体験したエンジニアが多くいたのではないかと思う。

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    「日経サイエンス」とは:「日経サイエンス誌は,1845年に創刊された長い歴史と伝統を持つ米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版で,世界の最先端の科学技術動向を日本の読者に届けています。」
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    University of Wisconsin-Madison Chemistry Professor Bassam Z. Shakhashiri のサイト

みかん栽培関係情報

ISESAKI  有情2

ISESAKI  有情1

嗚呼 伊勢崎 非情

BOOKS

  • 橋本 英文: 刃物雑学事典 図解・刃物のすべて(1986年 株式会社 講談社 ブルーバックス B-659)
    刃物という視点で多くの事例が取り上げられている。刃のある道具の理解にも役立つ。類書が少なく貴重な一冊。「すべり変形が切断の原理」という考え方で説明している。
  • 沼田 真   : 植物たちの生( 1972年 岩波新書(青版 833))
    「ご要望にお応えしてアンコール復刊(1988年岩波新書50年記念復刊) 地球生態系の中で自然を見直す」(腰巻きのフレーズ)。植物の知恵と戦略に人類は勝てるのか。
  • 出町 誠: 14_NHK趣味の園芸:よく分かる栽培12ヶ月  カキ(NHK出版2007年)
    初心者向け柿栽培参考書(新版)。旧版と比較すると楽しい。
  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
  • 沼田 真(編): 07_雑草の科学(研成社1979)
    雑草を多面的に解説し防除の基礎も述べる

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MEMO 海外の博物館・美術館

  • https://www.artic.edu/collection?place_ids=Japan&page=6
  • 項目のタイトル2
    POST IT :ブログ画面への張り紙に使える。
  • TYPE LIST事始め
    2010/8/4:MEMO等の表示に使える。 農作業で気になる自戒の言葉 ■畑の石ころはいつまで経ってもても石ころ(早く拾って片づけよという意味か)。 ■同じ石を二度拾うな(やってみると難しい)。 ■手ぶらで歩くな。 ■三つ先のことを読め。 ■適当な観察。 ■空を見よ(気分転換、休憩、天気を読む、腰曲がり防止)