カナムグラ:いとしきもの
2010/6/9
既に活動を開始して、草丈も数十㎝に伸びている。素手で引き抜くのも嫌気がさすが、今年
は先手必勝で小さい時から退治を始めた。守るべき陣地は死守するという気概が必要だ。
果樹園の管理で<清耕管理>というコトバを思い出した。検索すると:「果樹園の地表面管
理には、清耕、草生、マルチ等とその折衷様式があり、リンゴ地帯や傾斜地果樹園では草生
管理が多く、平坦な落葉果樹やミカン地帯では清耕管理が主であり、各種管理法の特徴に
ついては解説等6,18,35,49〕がなされている。」という情報があった。(http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/kaidai/kajyusaibainoteikosuto/22-2-3-4_h.html)。
蔓草を育てているようでは本当に農業万年一年生で終わりそうだ。樹木の下は日陰となり雑
草も育つまいと安易に夢想したが蔓草という手強い伏兵がいた。
愛しき雑草:カナムグラ
■カナムグラ
本当はうとましき雑草であるが、退治しきれず、仕方なくお付き合いをしているのが実状だ。
ヤエムグラのトゲは繊維にへばりつく程度だが、カナムグラのトゲはそれよりも鋭い。素手で
扱うのを牽制している。これこそトゲの役割だ。葉にも茎にもトゲがある。蔓草は背丈を伸
ばしている間は葉を余り広げない。従って蔓は、するすると樹幹や枝の間をすり抜ける。途
中につかまるものがあると、それに巻き付き樹木の頂上を目指す。ある時、実生の夏みかん
の木にカナムグラがはい上がった。見上げるほどの高さなのでついつい放置していた。冬に
なれば枯れるだろうとたかをくくっていた。ようやく冬になり時間のゆとりもできたので、脚立
に登ってその蔓を取り除いた。何とミカン樹も太枝を残してほとんど枯れていた。常緑樹にと
って日光を失うことはもう死ぬ以外にないというような判断になるようだ。蔓草は樹上を制覇
すると益々元気になり、枝分かれして茎も太くなる。そうしてはい上がった台になる樹木の光
を完全に横取りしてしまう。何年もかけて育てた大切な果樹もちょっとした手抜きで大被害を
受けてしまう。いま考えると根本の蔓を切っておけば助かっただろうと残念で仕方ない。うとま
しき雑草であるが、蔓草に注意せよと教えてくれた大先生となった。幸い、何とか枯れずに済
んだが太枝を数本失った。元の樹勢に戻せるだろうか。果樹は根や根元の管理が大切だ
が、予期せぬ失敗でその認識を新たにした。