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2012年2月26日

2012年2月26日 (日)

愛しき古里:萩原朔太郎が見た故郷の風景は?20120226。

2012/2/26(日)
昨日はAM昼前は雨。その後曇り。農事会合を欠席してかみさんと電車で外出。振り返ると、かみさんと電車に乗った記憶は余り無い。自動車の生活にどっぷりつかってきた。自動車だと、どうしても運転手と同乗者の会話も断片的になり、想像力も働かない。かみさんは車窓から上州の山川を眺めて喜んでいた。

2012/2/25(土)の天気

TAVE= 6.2  
TMAX= 9 最高気温(℃)  9.1  15:10
TMIN= 2.8 最低気温(℃)  2.4  09:20
DIFF= 6.2  
WMAX= 6.9 最大瞬間風速(m/s)  12.9(北西)  22:29
SUNS= 0  
RAIN= 7.5  



愛しき古里:萩原朔太郎が見た故郷の風景は?20120226。

上り列車で、右手に見えていた赤城山は前橋を過ぎるとやがて左手に見えてきた。かみさんが赤城山が見えるというので一瞬方向感覚を疑った。確かに赤城山だ。前橋から高崎までの間で線路が急カーブしているのは地図では理解しているつもりだが電車の車窓からそれを眺めるのも新しい発見だ。そういえば、萩原朔太郎が郷里前橋に帰る時も同じような風景を見たのだろうとかみさんと話した。「わが故郷に歸れる日」という詩の断片は二人とも覚えていた。依然読みかじった印象から、あの詩は故郷に帰りたいという気持と帰りたくない気持の葛藤が、前橋に近づくにつれて高まってようだと言った。もう一度「帰郷」という詩を読み直した。

以下は青空文庫からの引用:
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青空文庫の「氷島 萩原朔太郎」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/4869_14066.htmlにある「帰郷」。

歸郷

昭和四年の冬、妻と離別し二兒を抱へて故郷に歸る

わが故郷に歸れる日
汽車は烈風の中を突き行けり。
ひとり車窓に目醒むれば
汽笛は闇に吠え叫び
火焔(ほのほ)は平野を明るくせり。
まだ上州の山は見えずや。
夜汽車の仄暗き車燈の影に
母なき子供等は眠り泣き
ひそかに皆わが憂愁を探(さぐ)れるなり。
鳴呼また都を逃れ來て
何所(いづこ)の家郷に行かむとするぞ。
過去は寂寥の谷に連なり
未來は絶望の岸に向へり。
砂礫(されき)のごとき人生かな!
われ既に勇氣おとろへ
暗憺として長(とこし)なへに生きるに倦みたり。
いかんぞ故郷に獨り歸り
さびしくまた利根川の岸に立たんや。
汽車は曠野を走り行き
自然の荒寥たる意志の彼岸に
人の憤怒(いきどほり)を烈しくせり。

「詩篇小解」に「歸郷  昭和四年。妻は二兒を殘して家を去り、杳として行方を知らず。我れ獨り後に殘り、蹌踉として父の居る上州の故郷に歸る。上野發七時十分、小山行高崎※(「廴+囘」、第4水準2-12-11≒廻)り。夜汽車の暗爾たる車燈の影に、長女は疲れて眠り、次女は醒めて夢に歔欷す。聲最も悲しく、わが心すべて斷腸せり。既にして家に歸れば、父の病とみに重く、萬景悉く蕭條たり。」とある。

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今回、青空文庫で「詩篇小解」を読んだが、詩と現実の間を理解する参考になると思った。萩原朔太郎が「まだ上州の山は見えずや。」と詠み込んだのは赤城山だろう。上野發七時十分、小山行高崎廻の汽車に乗ったのだから、前橋に近づいた頃は、もう陽は完全に落ちて暗いだろう。また烈風と言えば上州の冬の空っ風を連想する。昭和四年頃は鉄道沿線の人家も少なく、冬枯れの関東平野が広がっていただろう。「まだ上州の山は見えずや。」とは、すでにこころの中には故郷の山川のイメージが浮かび上がっているのだろう。この詩は故郷の山川や夜汽車に詩人の真情を託している。現実は帰らざるを得ない故郷。希望は故郷からの逃避。そこにはエンジンの気化させたガソリンの圧縮・爆発という工程が連想される。その炸裂を受け止めたエンジンのシリンダーーが故郷の風景だろう。萩原朔太郎の心に刻まれた故郷の風景がなければこの詩は生まれなかったに違いない。

