環境遺伝
2010/1/16
環境遺伝
甲から乙にXという何かが移る。こういう現象をこの世の中から消し去ったら、この余は空虚
なものになるであろう。生物の遺伝についてかっては謎だらけあったようだ。このXがリレー
のバトンのようなものなら何が移って行くのかはっきりする。遺伝子はそれほど単純ではな
く、今日ではDNAという物質で描かれた設計図であるということになるようだ。しかし、DNA
の配列だけではその配列がどういう性質を生物に及ぼしているか分からない。それを検証す
るには遺伝子+αが必要になる。この+αは遺伝子そのものでないので遺伝子の外部環境で
あると言える。かつてソ連のルイセンコが環境遺伝を唱えていたように思う。その学説は否
定されたようだが、環境が遺伝に与えた影響は無視できないように思える。生物の行動様式
となると更に漠然とする。ニホンザルがサツマイモを洗ってたべるという行動も個体間に伝え
られる。社会的な行動の遺伝と言えるのか。ともかく、環境の変化に耐える種の個体差があ
るのは事実であろう。植物にも劣悪な環境に耐える遺伝子があるようだ。ともかく有用植物
の稲の遺伝子は全部解読された(ヒトゲノムについで2番目)。農林水産庁によると、<我が
国が中心となり国際コンソーシアムが推進してきたイネ(品種;日本晴)の3億7千万塩基に及
ぶゲノムの塩基配列の解読作業が、2004年12月に終了した。>(今回解読したのは全ゲノ
ムの95%にあたる。)とある。興味があるのは、日本で行われて現在生産されているイネの
育種は経験的な技術で開発されたと思うが、今後遺伝子解析の成果を反映したどのような
新品種が開発されるかという事である。圃場(生育環境下)で選抜しながら開発された品種
が意外にも遺伝子工学を駆使して開発された品種に健闘できるレベルであったという可能性
もあろう。環境が遺伝子の発現を規定しているとなると環境を無視する事は出来ない