« 雑草句録:おひしば | メイン | 食業:いとしきもの »

2010年10月 6日 (水)

雑木歌録:子供の庭

2010/10/6

雑木歌録:子供の庭

■五七に 七七加え 喜々とする 子供の庭は 広くなりけり   夢野照葉

歌の方は二年ほど前にぽつりぽつりと作り始めたところだ。句も歌も子供の遊び場のようだ。句という入れ物の他に歌という入れ物も使い始めてスペースの広さを喜んだ。実は句も歌も老人の手すさびが多いようで、自分もその類であろう。

文字数の制限という形式があるから、こういう文芸は入りやすいのかもしれない。句も歌も、間口は広いが奥も深いと感じる。最近は小中学生の間でも俳句が盛んになっているようだ。若さという点で、技巧よりセンスが際だつ。小中学生が和歌を作るとなると年寄りじみていると感じてしまう人がいるかもしれないが、がどうであろうか。学生、青少年の和歌には余りお目に掛かっていない。しかし、社会の見方、自己呪縛という観念が無くなれば学生の和歌も当たり前になるかもしれない。

追記:最近、寺山修司の『寺山修司青春歌集』という文庫本を手にした。自分の若き日の人生は寺山修司とほぼ没交渉で過ぎたが、当時を振り返ろうとする気持がこの本との遭遇になったと思う。寺山修司については「書を捨てよ、町へ出よう」というコトバを青春のスローガンのように思い出す程度であった。

WIKIPEDIAによると「1967年に寺山は「書を捨てよ、町へ出よう」(芳賀書店)という評論集を出版。その後、同年に旗揚げした演劇実験室「天井桟敷」の第7回公演(1968年)で「ハイティーン詩集 書を捨てよ町へ出よう」が演劇作品として発表された。」とある。1967年というと自分が二十代にさしかかり学生運動も盛んであり、デモの先頭にたった学友もいた。「書を捨てよ、町へ出よう」というスローガンはデモを遠巻きにみる者にとって後ろめたく感じた。

『寺山修司青春歌集』によれば、寺山修司は若い時から俳句や短歌を作った。それは、感傷的というより、何かの壁を乗り越えようとする動機があったようだ。寺山修司活躍の原点に和歌があったように感じた。寺山修司を知って、学生が形式という壁を意識しつつも、それを乗り越えて表現者としての契機を掴むのに和歌は適していると思った。

『寺山修司青春歌集』の中にある「僕のノオト」の一節:「縄目なしに自由の恩恵はわかりがたいように、定型という枷が僕に言語の自由をもたらした。」、「短歌を始めてからの僕は、このジャンルを小市民の信仰的な日常的の呟きから、もっと社会性をもつ文学表現にしたいと思い立った。」云々も短歌を一つの土俵のように見立てて、そのなかで何がどこまで出来るかという可能性の追求を自己に課していたのではないか。

気ままに、昭和萬葉集を拾い読みする時がある。歌が作られてから数十年もすると、作者が実際にどういう意図でその歌を詠んだかというより、その歌からにじみ出てくる生活や心情を強く感じる事が多い。一方、歌で個性を表現するとなるとにじみ出ると言うより絞り出すと言いたくなるような色々な物との格闘が生まれてくるようだ。

Googleで<書を捨てよ、町へ出よう>を検索すると、松岡正剛の千夜千冊の第四百十三夜【0413】2001年11月5日、寺山修司『寺山修司全歌集』が目に留まり読んだ(http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0413.html)。寺山修司と交際のあった松岡氏が初めて寺山修司について書いた記事のようだ。それも、寺山修司の短歌と葬儀について限定して。葬儀についても寺山修司らしい内容で感動した。

ここで、松岡氏は寺山修司の短歌には、それが踏み台にした本歌(実は本句)があったと記している。『「 こんなことをぼくが言うのはおこがましいけれど、寺山修司とはその記憶と表現の全身が、「美しきもの・険しきもの・懐かしきもの・寂しきもの」で相移相入してできあがったハイパーリンク状態そのもののような人なんです。むしろ"盗作"事件が寺山さんの初期におこったことを祝福したいくらいです。』、また、「しかし、ぼくは盗作おおいに結構、引用おおいに結構という立場です。だいたい何をもって盗作というかによるのですが、古今、新古今はそれ(本歌取り)をこそ真骨頂としていたわけですし、そうでなくとも人間がつかう言葉の大半は盗作相互作用だというべきで、むしろどれほどみごとな引用適用応用がおこったかということこそが、あえて議論や評価の対象になるべきではないかとおもうくらいです。」ともその中で述べている。自分も頭脳の作用で連想し、拡大、縮小、回転等を等して色々な見方で物事を見たり感じたりする事は大切であると思う。これは何も文芸や芸術だけに限らない。科学や技術の世界でも同様だと思う。