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追記(2014/4/18): 「愛しき古里:萩原朔太郎が見た故郷の風景は?(2012/2/26(日))。」がランキング10位に入った。人間、古里に向かいたいという求心力とそこから脱出したいという遠心力の二つが常に働いているのではないか。

サイト内でキーワード「萩原朔太郎 俳句」を検索(https://www.google.com/?hl=ja#hl=ja&q=%E8%90%A9%E5%8E%9F%E6%9C%94%E5%A4%AA%E9%83%8E%E3%80%80%E4%BF%B3%E5%8F%A5%E3%80%80site:http:%2F%2Faf06.kazelog.jp%2Fitoshikimono%2F)。

「読みかじりの記(ツルよ 飛んでおくれ):青空文庫で萩原朔太郎「氷島」を読む(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2013/06/post-32cf.html)。(2013年6月25日(火))」

WIKIPEDIA「萩原朔太郎。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%A9%E5%8E%9F%E6%9C%94%E5%A4%AA%E9%83%8E)」

「読みかじりの記(老人モード):「老年と人生(萩原朔太郎著)」を青空文庫で読む。(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2013/02/post-fd68.html)。(2013年2月22日 (金))」

今日、青空文庫で萩原朔太郎の作品を自由に読める。余り有名で無い作品の中にも面白い作品がある。

サイト内でキーワード「富田倫生」を検索(https://www.google.com/?hl=ja#hl=ja&q=%E5%AF%8C%E7%94%B0%E5%80%AB%E7%94%9F%E3%80%80site:http:%2F%2Faf06.kazelog.jp%2Fitoshikimono%2F)。

青空文庫で著作権が切れた作品や著作権を主張しない作品が読めるようになったのは、その推進者富田倫生氏(昨年死去)の貢献も大きいと思う。

WIKIPEDIA「富田倫生。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E7%94%B0%E5%80%AB%E7%94%9F)」

TPP交渉でアメリカは著作権の有効期間延長を主張しているとの事だ。余りにも著作権が長い場合、後続の著作物が生まれる可能性がどんどん少なくなるのではないか。ともかく青空文庫で萩原朔太郎を読めるのはありがたい事だ。

追記(2014/4/29):
現在この記事がランキング6位に入った。本日の記事「半端道楽:写真で俳句る:華蔵寺公園遊園地のメリーゴーラウンド(この遊具 長寿の訳は どこにある。)(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2014/04/post-69c6.html)。(2014年4月29日(火) )」が、萩原朔太郎の詩に飛ぶ。「大東京の雜鬧」の「雜鬧」は何と読む?音読みでは「鬧(どう)」。Googleでキーワード「雜鬧 意味」を検索(https://www.google.com/?hl=ja#hl=ja&q=%E9%9B%9C%E9%AC%A7+%E6%84%8F%E5%91%B3)。。どうやら、「ざっ‐とう〔‐タフ|‐タウ〕【雑踏/雑×沓/雑×鬧】」らしい。


追記(2014/6/16):
本記事は依然ランキング5位に入っている。最近、読んだ地域誌によると、かつてJR国定駅前に、国定忠治の碑を作る動きがあり、萩原朔太郎の詩の引用を検討したが、同意がえられず、小野忠孝(詩人。児童文学者)の詩が採用されたと知った。

WIKIPEDIA「おのちゅうこう(小野忠孝)。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%AE%E3%81%A1%E3%82%85%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%86)」

以下にその画像を示す。

Iob_kunisadacyuujinohionocyuukou_20
青空文庫の萩原朔太郎作品収録サイト内のキーワード検索をするには、<>の中にキーワードを入れてクリック。

Googleによる「青空文庫内にある萩原朔太郎作品のキーワード(一例:<俳句 蕪村>)」検索。

Google検索は、全文検索で、複数のキーワードで検索できるメリットがある。萩原朔太郎が見た情景を知る手がかりになると思う。<国定忠治>ではヒットしない。旧字の<國定忠治>ならヒットする。<國定>でもヒットする。

YOUTUBEでキーワード「富田倫生」を検索(https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%AF%8C%E7%94%B0%E5%80%AB%E7%94%9F)。

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追記(2023/03/23):タイトルの後に投稿年月日を追加。本日のランキングは8位。10年以上前の記事だがまだ読者がいるようだ。読者に感謝。

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    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
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