松岡正剛千夜千冊の第四百十三夜の記事は色々な点で参考になった。特に、手紙の形で書かれたのは単なる事象の記録ではなく、寺山修司という人間に語りかけたいという意味にもとれた。何事もゼロからは始まらない。大きな作品も雪だるまを作るように最初は一握りの雪を雪上で転がすようにして始まる。寺山修司の色々な作品の中にも短歌が核として残っているのかもしれない。

検索サイト

NANDA?⇒物臭検索

  • ラベル(タイトル):最初は何も分からない
    なんだこりゃ?作成当時の記憶

エネルギー関係

ウェブページ

更新ブログ

PHOTO2(写真集)

  • Iob_fujijyuukouentotu
    たまたま出会ったもの2

PHOTO4(写真集)

  • Iob_minitomatodaruma
    果樹・野菜・花等

PHOTO5(写真集)

  • Iob_senteihasami_funsitu_sabi
    現在使われなくなった機器、農具、ガラクタ等。

PHOTO6(樹木等)

  • Iob_sendan_kiru_2013
    樹木の縮伐カット&トライetc

PHOTO7(写真集)

  • Iob_kaiko_ga_gazou
    BLOG関連写真2
フォトアルバム

MIKAN KUN

  • 赤城連山MAP
  • Fight_Fukushima
  • ISESAKI_PIGEON
  • MIKANKUN

Copyrighit

  • © Copyright 2006-2023  af06.kazelog.jp  All rights reserved.

健康関係:リンク&検索等

Favorites2

Favorites

Favorites3

Favorites4

やさしい科学・SCIENCE

  • 日経サイエンスのウェブページ
    「日経サイエンス」とは:「日経サイエンス誌は,1845年に創刊された長い歴史と伝統を持つ米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版で,世界の最先端の科学技術動向を日本の読者に届けています。」
  • SCIENCE IS FUN in the Lab of Shakhashiri
    University of Wisconsin-Madison Chemistry Professor Bassam Z. Shakhashiri のサイト

みかん栽培関係情報

ISESAKI  有情2

ISESAKI  有情1

嗚呼 伊勢崎 非情

BOOKS

  • 橋本 英文: 刃物雑学事典 図解・刃物のすべて(1986年 株式会社 講談社 ブルーバックス B-659)
    刃物という視点で多くの事例が取り上げられている。刃のある道具の理解にも役立つ。類書が少なく貴重な一冊。「すべり変形が切断の原理」という考え方で説明している。
  • 沼田 真   : 植物たちの生( 1972年 岩波新書(青版 833))
    「ご要望にお応えしてアンコール復刊(1988年岩波新書50年記念復刊) 地球生態系の中で自然を見直す」(腰巻きのフレーズ)。植物の知恵と戦略に人類は勝てるのか。
  • 出町 誠: 14_NHK趣味の園芸:よく分かる栽培12ヶ月  カキ(NHK出版2007年)
    初心者向け柿栽培参考書(新版)。旧版と比較すると楽しい。
  • 中村三夫: 13_NHK趣味の園芸:作業12ヶ月  カキ(NHK出版1996年)
    初心者向け柿栽培参考書(旧版)。新版と比較すると楽しい。
  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
  • 沼田 真(編): 07_雑草の科学(研成社1979)
    雑草を多面的に解説し防除の基礎も述べる

外国の博物館・美術館 外国語・国際関係(リンク)

TOOLS

地域産業・機関

地域興し関連情報

MEMO_TL_TEST

  • TOP PAGEの 「アクセスランキング(2015/6/8より表示再開)」へ飛ぶためのラベル
  • TEST END
    TEST_H23/10

アクセスランキング

リンク:ページ先頭へ飛ぶ

写真集へのリンク

MEMO 海外の博物館・美術館

  • https://www.artic.edu/collection?place_ids=Japan&page=6
  • 項目のタイトル2
    POST IT :ブログ画面への張り紙に使える。
  • TYPE LIST事始め
    2010/8/4:MEMO等の表示に使える。 農作業で気になる自戒の言葉 ■畑の石ころはいつまで経ってもても石ころ(早く拾って片づけよという意味か)。 ■同じ石を二度拾うな(やってみると難しい)。 ■手ぶらで歩くな。 ■三つ先のことを読め。 ■適当な観察。 ■空を見よ(気分転換、休憩、天気を読む、腰曲がり防止)